続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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ダグスク 〜入り江の端〜

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「旦那。海を渡るって本当かい?」

 楽しい時間が経って暫くして、テンが徐に問いかけてきた。

「はい。
 まずはデザリアに渡って、その次はパライソの森へ向かいます。」

「そうか、パライソの方まで・・・。
 いやな。人族を襲う連中の事は聞いていると思うんだが、うちの作業員の1人に獣人がいてさ。
 そいつが連中と会った事があるんだそうだ。
 話を聞いていると結構物騒だなと思ってね。」

 心配そうに顔を顰めるテンに隣にいたグレータが肘打ちをしている。

「人族を襲う集団がいる事は王都で話を聞きました。
 ダグスクに来てよく聞くというのは、やっぱり海を隔てて外国と隣接しているからでしょうか?」

 首を傾げるイオリに息子のディスが頷いた。

「そうだね。
 外国からの流入もあるし、中には働きに出てきた連中もいる。
 トッツさんは働きに出てきた人だよ。
 色んな国を転々としてたんだけど、今はダグスクが気に入ってアースガイル国民としての資格も得たんだよ。
 家族も出来て、真面目にウチで働いてくれてるんだ。」

「へー。」

 相槌を打つイオリであるが、彼の目の前で美味しそうに干物に食らいつく狼獣人の双子は元は隣国“ミズガルド”の生まれであるし、鰹節にショユの実の汁を垂らしているエルフの少年は秘境“エルフの里”の生まれだ。
 今では皆んなアースガイル国ポーレット領の民として認められている。
 
 そして何を隠そう、イオリ自身が不明な身元を保証して貰っているのを彼は忘れている。

 旅をする冒険者しかり、他国から流れて移住しに来る者も珍しくない。
 
 そのトッツという人物もその1人と言うわけだ。

「もし良かったらトッツさん呼んでこようか?
 まだ作業場にいると思うよ。」

 ディスが問い掛ければテンが頷いた。

 作業場に向かったディスが1人の男を連れて帰ってきたのはすぐの事だった。

 男の名はトッツ。
 ディスよりも少し年上の犬の獣人で突然呼ばれた事に戸惑いを隠せてはいないようだった。

「トッツ。いきなり呼んで悪いな。」

「いや、良いけど。
 会長、何か用かい?」

 テンが会長と呼ばれている。
 聞き慣れない事この上ないが、彼らの中では当たり前なのか会話は平然と続けられていく。

「こちらのイオリの旦那は俺達の恩人なんだがな。
 海を渡るって言うんだ。
 ほら、今の時期は何かと物騒だろう?
 お前の知ってる話を聞かせてやってくれないか?」

「あぁ、革命軍の奴らの事か。」

 要件を得たと頷くトッツの言葉に今度はイオリ達が驚く番だった。

「「革命軍!?」」

 イオリとヒューゴが声を揃えると子供がビクッと体を揺らした。

「穏やかなじゃないな。」

 流石のヒューゴも顔を顰めた。
 
 イオリ達はこれまでと違う話をトッツから聞かされる事となる。

※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも是非ご覧下さい。



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