続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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ダグスク 〜入り江の端〜

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 革命軍
 
 その言葉にイオリとヒューゴの顔が険しくなる。

「あれ?知らなかったのかい?」

 キョトンとするテンに2人は頷いた。

「革命軍という言葉は初めて聞きました。
 トッツさん。
 初めまして、冒険者をしているイオリといいます。
 突然呼び出して申し訳ないですが、話を聞かせて貰えますか?」

 イオリの丁寧な口調にトッツは戸惑いながらも頷いた。

「・・・いいけど。」

 そんなトッツにエナ婆ちゃんが声をかける。

「トッツよぉ。
 このイオリがいたから領主様が乾物を認めてくれたんだ。
 私の大切な子なんだよ。
 この子が危険な場所に行かなきゃいけない。
 助けてくれないかい。」

 乾物屋・レガシー商会のエナと言えば、グラトニー商会や領主オーウェン・ダグスクでさえ一目置く人間だ。
 それにトッツにとっても拾って貰った恩がある。
 トッツは珍しいエナの頼み事に恥ずかしそうに微笑むと頬を掻いた。

「分かったよ。エナ婆ちゃん。
 婆ちゃんに言われたら嫌とは言えない。
 皆さん人族には気分の良い話じゃないと思うけど、教えられる事は教えます。」

 焚き火の輪に迎え入れたトッツが語ったのは悲しい過去だった。

 トッツの生まれ育ったのは海の向こうの大陸で狩猟やささやかな農業で生計を立てる地域だったそうだ。

「国とかそんな大層な地域じゃなくて、集落ってのが近くに何個か点在していてオレの生まれたのは比較的大きな集落だった。」

 懐かしむトッツにディスがハーブティーを淹れてやった。

「20人や30人そこらの集落だったけど、獣人が多いところでドワーフやエルフも2人づつくらいいたかな。」

 その集落が襲われたのはトッツが5歳の年齢の時だった。

「後で知った事だけど、その時に襲われたのはオレの集落だけじゃなかった。
 周辺の交流ある集落が根こそぎ襲われてたんだ。
 人族に・・・。」

 あぁ・・・また、この手の話が始まる。

 イオリは悲しみを胸に秘めトッツの話に耳を集中させた。

「大人になった時に聞いた話だと、どっかの豪族ってのが騎士を率いていたって話だよ。
 さっきも言ったけど、別に国ってのがあるエリアじゃなかったから好き好んで集まった連中が勝手に集落を作った場所だった。
 その豪族ってのは、それが気に入らなかったのか周辺の集落を蹴散らして土地を奪ったって話だったよ。
 別に、そんな乱暴な事しなくても出ていけって言えば良いだけなのにね。」

 空笑いをするトッツに乾物屋の一家は労るように寄り添った。

「沢山の仲間が星に帰ったよ。
 オレの父ちゃんや母ちゃんも、その時に・・・。
 でもオレと小さい赤ん坊は連れてかれて奴隷商に売られたんだ。」

 奴隷商・・・その意味合いはアースガイルと他国では大きく違う。

 アースガイルでは人材派遣会社の意味合いがあるが、他国では正に権利を奪われた人を売り買いする商売の事を指す。

 トッツの語りは続く・・・。

※※※※※ ※※※※※

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