溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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災いは何でもない事から発覚する

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「リリィ様!
 木の上に何か彫られた様な模様があります。」

「駄目よ。駄目。
 絶対に触ってはいけないわ。
 できる事なら離れなさい。」

 木の上で声を張り上げるロメオにリリィは注意を促した。

「カシャ。」

 リリィが声を掛けると、赤龍は、その美しいルビー色の体を大きく変化させた。

 リリィ第一主義の赤龍・カシャは手慣れた様子の主人が自分の体の上に立ったのを確認すると優しく飛び立った。

「気を付けて。」

 思わず声をかけたファヴィリエ・ルカにリリィは微笑む。

 不思議な事に赤龍が近づけば、木の枝が自然と道を開けてくれた。
 これならばリリィの召物が汚れる事はないと満足気な赤龍は頭の上にカランカのボビーをのせたロメオに近づいて行く。

「あちらです。」

 ロメオはリリィの助言通り、件の模様から少し離れた場所で待機していた。

 リリィは模様に近づくと木に彫られていた模様に手をかざす。

「・・・成る程ね。
 これは情報伝達の魔法ね。
 しかも珍しい術を使っているわね。
 今時、こんな魔法を使う人間がいるなんて・・・。」

『遥か昔に作られた魔法印ですね。
 使用しているのが伝達魔法では釣り合いが取れません。
 人間如きが扱うには過分な力かと・・・』

 辛辣な赤龍・カシャの言葉であるが、リリィも同感だった。

 情報伝達の魔法とは、記録した情報を持ち帰ったり、記憶した情景を反映し情報を共有するのに使われる。
 内省を司る文官や、遠方にて戦う事のある騎士の戦略会議にて実に有益な魔法だった。
 
 魔法の簡略化が進んだ現代で、古き時代の難しい魔法印をわざわざ使う必要がない。
 ましてや、伝達魔法などに利用するなどもっての外だった。

「何か問題が?」

 木の下で様子を伺っていた宰相フィリックス・ガルシアが痺れを切らしたかのように声をかけてきた。

「情報伝達の魔法印が刻まれてるわ。
 しかも、古い古い魔法印でね。
 問題と言えば、すでに何処かに情報が流れていたという事かしら・・・。」

 木に刻まれた文字に手をかざしていたリリィの動きがピタッと止まった。
 そしてロメオの頭で小さくなっているカランカに目を向けた。

「ボビー・・・貴方もしかして・・・。
 この魔法印の監視と管理を任されていたの?」

 カランカのボビーはリリィの言葉に頷くと小さく「キュー。」と返事をすると項垂れた。

「監視と管理とは何ですか?」

 いまいち分かっていないロメオが心配そうにリリイに問いかけた。

「この魔法印はね。
 現代の魔法ではなくて、遥か昔に使われていた古代文字が使われてるの。
 解除が難しく、今では、そうそうお目にかかれない魔法のはずよ。
 でも欠点がある。」

 話しながら木から降りてきたリリィはロメオだけではなくファヴィリエ・ルカとフィリックスも交えて説明した。

「欠点ですか?」

 リリィはここから古来に使われていた魔法と現代に受け継がれた魔法について解説する事になるのだった。
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