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狩人イオリの奮闘
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「ワハハハ!
それで、そのシキミってのは全部コジモに持って行かれたのか?」
「はい。折角、採取してきたのに・・・。」
毒草を没収され肩を落とすイオリにライオン獣人のダンが苦笑した。
此処はポーレットの街にある“日暮れの暖炉”という宿屋兼食堂である。
イオリにとって居心地の良いこの店は街の中でも特別な店だった。
店の手伝いをしていたニナであったが、イオリを迎えエプロン姿のままポーレットの街を駆け抜けたのは小一時間前の事だった。
報告と魔獣の買取をお願いしてギルドから出ると、イオリはニナを連れて“日暮れの暖炉”にやってきたのだ。
ニナは今、店の裏でゼンとおやつを食べているところだ。
「そりゃ、お前。
死にいたる毒と聞いて、ギルドが簡単に使用させる訳がないだろう。
どうせ、狩猟に使うつもりだったんだろうが、毒まみれの動物や魔獣なんかギルドが高く買い取るわけないからな。」
「あぁ、そうか。そうですね。」
ダンに言われてイオリは、成程と納得したように頷いた。
「あぶねー薬は他にあるんだ。
精々、ビリビリと痺れさせて終わりにしてやれ。」
「はーい。」
ダンは、この素直なイオリが好きだった。
今では公爵邸に住んでいるイオリであるが、最初にポーレットの街を訪れた時は、この“日暮れの暖炉”が彼等の家だった。
以降、イオリ家族を気に入ったダンは暖かく見守っている。
「ダンさーん。
酒のおかわりぃ~。」
奥のテーブルでは、依頼を失敗した冒険者が無念な心を酒で洗い流していた。
「そろそろやめとけ。
冒険者なんてのは、命持って帰ってくりゃ幾らでもやり直し効くんだ。
その悔しさを次の依頼で発散しろよ。」
主人のダンは元冒険者である事から、冒険者達の悩み話を聞く事も多い。
時には酒に逃げる者も救わんと気にかけているのだ。
「くっそぉ。
レッドボアめ。めちゃくちゃ硬いじゃねーか!」
そうは言っても、件の冒険者の悔しさは簡単に晴れそうもない。
他の街からやってきた男は、苦戦した初めての“明けない魔の森”の記憶を失いたいのだろう。
空になったジョッキを傾け無理やり数滴舐め、恨めしそうにダンを睨みつけていた。
「ダメなもんはダメだ。
酒に逃げたって、体を悪くするだけで意味がない。」
「でも、ダンさんよ~。」
諦めの悪い冒険者にカウンターにいたイオリが振り返った。
「貴方の武器は?」
「えっ?」
「貴方の得意な武器は?
そのに立てかけてあるデッカい剣です?」
突如、見知らぬ青年に話しかけられた冒険者は酒で真っ赤に染めていた顔を硬直させながら頷いた。
「あぁ、そうだ。
と言っても俺1人じゃなくて仲間もいる。
弓使いと盾使いだ。」
それを聞いたイオリは何度も頷いていた。
冒険者の男は問いかける様にダンに視線を送ったが、ダンはニコニコと頷くばかりだ。
「弓使いと盾使いが囮で、貴方が仕留め役ってところかな?」
イオリの言葉に冒険者はショゲながら頷いた。
「あぁ。アイツら一生懸命に囮になってくれたのに、俺が失敗したから・・・申し訳なくって。」
グダる冒険者にイオリは小さく頷いた。
「レッドボアは体格の割に足が弱いんですよ。
スピードが速いから足も筋肉の塊である事は間違い無いんだけど、足の筋肉を支える腱を断ち切るとあっけなく倒れます。
一度試してみたらいいですよ。」
「へっ?」
「ダンさんも失敗したら、やり直せって言ってるじゃないですか。
大丈夫。
きっと攻略出来る日がきますよ。」
不思議な青年から助言を得た翌日、冒険者は仲間と共に1体の大きなレッドボアをギルドに持ち帰るのだった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
書籍化につきまして新たなご報告をさせて頂きます。
2025年1月20日(月)に各書店に発送されます。
書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
それに伴い、1月20日(月)よりアルファポリス様に投稿している[164話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。
ご了承下さい。
この様な機会に恵まれておりますのも、楽しんで下さる皆様のお陰です。
引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』を宜しくお願い致します。
