溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

文字の大きさ
121 / 473
皇帝が欲しかったもの

120

しおりを挟む
「龍・・・龍・・・龍。
 そればかりだ。
 其方には自分の意見がないのか?」

「龍に従う。
 それが私の意思です。
 それならば、貴方には自分の意思とやらがあるのかしら?
 ここまで国を荒廃させた本人であるのに。」

 リリィは不思議そうに首を傾げた。

「貴様っ!」

 侮辱され青筋に力が入るハイゴール・ウィリにリリィがクスクスと笑う。

「やっぱり貴方は勘違いしている。
 龍にとって、この国に生きる全ての生命は平等なの。
 龍から預かった国を管理し平和を維持し続ける。
 それが皇帝と貴族に与えられた役割りだった。
 皇帝や貴族の権威とやらは人間が決めた事。」

 龍の姫巫女リリィの言葉に2人の男は何も言う事が出来ずにいた。

「時代を超えて、いつしか人間達は自分達の都合の良い理由を付けて、龍の真意から離れてしまった。
 例え時代、時代に現れた龍の姫巫女が力を与えようとも一時凌ぎにしかならず、国の根底は疲弊したまま。
 そんな無駄な事を何度もさせる気?」

 それこそ不満だとばかりにリリィの顔が顰められる。

「先ほど私は言ったわ。
貴方の宮殿であろうとも、龍達が縄張りを決めてしまったと・・・。
 それで言うのなら、このロンサンティエという国こそが龍王の縄張りなのよ。
 貴方達、人間は龍王の縄張りに預かり住んでいる小さな命でしかない。
 ならば、縄張りの主が許可をしなければ宝樹に力を与える事ができないと言う私の言葉も理解出来るのではないのかしら?」

 皇帝ハイゴール・ウィリは驚愕していた。
 これまで自分の地盤を固めていた物が砂塵のように脆くなってしまったような感覚だ。

 フラつく皇帝を支えるように宰相ムク・フランがリリィに問い掛ける。
 
「解決策は?」

 この出会った事と随分と変わり始めている宰相の男をリリィは睨め付けるように見つめた。

「龍が嫌いになったものを再び愛する事はない。
 分かる?
 どうするべきなのか?
 この国は皇帝の決定1つで塵になるぞ。」

「それでは市民達に被害が・・・。」

 これまで、1度でも市民の心配をした事があるのだろうか?
 あまりに陳腐な言葉にリリィは苦笑するしかなかった。

「面白い。
 今更、市民の心配?
 その志があったならば、今の結果は違ったでしょうね。」

 今や、皇帝と宰相はリリィが発する言葉の檻に閉じ込められていた。

 皇帝ハイゴール・ウィリはポツリと呟いた。

「何故、私はいつも本当に欲しいものは手に入れられないのだ。
 どうして、アイツはいつも手に入れる事が出来るのだ。
 権力も財力も立場も私の方が上なのに・・・。
 どうして・・・弟に私は勝てないのだ。」

 虚ろな目を向けるハイゴール・ウィリにリリィは眉を下げた。

「それは、貴方が多くを求めたから。
 そして、彼が多くを求めなかったから。」

 皇帝なる男は驚きで目を見開いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど

有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。 私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。 偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。 そして私は、彼の妃に――。 やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。 外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。

naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★ オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。 癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。 そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。 「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」 ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

処理中です...