溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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混沌なる後宮

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 王宮でロンサンティエ帝国に龍の姫巫女が帰還したと知らしめる為に大々的な宴が催される事になった。

 長い間、龍の使者を謳ってきたロンサンティエ帝国であったが、実は龍と帝国の盟約が絶対な物ではないと知ってしまった近隣諸国への牽制が目的であり、提案した宰相ムク・フラン侯爵の思惑としては皇帝とリリィの仲を取り持つ意味合いもあり、機嫌の悪い皇帝をその気にさせるのに躍起になっていた。

 国内の貴族の動きも気にしなければいけない。

 ディミトリオ・ハクヤが龍の使者に指名された事で、貴族の中には皇帝ではなくディミトリオ・ハクヤに靡こうとする動きがあった。

 世界中に暮らす人間達にとって龍とは神に近い存在だった。
 存在はしないが、崇め願いを乞う・・・それは幻の存在なのだ。
 日和見な人間達がディミトリオ・ハクヤに近づこうとするは必須だった。

 宰相ムク・フランは焦っていた。
 皇帝と龍の姫巫女リリィの間に走った亀裂を補う為に開催した皇后メッサリーナの茶会の失敗。
 今や龍の姫巫女リリィにおける現在の皇室に対する評価は最悪まで地に落ちていた。

「・・・宴ねぇ。」

 懲りる事のない相手の企みにリリィは苦笑した。

 情報を得てきたのはディミトリオ・ハクヤの従者クレイと契約した影精霊であるノワールだった。
 この見た目が真っ黒な猫の精霊は暗闇や影に隠れて周囲の話を聞く事ができた。

 それは情報収集を得意とするクレイとの相性が実に良かった。

「こういった催しの場合、皇帝は他国の君主を前に自分の側室や愛妾を自慢する為に歌や踊りをさせる傾向にあります。
 もしかしてリリィ様にも無理難題を押し付けてくる可能性があります。」

「くだらない男ね。
 あぁ、だからこそお飾りの皇帝なんて恥知らずが出来るのね。」

 突如リリィが口にした毒舌にクレイはニコニコと微笑んだ。

「同感ですね。」

「おい。こら。
 誰が、どこから聞いているか分からぬのだ。
 口を慎みなさい。」

 リリィの離宮“百合の宮”の奥にあるリビングダイニングに入ってきたディミトリオ・ハクヤが困ったように笑いながら入ってきた。
 その後には護衛であるスサとセキエイの姿が見える。

「どうせ誰も聞く事すら出来ないわよ。」

 リリィがつまらなそうに指をクルクルさせた。
 
「・・・成程。」

 ディミトリオ・ハクヤはリリィが建物に施した様々なスキルを思い出して微笑んだ。

 リリィが建て直した“百合の宮”には盗聴防止や不法侵入防止など国家レベルの防衛のスキルが張り巡らされていた。
 どんな猛者でも侵入の穴1つ見つける事は難しいだろう。

「今、世界で此処より安全な場所はないだろうな。
 そうだリリィよ。
 それなら、ジョーディ達も出してやって良いか?」

 ディミトリオ・ハクヤが指先から水滴を垂らすの見て、リリィは微笑み頷くのだった。

 
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