溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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波乱の宴

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「・・・あれは。」

 その様子を袖から見ていたディミトリオ・ハクヤにアリスがクスクスと小さく笑い、いつも感情を見せないコテツでさえ、どこか微笑んでいた。

「あれは、リリィの踊りの師匠が好んでいたダンスで、“オルランタル”と言う種類のダンスだ。
 女性の美しさを強調するのに最適なダンスなんだそうだ。
 リリィはそれに加えてステップで音を奏でているんだ。」

「100賢人の一人か?
 ダンスの名手までいるとは・・・」

「まぁ、そうだな。
 前世では屈指の踊り子だったらしい。
 その踊りで、一国の王を魅了して戦争のきっかけにまでなった人だってさ。」

「・・・リリィは兄を・・・皇帝を落としに掛かっているのか?」

 不安そうなディミトリオ・ハクヤにコテツは肩を竦めた。

「さあね。
 そうかもしれないし、ただ単にバカな姫に腹が立っているのかもしれない。
 どちらにせよ。
 現在のリリィは自分の行動で誰かがどう動くのか興味はないんじゃないか?」

「・・・目的は混乱。」

「そう、皇帝を軸としたロンサンティエをひっくり返そうとしている。
 その為には、人の心を惑わすのが1番簡単だ。
 それは龍の姫巫女くらいの果てなき存在がいなければ出来ない事だろ。」
 
 皇帝の弟にして宴の客としても招待されずに裏方に徹していたディミトリオ・ハクヤは、この立場だからこそ見える景色を見ていた。

 好奇の視線、そして怨みの念の全てがリリィに注がれている。
 
 中でもリリィをけしかけたアブリエル・エマと、皇帝の寵愛を奪われるやもと焦る愛妾・ベルナからの憎悪含む視線は凄まじかった。

 ロンサンティエの血筋が紡がれた国々の中には自国の為にリリィへ欲望の気持ちを向ける者もいる。

 ーーー欲望。

 それだけを言うのであれば、この中でリリィへ1番の欲望を向けているのは皇帝ハイゴール・ウィリなのかもしれない。

 惚けるその顔は、すでに屈辱や恥を忘れて、彼女をどう自分の物にしようか考えている。

《絶対的な存在が現れて、こうも人の感情が浮き彫りになるとはな・・・。》

 ディミトリオ・ハクヤは呆れながらも、自分もその1人なのだろうと苦笑した。

 息一つ乱れる事なく踊り続けるリリィの周囲ではルーチェ達・・・龍がご機嫌に体を揺らし、光の玉・・・妖精達が楽しそうに跳ねていた。

 しかし、会場にいる人間達の殆どが、その美しい光景が見えていないのだろう。
 
 欲望に踊らされ、動き出すのは誰なのか・・・。

 リリィに釘付けになっている者達の思惑を見逃すまいと観察するディミトリオ・ハクヤであった。 

  
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