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ダグスク 〜出発までの〜
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イオリは目覚めてから直ぐにダークエルフ・ルミエールとの戦いの邂逅をテオルドに語っていた。
ルミエールの悲惨な前世の苦悩はアースガイル国の中枢には知られる事となるが、世界を混乱に貶めてきたダークエルフの情報は極力内密にとなっている。
ーーールミエールは決して憐れんで欲しいわけじゃない。
そう言ったイオリの言葉も、その決定を強く押した。
だが、残された“エルフの里の戦士”達はどうなのだろう?
テオルドやヴァルトといった、“エルフの里の戦士”と対峙した者達の話からすると、唐突に煙の様に消えたと聞いている。
では、その後は?
突如として表舞台に現れた“エルフの里の戦士”達は、同じく突如として消えてしまった。
その後は捜索もされたそうだが、“エルフの里”と呼ばれていた場所は緑1つない砂漠となっており、戦士の行方の痕跡の1つもなかったそうだ。
ただ、1つ。
無数の蝋燭が飾られた洞窟が発見された。
その中の蝋燭の数本に灯火を添えて。
その話を聞いた時、イオリは生き残った“エルフの里の戦士”がいる事を主張した。
ダークエルフの消滅と共に“エルフの里の戦士”は滅んだ。
そう信じる者の中には、イオリの意見に反対する者がアースガイル国の貴族だけでなく他国の中にも沢山いた。
信じたくないのだ。
当時、テオルドはそう言った。
多くの者は平和に安堵し、再び恐怖に襲われる事など信じたくないのだ。
嘗て、倒せなかったダークエルフを“エルフの里”に閉じ込めた先人達と同じだ。
未来の恐怖は不確定で、それよりも目の前の平和な幸せに目を向けた方が良いのだろう。
だが、それでは未来を生きる者達をどう守れば良い?
我々だけでも忘れずにいよう。
イオリの話を聞いたテオルドが家族や家臣達に語った事だった。
そして今
残された“エルフの里の戦士”達がどうしているのか・・・。
『この革命軍の裏に“エルフの里の戦士”
が関わっている。
イオリは、そう思っているのか?』
確信めいた言葉で問いかけてきたテオルドにイオリは肩をすくめた。
「分かりません。
獣人達を中心とした革命軍。
彼等には人族を恨む理由は数多あります。
リルラさん達の様に仲良くしようと考える方が寛容すぎるのかもしれません。
それでも、人族を滅ぼす・・・。
この過激な考え方には“エルフの里”と通じるものがあると思うんです。
でも・・・。」
イオリが言い淀む理由をテオルドは直ぐに察知した。
『ダークエルフや“エルフの里”の考えはエルフが全ての種族の頂点に立つ事。
獣人やドワーフと連携をとっている革命軍とは少し系統が違う気がするな。』
「はい・・・。」
イオリは素直に頷いた。
『まずはデザリアでリルラと会う事を勧める。
イオリが海を渡る事は知らせている。
待っている事だろう。』
イオリは王都で別れた昔馴染みを思い、その日は眠りにつくのだった。
ルミエールの悲惨な前世の苦悩はアースガイル国の中枢には知られる事となるが、世界を混乱に貶めてきたダークエルフの情報は極力内密にとなっている。
ーーールミエールは決して憐れんで欲しいわけじゃない。
そう言ったイオリの言葉も、その決定を強く押した。
だが、残された“エルフの里の戦士”達はどうなのだろう?
テオルドやヴァルトといった、“エルフの里の戦士”と対峙した者達の話からすると、唐突に煙の様に消えたと聞いている。
では、その後は?
突如として表舞台に現れた“エルフの里の戦士”達は、同じく突如として消えてしまった。
その後は捜索もされたそうだが、“エルフの里”と呼ばれていた場所は緑1つない砂漠となっており、戦士の行方の痕跡の1つもなかったそうだ。
ただ、1つ。
無数の蝋燭が飾られた洞窟が発見された。
その中の蝋燭の数本に灯火を添えて。
その話を聞いた時、イオリは生き残った“エルフの里の戦士”がいる事を主張した。
ダークエルフの消滅と共に“エルフの里の戦士”は滅んだ。
そう信じる者の中には、イオリの意見に反対する者がアースガイル国の貴族だけでなく他国の中にも沢山いた。
信じたくないのだ。
当時、テオルドはそう言った。
多くの者は平和に安堵し、再び恐怖に襲われる事など信じたくないのだ。
嘗て、倒せなかったダークエルフを“エルフの里”に閉じ込めた先人達と同じだ。
未来の恐怖は不確定で、それよりも目の前の平和な幸せに目を向けた方が良いのだろう。
だが、それでは未来を生きる者達をどう守れば良い?
我々だけでも忘れずにいよう。
イオリの話を聞いたテオルドが家族や家臣達に語った事だった。
そして今
残された“エルフの里の戦士”達がどうしているのか・・・。
『この革命軍の裏に“エルフの里の戦士”
が関わっている。
イオリは、そう思っているのか?』
確信めいた言葉で問いかけてきたテオルドにイオリは肩をすくめた。
「分かりません。
獣人達を中心とした革命軍。
彼等には人族を恨む理由は数多あります。
リルラさん達の様に仲良くしようと考える方が寛容すぎるのかもしれません。
それでも、人族を滅ぼす・・・。
この過激な考え方には“エルフの里”と通じるものがあると思うんです。
でも・・・。」
イオリが言い淀む理由をテオルドは直ぐに察知した。
『ダークエルフや“エルフの里”の考えはエルフが全ての種族の頂点に立つ事。
獣人やドワーフと連携をとっている革命軍とは少し系統が違う気がするな。』
「はい・・・。」
イオリは素直に頷いた。
『まずはデザリアでリルラと会う事を勧める。
イオリが海を渡る事は知らせている。
待っている事だろう。』
イオリは王都で別れた昔馴染みを思い、その日は眠りにつくのだった。
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