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皇帝の弟殿下の大いなる溜息
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震える体を押し込むように起立するディミトリオ・ハクヤに2匹の龍の目が降り注ぐ。
今の帝国は姫巫女を迎えるのに相応しい治世をしていない。
それでも、ディミトリオ・ハクヤは国の為に民の為にこの機会を逃すわけにはいかなかった。
宝樹が朽ちかけてている今、帝国では龍の加護が薄れていて瘴気により流行病が広がっている地域もある。
龍の姫巫女の存在がロンサンティエ帝国に新たな風を吹き込ませる事が出来るかもしれない。
必死なディミトリオ・ハクヤに金龍の低い声が問いかける。
『何でもと言うたな。
では、その魂を使って民を救えと言ったら、お前は命を差し出すか?』
「っ!!
私は・・・っ!」
[ーーー生きて欲しい]
かつて、ある人に言われた事を思い出しディミトリオ・ハクヤは口を噤んだ。
国を思えば是と答えるべきであったが、心の内の悲鳴が彼を引き留める。
背中にじんわりと汗を掻いた。
言葉が出てこないディミトリオ・ハクヤに金龍が口を開いた。
『強がるな。
どんな危機に苛まれようとも、決して《何でもする》とは言ってはならん。
お前の純心の言葉は愚かな者ほど、狡賢く利用する。
それが人であう?』
『其方は素直に助けを乞えば良いのです。
かつてのフランコのように・・・。』
懐かしそうに目を細める銀龍は、まるでディミトリオ・ハクヤにかつての友人を映すように微笑んだ。
「フランコ・トワ・ロンサンティエ・・・初代様ですか?」
『そう。
フランコは素直で誠実な若者でした。
家族や友人を心配する様は、民を想う今の其方の様でしたよ。』
銀龍がフーっと煙を吐き出しすと、スクリーンと化した煙に見た事のない男が微笑んでいるのが映って見えた。
『彼がフランコです。
どうですか?
少しは、其方も似てるところがあるのではなくて?』
思いがけず、かつての偉人との対面にディミトリオ・ハクヤは唖然とした。
「絵姿でしか拝見できずにいましたのに、御尊顔を得まして感動しております。」
国を作り上げた祖先は高潔な洗練さよりも、人懐っこい笑顔が印象的だった。
金色の髪を無造作に纏めて結い上げては恥ずかしそうに頭を掻いている様だ。
今の皇族には見られない小麦色の肌を鍛え上げられた筋肉は隆々に盛り上がっている。
『お前はフランコの若かりし頃を見て何を想う?』
煙の中の初代ロンサンティエ国王フランコは楽しそうに笑っていた。
『この時代は今よりも、もっと生活が困窮していた時だ。
どう飢えを耐えるのか、人々は苦心したに違いない。』
金龍の言葉がディミトリオ・ハクヤを追い詰めていく。
ディミトリオ・ハクヤはフランコの笑顔の意味を知りたかった。
「どうして、笑顔でいられたのでしょう。
天候は荒れ、作物は育たず、森や海の生き物達も凶暴になっていた筈です。
初代様は、どうして笑っておいでなのでしょう。」
『それはな・・・己が、どう生きるのかという事を理解し覚悟を決めていたからやもしれん。』
「どう生きるのか・・・理解し覚悟する。」
人生を諦め、生き残る事だけを考えてきたディミトリオ・ハクヤには自分よりも若くして生き方を決めたフランコが眩しく見えた。
今の帝国は姫巫女を迎えるのに相応しい治世をしていない。
それでも、ディミトリオ・ハクヤは国の為に民の為にこの機会を逃すわけにはいかなかった。
宝樹が朽ちかけてている今、帝国では龍の加護が薄れていて瘴気により流行病が広がっている地域もある。
龍の姫巫女の存在がロンサンティエ帝国に新たな風を吹き込ませる事が出来るかもしれない。
必死なディミトリオ・ハクヤに金龍の低い声が問いかける。
『何でもと言うたな。
では、その魂を使って民を救えと言ったら、お前は命を差し出すか?』
「っ!!
私は・・・っ!」
[ーーー生きて欲しい]
かつて、ある人に言われた事を思い出しディミトリオ・ハクヤは口を噤んだ。
国を思えば是と答えるべきであったが、心の内の悲鳴が彼を引き留める。
背中にじんわりと汗を掻いた。
言葉が出てこないディミトリオ・ハクヤに金龍が口を開いた。
『強がるな。
どんな危機に苛まれようとも、決して《何でもする》とは言ってはならん。
お前の純心の言葉は愚かな者ほど、狡賢く利用する。
それが人であう?』
『其方は素直に助けを乞えば良いのです。
かつてのフランコのように・・・。』
懐かしそうに目を細める銀龍は、まるでディミトリオ・ハクヤにかつての友人を映すように微笑んだ。
「フランコ・トワ・ロンサンティエ・・・初代様ですか?」
『そう。
フランコは素直で誠実な若者でした。
家族や友人を心配する様は、民を想う今の其方の様でしたよ。』
銀龍がフーっと煙を吐き出しすと、スクリーンと化した煙に見た事のない男が微笑んでいるのが映って見えた。
『彼がフランコです。
どうですか?
少しは、其方も似てるところがあるのではなくて?』
思いがけず、かつての偉人との対面にディミトリオ・ハクヤは唖然とした。
「絵姿でしか拝見できずにいましたのに、御尊顔を得まして感動しております。」
国を作り上げた祖先は高潔な洗練さよりも、人懐っこい笑顔が印象的だった。
金色の髪を無造作に纏めて結い上げては恥ずかしそうに頭を掻いている様だ。
今の皇族には見られない小麦色の肌を鍛え上げられた筋肉は隆々に盛り上がっている。
『お前はフランコの若かりし頃を見て何を想う?』
煙の中の初代ロンサンティエ国王フランコは楽しそうに笑っていた。
『この時代は今よりも、もっと生活が困窮していた時だ。
どう飢えを耐えるのか、人々は苦心したに違いない。』
金龍の言葉がディミトリオ・ハクヤを追い詰めていく。
ディミトリオ・ハクヤはフランコの笑顔の意味を知りたかった。
「どうして、笑顔でいられたのでしょう。
天候は荒れ、作物は育たず、森や海の生き物達も凶暴になっていた筈です。
初代様は、どうして笑っておいでなのでしょう。」
『それはな・・・己が、どう生きるのかという事を理解し覚悟を決めていたからやもしれん。』
「どう生きるのか・・・理解し覚悟する。」
人生を諦め、生き残る事だけを考えてきたディミトリオ・ハクヤには自分よりも若くして生き方を決めたフランコが眩しく見えた。
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