溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

文字の大きさ
37 / 473
老師との訓練という名の戯れ

36

しおりを挟む
『それは叶いません。
 彼の者は既に肉体滅び、魂だけの存在なのです。』

 銀龍の言っている事が分からず、ディミトリオ・ハクヤは首を傾げた。

「老師殿は既に亡くなっている者と言う事ですか?」

『その方が分かりやすいですね。
 そうです。
 あの者は既に死した魂・・・この世界とは別の世界から来た魂なのです。』

 戸惑うディミトリオ・ハクヤを置き去りに銀龍は老師の・・・“龍王島”の・・・リリィのもう1つの秘密を話し始めた。 

______

 この世界とは別の世界。
 
 それは、歴史も価値観も理も違う、ましてや龍など存在しない全く別の世界だった。

 様々な時代、様々な国からからやって来た者達。
 皆、元々の世界で偉業を成し遂げた賢人達で、それでいて何処か俗世に未練がある者ばかりだった。

 龍王の呼び声に応え召喚された彼らは様々な教育をリリィに施した。

 それは、魔法や剣術から政治に帝王学、淑女教育に舞や楽器の芸術、医療そして料理までありとあらゆるものだった。

 リリィは龍の加護で与えられた力だけでなく、努力を重ねて己の力を手に入れたのだ。
_______

 ディミトリオ・ハクヤは目の前に座る美少女を驚愕した面持ちで見上げた。

 リリィは姫と崇められながらも自分で料理をするなど己の生活を確立させていた。
 ここにきて、ずっと不思議に思っていた事が解決した。

 リリィはディミトリオ・ハクヤが心配する必要性がない程に高い能力を身につけているのだ。

『賢人達の魂は島から離れれば消滅してしまうのだ。
 だから、あの男が島から出る事は叶わん。』

 ディミトリオ・ハクヤは疑問に思った事を素直に口にした。

「ならば、他の賢人達は何処に?
 私達は、この島に来て老師殿以外の賢人に会った事がありません。」

 それには龍王だけでなく、リリィも、いやアリスまで溜息を吐いた。

『本来ならリリィが知識や技術を習得した時点で皆、満足して成仏して行くのだが、しつこい老師は龍の島への探究心が尽きずに今もまだ魂が居座っていたのだ。』

「あっ・・・。」

 なんだか想像が出来てディミトリオ・ハクヤは苦笑した。

「でも、そのお陰で私は新たな力を得る事が出来ました。
 老師の諦めない探究心に私は感謝致します。」

 教える事に熱心で、力強い目からは魔法への情熱を感じる事が出来る不思議な老人。

 死して尚、知る事・学ぶ事を辞めずに知識を惜しむ事なくリリィに授け、弟子の成長を子供の様に喜んでいた。
 ディミトリオ・ハクヤに与えたのは妖精との関わり合いや魔法だけでなく根底に沈んでいた勇気と自信だった。

 短い間であったが師匠と仰ぐ男が死人であったとう事実にディミトリオ・ハクヤの心が荒く波打つのだった。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...