181 / 473
後宮にも新たな風が吹く
180
しおりを挟む
王宮に存在するユニエ・アミとテムズ・ダンの幼少期の報告書には溜息を吐かざるおえなかった。
発熱、嘔吐、発疹、咳の悪化、倦怠感と様々な病状が記録されている。
体の弱かった双子には皇帝ハイゴール・ウィリも思う事があったのか、金の糸目も付けずに侍医に命じて世界中から良質な薬を集めた。
報告書に書かれていたのはそれだけじゃない。
転んだ擦り傷、打ち身、骨のヒビなども書かれていた。
これは他の皇子や皇姫の医療報告に比べて破格の量である。
報告書をテーブルに放り投げたリリィが舌打ちをした。
「これ、虐待ね。」
「虐待・・・。
皇姫と皇子を?」
愕然とするクレイをリリィが睨みつけた。
「他の人間に心配して欲しくて、自分を傷つける人がいるの。
これは、自分の代わりに子供を傷つけていたという胸糞悪い虐待よ。」
前皇帝の側妃ロザンナが双子の皇姫と皇子にした仕打ちにリリィが怒り浸透なのをクレイは戸惑って見つめた。
「発熱、嘔吐、発疹、倦怠感。
この辺は毒の可能性があるわ。
死なない程度の微量の毒を子供に飲ませて、まるで風邪かのような。
持病でもあるように見せているのよ。
侍医の報告にも原因不明って書いてあるわ。
あまりの少なさに毒は検出出来なかったのかしら?
どちらにせよ。
子供相手に少量だって毒は毒よ。
それに・・・。」
リリィが忌々しげな顔で文字を撫でた。
「擦り傷、打ち身、骨のヒビなんて物理的に痛め付けたに違いないわ。
考える力を奪い。暴力で服従させ、己の欲望を満たす為だけに子供達を利用した。
ユニエ・アミとテムズ・ダンが全てを諦める理由が、この報告書にはある。」
リリィ怒りに反応するように龍達が首をもたげて報告書を覗き込んでいる。
自分に対する嫌がらせや攻撃を鼻であしらう龍の姫巫女が声を荒げて怒っている。
事の重大性を理解したクレイは静かに立ち上がり、リリィに頭を下げた。
「早急に事実を確認して参ります。
その後、主人と皇帝陛下に報告し采配をお任せしたいと存じます。」
神妙な顔のクレイにリリィはコンコンとテーブルを叩いた。
「今もあの子達は危険に晒されている。
ユニエ・アミとテムズ・ダンの周囲にいる侍従や侍女はオンブロー伯爵家から寄越されたと聞いたわ。
かの家は、ユニエ・アミとテムズ・ダンをこれからも利用する気よ。
何でも与えられていた側妃と言っても、後宮への薬の持ち込みは制限されているはず。
ましてや毒なんて・・・。
ロザンナを手助けしていた者がいるはず。
それが、オンブロー伯爵家だとしたら皇帝陛下の采配は甘いのではないからしら?」
前皇帝の側妃であったロザンナは公費の使い込みにより後宮を追い出された。
子供達と引き離された彼女はオンブロー伯爵家に戻されたが、扱いに困った実家は彼女を田舎の所領に送る予定だという。
目立った功績も悪事もなかったオンブロー伯爵家にはロザンナの公費の使い込みに対する罰金を課せられたが、言ってしまえばそれだけである。
ロザンナが愛妾そして側妃になり、恩恵を受けていたオンブロー伯爵家。
大きな利益ではなく、継続的な恩恵を求めて使えなくなった娘を捨て、孫であり姪であり甥である双子を利用しようとしているのではないか・・・。
リリィの怒りの向こうにみた薄汚い感情が渦巻く事件にクレイは嫌悪するのだった。
発熱、嘔吐、発疹、咳の悪化、倦怠感と様々な病状が記録されている。
体の弱かった双子には皇帝ハイゴール・ウィリも思う事があったのか、金の糸目も付けずに侍医に命じて世界中から良質な薬を集めた。
報告書に書かれていたのはそれだけじゃない。
転んだ擦り傷、打ち身、骨のヒビなども書かれていた。
これは他の皇子や皇姫の医療報告に比べて破格の量である。
報告書をテーブルに放り投げたリリィが舌打ちをした。
「これ、虐待ね。」
「虐待・・・。
皇姫と皇子を?」
愕然とするクレイをリリィが睨みつけた。
「他の人間に心配して欲しくて、自分を傷つける人がいるの。
これは、自分の代わりに子供を傷つけていたという胸糞悪い虐待よ。」
前皇帝の側妃ロザンナが双子の皇姫と皇子にした仕打ちにリリィが怒り浸透なのをクレイは戸惑って見つめた。
「発熱、嘔吐、発疹、倦怠感。
この辺は毒の可能性があるわ。
死なない程度の微量の毒を子供に飲ませて、まるで風邪かのような。
持病でもあるように見せているのよ。
侍医の報告にも原因不明って書いてあるわ。
あまりの少なさに毒は検出出来なかったのかしら?
どちらにせよ。
子供相手に少量だって毒は毒よ。
それに・・・。」
リリィが忌々しげな顔で文字を撫でた。
「擦り傷、打ち身、骨のヒビなんて物理的に痛め付けたに違いないわ。
考える力を奪い。暴力で服従させ、己の欲望を満たす為だけに子供達を利用した。
ユニエ・アミとテムズ・ダンが全てを諦める理由が、この報告書にはある。」
リリィ怒りに反応するように龍達が首をもたげて報告書を覗き込んでいる。
自分に対する嫌がらせや攻撃を鼻であしらう龍の姫巫女が声を荒げて怒っている。
事の重大性を理解したクレイは静かに立ち上がり、リリィに頭を下げた。
「早急に事実を確認して参ります。
その後、主人と皇帝陛下に報告し采配をお任せしたいと存じます。」
神妙な顔のクレイにリリィはコンコンとテーブルを叩いた。
「今もあの子達は危険に晒されている。
ユニエ・アミとテムズ・ダンの周囲にいる侍従や侍女はオンブロー伯爵家から寄越されたと聞いたわ。
かの家は、ユニエ・アミとテムズ・ダンをこれからも利用する気よ。
何でも与えられていた側妃と言っても、後宮への薬の持ち込みは制限されているはず。
ましてや毒なんて・・・。
ロザンナを手助けしていた者がいるはず。
それが、オンブロー伯爵家だとしたら皇帝陛下の采配は甘いのではないからしら?」
前皇帝の側妃であったロザンナは公費の使い込みにより後宮を追い出された。
子供達と引き離された彼女はオンブロー伯爵家に戻されたが、扱いに困った実家は彼女を田舎の所領に送る予定だという。
目立った功績も悪事もなかったオンブロー伯爵家にはロザンナの公費の使い込みに対する罰金を課せられたが、言ってしまえばそれだけである。
ロザンナが愛妾そして側妃になり、恩恵を受けていたオンブロー伯爵家。
大きな利益ではなく、継続的な恩恵を求めて使えなくなった娘を捨て、孫であり姪であり甥である双子を利用しようとしているのではないか・・・。
リリィの怒りの向こうにみた薄汚い感情が渦巻く事件にクレイは嫌悪するのだった。
120
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる