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王都 〜王城・デーゾルドの行方〜
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お腹いっぱいになったゼン、ブラックパンサーの子供、ワイルドベアの子供の3匹は互いについた果物の汁をペロペロとして、食後の身綺麗に勤しんでいた。
「さて、お腹いっぱいになったところでお話ししよう。」
イオリは胡座を描いて3匹の前に座った。
ワイルドベアはコロコロと転がってイオリの側までくると甘えるように喉を鳴らしているが、ブラックパンサーは警戒心を解いていない。
「俺はイオリ。
君達の親に君達を探すと約束してここまで来た。
君達を森に帰す為に。」
それを聞いたブラックパンサーの子供はピクリと体を震わせた。
「人間の俺に託す程に君達の親は本当に心配しているんだ。
帰ろう。あの森に。君達の居場所はあの森だよ。」
ワイルドベアはイオリの腕に絡み付き、嬉しさを隠す事なく纏わりついた。
ブラックパンサーはというと、一生懸命考えるかのように同じ所をグルグルと回り始めた。
イオリはブラックパンサーが落ち着くまで放っておく事にした。
人を簡単に信じない。
このブラックパンサーには人を疑うだけの十分な理由がある。
それを取り除くなど簡単な事ではなかった。
離れた場所で一連を見ていたヒューゴ、アレックス、ロジャー、ポーレット公爵家騎士団の団長アイザックは不思議な思いでいた。
「なぁ、あれ魔獣なんだよな?」
「そうですよ。」
アレックスの言葉にヒューゴが答えた。
「普通の動物じゃなくて、魔獣なんだよな?」
「そうですよ。」
再び疑問を口にするアレックスにヒューゴが頷いた。
「ここから見たらイオリが魔獣相手に1人で話しているのに、しっかりと会話をしている様に見えるのが不思議だ。
これがイオリじゃなかったら、頭がおかしくなった奴だと思うだろう。」
「生き物相手には、イオリはいつもあんな感じですよ。」
何とも言えない顔をしてイオリと魔獣のやり取りを見ていたアイザックにヒューゴが微笑む。
「普通さ。魔獣ていうのは感情なんてないもんだと思っているわけ。
あんなに表情豊だと知ったら、次の討伐依頼はどうしたら良いの?」
ロジャーが困った顔をするとヒューゴも同意するように頷いた。
「イオリは自然に対し優しくもあり、厳しくもあります。
奪う命に対してには責任感がある。
人だろうと、生き物だろうと、植物だろうと、自分の生きる糧として敬意を持っているんです。
だからイオリは自分の行動に迷いが無いし強いんです。」
いつも供にしているヒューゴの言葉に3人は感心するように頷いた。
「あっ。
ブラックパンサーが動いた。」
ロジャーが指差す先に皆が目をやると、確かにブラックパンサーの子供がイオリに少しづつ近づいていく。
イオリが手を差し伸ばすと、その手のひらに頭を押し付けた。
「イオリの粘り勝ちか・・・。」
「ブラックパンサーが懐柔されたの間違いじゃない?
美味いものには皆んな靡くの。
俺達と一緒。」
「俺達は魔獣と一緒か。」
「一緒よ。
もう、あれ見たら一緒も一緒。
俺はそう思う事にした。」
アレックスとロジャーが呆れめが含んだ会話をしていた時だった。
ブラックパンサーの子供を抱き上げたイオリが大きな声を出した。
「ここに他にも魔獣の子供が捕えられてるって!」
それを聞いた4人は再び険しい顔付きに戻るのだった。
「さて、お腹いっぱいになったところでお話ししよう。」
イオリは胡座を描いて3匹の前に座った。
ワイルドベアはコロコロと転がってイオリの側までくると甘えるように喉を鳴らしているが、ブラックパンサーは警戒心を解いていない。
「俺はイオリ。
君達の親に君達を探すと約束してここまで来た。
君達を森に帰す為に。」
それを聞いたブラックパンサーの子供はピクリと体を震わせた。
「人間の俺に託す程に君達の親は本当に心配しているんだ。
帰ろう。あの森に。君達の居場所はあの森だよ。」
ワイルドベアはイオリの腕に絡み付き、嬉しさを隠す事なく纏わりついた。
ブラックパンサーはというと、一生懸命考えるかのように同じ所をグルグルと回り始めた。
イオリはブラックパンサーが落ち着くまで放っておく事にした。
人を簡単に信じない。
このブラックパンサーには人を疑うだけの十分な理由がある。
それを取り除くなど簡単な事ではなかった。
離れた場所で一連を見ていたヒューゴ、アレックス、ロジャー、ポーレット公爵家騎士団の団長アイザックは不思議な思いでいた。
「なぁ、あれ魔獣なんだよな?」
「そうですよ。」
アレックスの言葉にヒューゴが答えた。
「普通の動物じゃなくて、魔獣なんだよな?」
「そうですよ。」
再び疑問を口にするアレックスにヒューゴが頷いた。
「ここから見たらイオリが魔獣相手に1人で話しているのに、しっかりと会話をしている様に見えるのが不思議だ。
これがイオリじゃなかったら、頭がおかしくなった奴だと思うだろう。」
「生き物相手には、イオリはいつもあんな感じですよ。」
何とも言えない顔をしてイオリと魔獣のやり取りを見ていたアイザックにヒューゴが微笑む。
「普通さ。魔獣ていうのは感情なんてないもんだと思っているわけ。
あんなに表情豊だと知ったら、次の討伐依頼はどうしたら良いの?」
ロジャーが困った顔をするとヒューゴも同意するように頷いた。
「イオリは自然に対し優しくもあり、厳しくもあります。
奪う命に対してには責任感がある。
人だろうと、生き物だろうと、植物だろうと、自分の生きる糧として敬意を持っているんです。
だからイオリは自分の行動に迷いが無いし強いんです。」
いつも供にしているヒューゴの言葉に3人は感心するように頷いた。
「あっ。
ブラックパンサーが動いた。」
ロジャーが指差す先に皆が目をやると、確かにブラックパンサーの子供がイオリに少しづつ近づいていく。
イオリが手を差し伸ばすと、その手のひらに頭を押し付けた。
「イオリの粘り勝ちか・・・。」
「ブラックパンサーが懐柔されたの間違いじゃない?
美味いものには皆んな靡くの。
俺達と一緒。」
「俺達は魔獣と一緒か。」
「一緒よ。
もう、あれ見たら一緒も一緒。
俺はそう思う事にした。」
アレックスとロジャーが呆れめが含んだ会話をしていた時だった。
ブラックパンサーの子供を抱き上げたイオリが大きな声を出した。
「ここに他にも魔獣の子供が捕えられてるって!」
それを聞いた4人は再び険しい顔付きに戻るのだった。
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