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王都 〜青春からの因果〜
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“デーゾルド”と呼ばれる魔花がある。
魔力に反応し、強い腐臭を発する不思議な花だ。
魔獣の中では、この魔花の香りを好み魔力補充として根を食すものもいる。
けっして毒性はなく、あるとすれば腐臭で気分が悪くなるというくらいだろう。
「それが“デーゾルド”という植物なのだな?
・・・それは匂いではなく、色などの視覚的な罠では駄目だったのか?」
誰しもが疑問に思っていた事をクォーレル伯爵はイオリに問いかけた。
「あっ・・・。色でも良かったか。」
クォーレル伯爵の指摘にポカンとした後にイオリがニッコリとすると、ポーレット公爵テオルドはクスクスと笑い、宰相グレンは皺の寄った額をトントンと叩いていた。
「経緯は分かりました。
先程も申し上げましたが、異常な腐臭を発した人間と面会した事はありません。
流石に、そんな異常事態を忘れる事はないでしょう。」
クォーレル伯爵の証言にテオルドは頷いた。
「しかも、手だけとなると状況は限られる。」
テオルドは宰相グレンを見上げると、彼も考え込む様に目を瞑っていた。
すると、テオルドの従者であるノアが呟いた。
「・・・書類?
いや、手紙などは考えられませんか?」
「あぁ、それだ!!
手紙なら本人と接触してないし、手で触りますもんね。
うわっ!ノアさん、賢い!!」
イオリが素直に褒めると、ノアは小さく微笑んだ。
「クォーレル伯爵。
受け取った手紙の中で思い当たるものはありませんか?」
ノアに話し掛けられて、クォーレル伯爵はドキッとしながらも考え込んだ。
「こんなにも貴族が多く王都に集まる事は稀だ。
普段よりも多くの手紙が届いている事は事実だ。
その中の1通となると・・・。」
困った顔をするクォーレル伯爵に宰相グレンが助け舟を出す。
「恐らく、黒幕は王都で暗躍している者の中にいるはずです。
普段から王都にいる貴族に絞って下さい。」
「成程・・・。
それを踏まえて一度屋敷に戻り調べてみましょう。」
「分かるんですか?」
目を丸くするイオリにクォーレル伯爵はコクンと頷いた。
「当然だ。
届いた手紙は保管しているし、送られてきた品の目録も付けている。
執事に申しつければ問題ない。」
どうやら貴族としては当たり前なのか、驚いているのはイオリばかりだ。
イオリは手を挙げてテオルドにお願いをした。
「クォーレル伯爵の家に行きたいです!!
ゼンが手紙を見つけますよ。」
自分の名前が呼ばれて、再びクッサイ匂いを嗅がされる事を察したゼンはノアの足元に隠れた。
それを見ていたノアは優しく微笑むとイオリに頼み事をした。
「イオリよ。
ニナを連れて行ってくれ。」
「あぁ、そうですね。
そうします。
良いですよね?」
やる気満々のイオリにテオルドとグレンは微笑んだ。
「頼んだ。」
「そうして下さい。」
話の見えないのはクォーレル伯爵ばかりだ。
疑問を口にする事なく先行きを見守っている。
するとノアが学生時代の様な気やすさでクォーレル伯爵の肩をポンッと叩いた。
「イオリの家族に清掃魔法に長けた子がいるのです。
屋敷中に散らばった“デーゾルド”の微かな匂いも取り払ってくれるはずです。」
理解したクォーレル伯爵は、思わず微笑んだ。
「それは助かる。」
良い年した男達が青春の蟠りを解消した瞬間に立ち会っている事に気付かないイオリだった。
魔力に反応し、強い腐臭を発する不思議な花だ。
魔獣の中では、この魔花の香りを好み魔力補充として根を食すものもいる。
けっして毒性はなく、あるとすれば腐臭で気分が悪くなるというくらいだろう。
「それが“デーゾルド”という植物なのだな?
・・・それは匂いではなく、色などの視覚的な罠では駄目だったのか?」
誰しもが疑問に思っていた事をクォーレル伯爵はイオリに問いかけた。
「あっ・・・。色でも良かったか。」
クォーレル伯爵の指摘にポカンとした後にイオリがニッコリとすると、ポーレット公爵テオルドはクスクスと笑い、宰相グレンは皺の寄った額をトントンと叩いていた。
「経緯は分かりました。
先程も申し上げましたが、異常な腐臭を発した人間と面会した事はありません。
流石に、そんな異常事態を忘れる事はないでしょう。」
クォーレル伯爵の証言にテオルドは頷いた。
「しかも、手だけとなると状況は限られる。」
テオルドは宰相グレンを見上げると、彼も考え込む様に目を瞑っていた。
すると、テオルドの従者であるノアが呟いた。
「・・・書類?
いや、手紙などは考えられませんか?」
「あぁ、それだ!!
手紙なら本人と接触してないし、手で触りますもんね。
うわっ!ノアさん、賢い!!」
イオリが素直に褒めると、ノアは小さく微笑んだ。
「クォーレル伯爵。
受け取った手紙の中で思い当たるものはありませんか?」
ノアに話し掛けられて、クォーレル伯爵はドキッとしながらも考え込んだ。
「こんなにも貴族が多く王都に集まる事は稀だ。
普段よりも多くの手紙が届いている事は事実だ。
その中の1通となると・・・。」
困った顔をするクォーレル伯爵に宰相グレンが助け舟を出す。
「恐らく、黒幕は王都で暗躍している者の中にいるはずです。
普段から王都にいる貴族に絞って下さい。」
「成程・・・。
それを踏まえて一度屋敷に戻り調べてみましょう。」
「分かるんですか?」
目を丸くするイオリにクォーレル伯爵はコクンと頷いた。
「当然だ。
届いた手紙は保管しているし、送られてきた品の目録も付けている。
執事に申しつければ問題ない。」
どうやら貴族としては当たり前なのか、驚いているのはイオリばかりだ。
イオリは手を挙げてテオルドにお願いをした。
「クォーレル伯爵の家に行きたいです!!
ゼンが手紙を見つけますよ。」
自分の名前が呼ばれて、再びクッサイ匂いを嗅がされる事を察したゼンはノアの足元に隠れた。
それを見ていたノアは優しく微笑むとイオリに頼み事をした。
「イオリよ。
ニナを連れて行ってくれ。」
「あぁ、そうですね。
そうします。
良いですよね?」
やる気満々のイオリにテオルドとグレンは微笑んだ。
「頼んだ。」
「そうして下さい。」
話の見えないのはクォーレル伯爵ばかりだ。
疑問を口にする事なく先行きを見守っている。
するとノアが学生時代の様な気やすさでクォーレル伯爵の肩をポンッと叩いた。
「イオリの家族に清掃魔法に長けた子がいるのです。
屋敷中に散らばった“デーゾルド”の微かな匂いも取り払ってくれるはずです。」
理解したクォーレル伯爵は、思わず微笑んだ。
「それは助かる。」
良い年した男達が青春の蟠りを解消した瞬間に立ち会っている事に気付かないイオリだった。
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