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王都 〜王城・デーゾルドの行方〜
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異常な空間だった。
王都の屋敷の地下に小規模とはいえ闘技場があるなど誰が想像しただろう。
観客に害が無い様に御丁寧に闘技場の舞台が檻で囲まれていた。
そんな中、熱狂的に声を上げる観客達の中心でブラックパンサーの子供とワイルドベアの子供が血だらけになって戦っていた。
「これは・・・。」
突如走り出したイオリに追い付いたヒューゴ達はあまりの光景に驚きを隠せないようだった。
「まさか、魔獣の子供を戦わせて賭けていた?」
自身も賭け事をするロジャーであるが、こんなに悪趣味で醜悪な賭博場は初めてだった。
嫌悪感丸出しで観客達を睨みつけている。
「上で待機している騎士達を呼び込みます。宜しいですか?」
「上の喧騒にも気付いていない愚か者達だ。
遠慮はいらぬ。
徹底的に取り締まれと言っておいてくれ。」
状況を判断したゴヴァンが許可を求めると、アイザックは怒りに染まった顔で頷いた。
「イオリ・・・。」
ヒューゴは心配そうにイオリの顔を覗き込んだ。
当のイオリは顔面蒼白でブルブルと震えていた。
「なんで・・・なんで、こんな酷い事が出来るんだ。」
イオリが呟きながら見つめる先で、ヨロヨロとするブラックパンサーの子供にワイドベアの子供が前脚を振り上げていた。
それでも、ワイドベアの子供はその尖った爪を振り下ろさない。
それはまるで、これ以上相手を傷つけたくないと抵抗している様だった。
状況が膠着状態になった事に客達が不満な声を上げた。
すると、檻の中に男が入っていきワイルドベアの子供を木の棒で叩き始めた。
蹲ったワイルドベアは耐える様に丸くなっている。
「・・・ゃめろ。やめろ。
やめろぉぉぉ!!!!」
イオリは叫ぶとパチンコを男の額に狙いを定め、石つぶてを当てた。
「ぐわぁぁ!」
ワイルドベアを叩いていた男は檻越しに飛んできた石に額を撃ち抜かれ痛みで蹲った。
「鎮まれっ!
違法賭博を確認した。
国王陛下の御命令により王家直属騎士団、並びにポーレット公爵家騎士団がこの場を取り締まる。
ここにいる全ての人間を拘束する。
抵抗する者は切って捨てる。
大人しく縛に付け!」
それまで、賭け事に熱中し周囲が見えていなかった観客達はアイザックの声に反応したように騒めいた。
「不味いっ!」
「騎士団だ。にげろっ!」
「終わった・・・。」
「きゃーーーー!」
次々と雪崩れ込んできた騎士団達に観客達は様々な反応を見せた。
大人しく捕まる者、抵抗し痛い目にあう者、泣き叫び慈悲を乞う者。
その中にはイオリに刃を向ける者達すらいた。
血走った目で襲ってきたのは冒険者らしき男で、どうせ捕まるなら一矢報いようとして1番前のイオリを狙ったようだった。
「おっと・・・。
そいつは駄目だよ。」
それを止めたのはロジャーだった。
「お前もギルドを裏切った奴の1人か?
冒険者ギルドからの依頼により、ダグスクでSランクの称号を得たロジャーが相手をしよう。
お前達は踏んじゃいけない竜の尾を踏んだんだ。
この場に足を踏み入れた瞬間に覚悟は出来ていただろう?」
ロジャーの握り締めた拳が男の顔面を歪ませた。
王都の屋敷の地下に小規模とはいえ闘技場があるなど誰が想像しただろう。
観客に害が無い様に御丁寧に闘技場の舞台が檻で囲まれていた。
そんな中、熱狂的に声を上げる観客達の中心でブラックパンサーの子供とワイルドベアの子供が血だらけになって戦っていた。
「これは・・・。」
突如走り出したイオリに追い付いたヒューゴ達はあまりの光景に驚きを隠せないようだった。
「まさか、魔獣の子供を戦わせて賭けていた?」
自身も賭け事をするロジャーであるが、こんなに悪趣味で醜悪な賭博場は初めてだった。
嫌悪感丸出しで観客達を睨みつけている。
「上で待機している騎士達を呼び込みます。宜しいですか?」
「上の喧騒にも気付いていない愚か者達だ。
遠慮はいらぬ。
徹底的に取り締まれと言っておいてくれ。」
状況を判断したゴヴァンが許可を求めると、アイザックは怒りに染まった顔で頷いた。
「イオリ・・・。」
ヒューゴは心配そうにイオリの顔を覗き込んだ。
当のイオリは顔面蒼白でブルブルと震えていた。
「なんで・・・なんで、こんな酷い事が出来るんだ。」
イオリが呟きながら見つめる先で、ヨロヨロとするブラックパンサーの子供にワイドベアの子供が前脚を振り上げていた。
それでも、ワイドベアの子供はその尖った爪を振り下ろさない。
それはまるで、これ以上相手を傷つけたくないと抵抗している様だった。
状況が膠着状態になった事に客達が不満な声を上げた。
すると、檻の中に男が入っていきワイルドベアの子供を木の棒で叩き始めた。
蹲ったワイルドベアは耐える様に丸くなっている。
「・・・ゃめろ。やめろ。
やめろぉぉぉ!!!!」
イオリは叫ぶとパチンコを男の額に狙いを定め、石つぶてを当てた。
「ぐわぁぁ!」
ワイルドベアを叩いていた男は檻越しに飛んできた石に額を撃ち抜かれ痛みで蹲った。
「鎮まれっ!
違法賭博を確認した。
国王陛下の御命令により王家直属騎士団、並びにポーレット公爵家騎士団がこの場を取り締まる。
ここにいる全ての人間を拘束する。
抵抗する者は切って捨てる。
大人しく縛に付け!」
それまで、賭け事に熱中し周囲が見えていなかった観客達はアイザックの声に反応したように騒めいた。
「不味いっ!」
「騎士団だ。にげろっ!」
「終わった・・・。」
「きゃーーーー!」
次々と雪崩れ込んできた騎士団達に観客達は様々な反応を見せた。
大人しく捕まる者、抵抗し痛い目にあう者、泣き叫び慈悲を乞う者。
その中にはイオリに刃を向ける者達すらいた。
血走った目で襲ってきたのは冒険者らしき男で、どうせ捕まるなら一矢報いようとして1番前のイオリを狙ったようだった。
「おっと・・・。
そいつは駄目だよ。」
それを止めたのはロジャーだった。
「お前もギルドを裏切った奴の1人か?
冒険者ギルドからの依頼により、ダグスクでSランクの称号を得たロジャーが相手をしよう。
お前達は踏んじゃいけない竜の尾を踏んだんだ。
この場に足を踏み入れた瞬間に覚悟は出来ていただろう?」
ロジャーの握り締めた拳が男の顔面を歪ませた。
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