ぽん
それで、そのシキミってのは全部コジモに持って行かれたのか?」
「はい。折角、採取してきたのに・・・。」
毒草を没収され肩を落とすイオリにライオン獣人のダンが苦笑した。
此処はポーレットの街にある“日暮れの暖炉”という宿屋兼食堂である。
イオリにとって居心地の良いこの店は街の中でも特別な店だった。
店の手伝いをしていたニナであったが、イオリを迎えエプロン姿のままポーレットの街を駆け抜けたのは小一時間前の事だった。
報告と魔獣の買取をお願いしてギルドから出ると、イオリはニナを連れて“日暮れの暖炉”にやってきたのだ。
ニナは今、店の裏でゼンとおやつを食べているところだ。
「そりゃ、お前。
死にいたる毒と聞いて、ギルドが簡単に使用させる訳がないだろう。
どうせ、狩猟に使うつもりだったんだろうが、毒まみれの動物や魔獣なんかギルドが高く買い取るわけないからな。」
「あぁ、そうか。そうですね。」
ダンに言われてイオリは、成程と納得したように頷いた。
「あぶねー薬は他にあるんだ。
精々、ビリビリと痺れさせて終わりにしてやれ。」
「はーい。」
ダンは、この素直なイオリが好きだった。
今では公爵邸に住んでいるイオリであるが、最初にポーレットの街を訪れた時は、この“日暮れの暖炉”が彼等の家だった。
以降、イオリ家族を気に入ったダンは暖かく見守っている。
「ダンさーん。
酒のおかわりぃ~。」
奥のテーブルでは、依頼を失敗した冒険者が無念な心を酒で洗い流していた。
「そろそろやめとけ。
冒険者なんてのは、命持って帰ってくりゃ幾らでもやり直し効くんだ。
その悔しさを次の依頼で発散しろよ。」
主人のダンは元冒険者である事から、冒険者達の悩み話を聞く事も多い。
時には酒に逃げる者も救わんと気にかけているのだ。
「くっそぉ。
レッドボアめ。めちゃくちゃ硬いじゃねーか!」
そうは言っても、件の冒険者の悔しさは簡単に晴れそうもない。
他の街からやってきた男は、苦戦した初めての“明けない魔の森”の記憶を失いたいのだろう。
空になったジョッキを傾け無理やり数滴舐め、恨めしそうにダンを睨みつけていた。
「ダメなもんはダメだ。
酒に逃げたって、体を悪くするだけで意味がない。」
「でも、ダンさんよ~。」
諦めの悪い冒険者にカウンターにいたイオリが振り返った。
「貴方の武器は?」
「えっ?」
「貴方の得意な武器は?
そのに立てかけてあるデッカい剣です?」
突如、見知らぬ青年に話しかけられた冒険者は酒で真っ赤に染めていた顔を硬直させながら頷いた。
「あぁ、そうだ。
と言っても俺1人じゃなくて仲間もいる。
弓使いと盾使いだ。」
それを聞いたイオリは何度も頷いていた。
冒険者の男は問いかける様にダンに視線を送ったが、ダンはニコニコと頷くばかりだ。
「弓使いと盾使いが囮で、貴方が仕留め役ってところかな?」
イオリの言葉に冒険者はショゲながら頷いた。
「あぁ。アイツら一生懸命に囮になってくれたのに、俺が失敗したから・・・申し訳なくって。」
グダる冒険者にイオリは小さく頷いた。
「レッドボアは体格の割に足が弱いんですよ。
スピードが速いから足も筋肉の塊である事は間違い無いんだけど、足の筋肉を支える腱を断ち切るとあっけなく倒れます。
一度試してみたらいいですよ。」
「へっ?」
「ダンさんも失敗したら、やり直せって言ってるじゃないですか。
大丈夫。
きっと攻略出来る日がきますよ。」
不思議な青年から助言を得た翌日、冒険者は仲間と共に1体の大きなレッドボアをギルドに持ち帰るのだった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
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2025年1月20日(月)に各書店に発送されます。
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それに伴い、1月20日(月)よりアルファポリス様に投稿している[164話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。
ご了承下さい。
この様な機会に恵まれておりますのも、楽しんで下さる皆様のお陰です。
引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』を宜しくお願い致します。
ぽん
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