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ダグスク 〜入り江の端〜
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ーーートッツの妹がパライソの森の秘境の集落に匿われていたらしい。
テンの言葉にイオリ達は目を丸くした。
「パライソの森・・・ルーシュピケ。」
「おっ。イオリの旦那知ってるのかい?
人族を受け付けない獣人やエルフ達の楽園だって話だ。
そんなの問い合わせても無駄だろう?
でもトッツが妹がどうなったのか知りたいって気持ちも分かるしなぁ。
でも、トッツは色々ありすぎたからあっちの大陸には行きたくないんだよ。」
トッツを気遣うテンの言葉を聞きながらイオリはヒューゴや子供達と目を合わせていた。
皆んなの頷きを確認するとイオリはトッツに伝えた。
「トッツさん。
俺、今度の旅ではデザリアの次にルーシュピケに向かうんです。」
「「「「えっ!?」」」」
エナ以外を除いたトッツ、テン、グレータ、ディスが驚きの声を上げた。
「あちらの人達と縁がありまして招待されているんです。
もしよければ、俺達が確認してきましょうか?」
「本当に?良いのか?」
トッツの泣きそうな顔にイオリは微笑んだ。
「ルーシュピケの後にも向かう所があるので帰って報告する事は出来ませんが、お知らせくらいは送れます。」
「あっ、ありがとう!ありがとう。」
感涙するトッツをテン達が諌める中、エナがイオリの手を取った。
「またアンタに救われる。
大変な事ばかり背負わてすまないね。」
そんなエナにイオリはニヤリとした。
「俺達は冒険者ですよ。
依頼があれば何処へでも行きます。
もう、報酬も頂きましたしね。」
イオリは焚き火で炙られた干物を指差した。
「あぁ、確かに。
これは仕事で返さなきゃな。」
たらふく干物や乾物を楽しんだ子供達を見渡してヒューゴが笑い出す。
そんな子供達は分かっているのにニコニコと食べる手を止める事はない。
その様子を見ていたエナは可笑しそうに笑い、その笑いはテンやグレータ、ディスにまで伝わる。
「トッツさん。
もし妹さんがルーシュピケに囲われているのなら、絶対に無事ですよ。
あの場所は獣人達にとって安心できる場所ですから。
皆さん支え合って逞しく生きているんです。」
涙を流すトッツにイオリが語りかけた。
パライソの森の奥深く、助けを求める獣人やエルフがいれば何を置いても受け入れてくれる場所がある。
森と溶け込み、草木や花に囲まれた美しい集落。
体の大きな象の獣人と、もはや何歳になるかも分からないエルフの翁。
彼らがいればトッツの妹は無事のはずなのだ。
懐かしい機織りの音と人々の賑やかな声を思い出しイオリは微笑んだ。
彼の地を愛し、見守る守護者アマメは元気だろうか・・・。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも是非ご覧下さい。
テンの言葉にイオリ達は目を丸くした。
「パライソの森・・・ルーシュピケ。」
「おっ。イオリの旦那知ってるのかい?
人族を受け付けない獣人やエルフ達の楽園だって話だ。
そんなの問い合わせても無駄だろう?
でもトッツが妹がどうなったのか知りたいって気持ちも分かるしなぁ。
でも、トッツは色々ありすぎたからあっちの大陸には行きたくないんだよ。」
トッツを気遣うテンの言葉を聞きながらイオリはヒューゴや子供達と目を合わせていた。
皆んなの頷きを確認するとイオリはトッツに伝えた。
「トッツさん。
俺、今度の旅ではデザリアの次にルーシュピケに向かうんです。」
「「「「えっ!?」」」」
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「あちらの人達と縁がありまして招待されているんです。
もしよければ、俺達が確認してきましょうか?」
「本当に?良いのか?」
トッツの泣きそうな顔にイオリは微笑んだ。
「ルーシュピケの後にも向かう所があるので帰って報告する事は出来ませんが、お知らせくらいは送れます。」
「あっ、ありがとう!ありがとう。」
感涙するトッツをテン達が諌める中、エナがイオリの手を取った。
「またアンタに救われる。
大変な事ばかり背負わてすまないね。」
そんなエナにイオリはニヤリとした。
「俺達は冒険者ですよ。
依頼があれば何処へでも行きます。
もう、報酬も頂きましたしね。」
イオリは焚き火で炙られた干物を指差した。
「あぁ、確かに。
これは仕事で返さなきゃな。」
たらふく干物や乾物を楽しんだ子供達を見渡してヒューゴが笑い出す。
そんな子供達は分かっているのにニコニコと食べる手を止める事はない。
その様子を見ていたエナは可笑しそうに笑い、その笑いはテンやグレータ、ディスにまで伝わる。
「トッツさん。
もし妹さんがルーシュピケに囲われているのなら、絶対に無事ですよ。
あの場所は獣人達にとって安心できる場所ですから。
皆さん支え合って逞しく生きているんです。」
涙を流すトッツにイオリが語りかけた。
パライソの森の奥深く、助けを求める獣人やエルフがいれば何を置いても受け入れてくれる場所がある。
森と溶け込み、草木や花に囲まれた美しい集落。
体の大きな象の獣人と、もはや何歳になるかも分からないエルフの翁。
彼らがいればトッツの妹は無事のはずなのだ。
懐かしい機織りの音と人々の賑やかな声を思い出しイオリは微笑んだ。
彼の地を愛し、見守る守護者アマメは元気だろうか・・・。
※※※※※ ※※※※※
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