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混沌なる後宮
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ーーーそれから暫く経った昼下がりの日。
皇妃メッサリーナの離宮のサロンから賑やかな女達の笑い声が聞こえてきた。
「この華やぐ日に色取り取りの美しさを持ち合わせた皆さんに集まって頂くとは、なんて良い日なんでしょう。
何よりも今日は新しいお客様が仲間入りして下されたのですよ。
御紹介しますわね。
龍の姫巫女様であられるリリィ様ですわ。」
自分が開催した茶会に龍の姫巫女がいる事が嬉しいのか、御機嫌な皇妃メッサリーナの元には彼女を崇拝する女達が集まり盛り上がりを見せてた。
《仲間って・・・キモ。》
心の中で悪態を吐くリリィにお構いなしに皇妃は自分の1番近くの席をリリィに進める。
その隣には空気に徹する男・・・ディミトリオ・ハクヤがいた。
今日、この茶会に招待されたのは後宮に住まう女達ばかりではない。
皇妃メッサリーナが気に入っている高位貴族の奥方や娘達が揃っているのだ。
皆、世にも珍しい龍の姫巫女に会いに来たのだが、オマケに麗しいディミトリオ・ハクヤにも会えた事で、いつになく顔が高揚しているようだった。
「龍の姫巫女様って“龍王島”でお育ちになったと聞きました。
・・・何というか、ご苦労されたのでしょうね?」
開口一番、嫌味の1つを言ってきたのは第1姫であるアブリエル・エマである。
「可哀想・・・。」
と眉を下げて憐れみながらも、節々から馬鹿にする雰囲気がダダ漏れだった。
「フフ。」
それを鼻で笑うリリィに視線がキツくなるアブリエル・エマの横で皇妃メッサリーナが様子を伺うように見つめていた。
すると、それまで空気でいたディミトリオ・ハクヤがカチャンと音を立ててカップをソーサーに戻した。
「淑女の皆様に私が“龍王島”で体験した事をお話ししましょう。」
優雅に微笑むディミトリオ・ハクヤに集まった女性だけでなく皇妃メッサリーナも第1姫アブリエル・エマまでもが頬を染める。
「ハクヤ殿。
“龍王島”がいかような場所で、龍の姫巫女様がどの様に暮らされていたのか聞かせて下さいな。」
誘うような皇妃メッサリーナに鋼鉄の笑みを浮かべたディミトリオ・ハクヤは頷いた。
「“龍王島”に向かった日は大嵐で上陸も難しく必死な思いで島に辿り着きました。
しかし、一夜過ぎれば何とも楽園かと見紛うばかりの美しい景色に私は心が奪われたのです。
そして、“龍王島”の最新部に行けば行くほどに我々が目にした事もない様な文明が存在していたのですよ。
詳しくは龍王様との盟約故に口に出来ませんが、リリィ様は実に素晴らしい場所でお暮らしになっていらっしゃいました。
アブリエル・エマ様が御心配するような事は何もありませんでしたよ。」
当たり障りなく、それでいて人が聞けば興味惹かれる様に伝えたディミトリオ・ハクヤに第1姫アブリエル・エマは不満そうに顔を膨らませた。
そう、アブリエル・エマはリリィを田舎者と恥をかかせたかっただけなのだ。
茶会が始まって暫くした時だった。
皆の話題がリリィに集まっているのがつまらないのかアブリエル・エマは母の意向を無視してリリィを挑発した。
「リリィ様は後宮は初めてでしょう?
あのね。
皆、私の願いを叶えくれるのです。
皆んな私に優しいの。」
年よりも幼く話すアブリエル・エマにリリィは微笑んだ。
「分かります。
龍に願いを叶えて欲しい人は皆、私に優しいのと同じですね。」
リリィの言葉に茶会が静まり返った。
皇妃メッサリーナの離宮のサロンから賑やかな女達の笑い声が聞こえてきた。
「この華やぐ日に色取り取りの美しさを持ち合わせた皆さんに集まって頂くとは、なんて良い日なんでしょう。
何よりも今日は新しいお客様が仲間入りして下されたのですよ。
御紹介しますわね。
龍の姫巫女様であられるリリィ様ですわ。」
自分が開催した茶会に龍の姫巫女がいる事が嬉しいのか、御機嫌な皇妃メッサリーナの元には彼女を崇拝する女達が集まり盛り上がりを見せてた。
《仲間って・・・キモ。》
心の中で悪態を吐くリリィにお構いなしに皇妃は自分の1番近くの席をリリィに進める。
その隣には空気に徹する男・・・ディミトリオ・ハクヤがいた。
今日、この茶会に招待されたのは後宮に住まう女達ばかりではない。
皇妃メッサリーナが気に入っている高位貴族の奥方や娘達が揃っているのだ。
皆、世にも珍しい龍の姫巫女に会いに来たのだが、オマケに麗しいディミトリオ・ハクヤにも会えた事で、いつになく顔が高揚しているようだった。
「龍の姫巫女様って“龍王島”でお育ちになったと聞きました。
・・・何というか、ご苦労されたのでしょうね?」
開口一番、嫌味の1つを言ってきたのは第1姫であるアブリエル・エマである。
「可哀想・・・。」
と眉を下げて憐れみながらも、節々から馬鹿にする雰囲気がダダ漏れだった。
「フフ。」
それを鼻で笑うリリィに視線がキツくなるアブリエル・エマの横で皇妃メッサリーナが様子を伺うように見つめていた。
すると、それまで空気でいたディミトリオ・ハクヤがカチャンと音を立ててカップをソーサーに戻した。
「淑女の皆様に私が“龍王島”で体験した事をお話ししましょう。」
優雅に微笑むディミトリオ・ハクヤに集まった女性だけでなく皇妃メッサリーナも第1姫アブリエル・エマまでもが頬を染める。
「ハクヤ殿。
“龍王島”がいかような場所で、龍の姫巫女様がどの様に暮らされていたのか聞かせて下さいな。」
誘うような皇妃メッサリーナに鋼鉄の笑みを浮かべたディミトリオ・ハクヤは頷いた。
「“龍王島”に向かった日は大嵐で上陸も難しく必死な思いで島に辿り着きました。
しかし、一夜過ぎれば何とも楽園かと見紛うばかりの美しい景色に私は心が奪われたのです。
そして、“龍王島”の最新部に行けば行くほどに我々が目にした事もない様な文明が存在していたのですよ。
詳しくは龍王様との盟約故に口に出来ませんが、リリィ様は実に素晴らしい場所でお暮らしになっていらっしゃいました。
アブリエル・エマ様が御心配するような事は何もありませんでしたよ。」
当たり障りなく、それでいて人が聞けば興味惹かれる様に伝えたディミトリオ・ハクヤに第1姫アブリエル・エマは不満そうに顔を膨らませた。
そう、アブリエル・エマはリリィを田舎者と恥をかかせたかっただけなのだ。
茶会が始まって暫くした時だった。
皆の話題がリリィに集まっているのがつまらないのかアブリエル・エマは母の意向を無視してリリィを挑発した。
「リリィ様は後宮は初めてでしょう?
あのね。
皆、私の願いを叶えくれるのです。
皆んな私に優しいの。」
年よりも幼く話すアブリエル・エマにリリィは微笑んだ。
「分かります。
龍に願いを叶えて欲しい人は皆、私に優しいのと同じですね。」
リリィの言葉に茶会が静まり返った。
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