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災いは何でもない事から発覚する
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しおりを挟む「欠点ですか?」
不思議そうな宰相フィリックス。ガルシアにリリィは頷いた。
「古き時代の魔法は魔力放出の時間が持続しないのよ。」
古い時代に生まれた魔法は一回一回の放出される魔法が強力だ。
しかし、長く持続しないという欠点があった。
簡単に言えば、魔力のパワーとコントロールの問題だ。
結果、戦場での一瞬の攻撃魔法は強力であり、相手に甚大な被害を与える事が出来るが、持続を望む防御魔法などには向かなかった。
争いの時代が翳りを見せ、政治や金で事を収める様になった時代になれば、攻撃魔法は昔の様に必要とはされなくなった。
それよりも、平和を齎す持続的な守護魔法の方が望まれたのだ。
魔法はより簡易的に、少量の魔力の放出でコントロールを高める事で継続的に魔力を扱う道が模索された。
それを可能にしていたのが精霊の存在だった。
古い時代から続く精霊との関係は魔法の簡略化を求める者達にとっても必須な事だった。
時代を重ね、魔法の簡略化が実現すると多くの一般市民までもが魔法を扱える様になり生活が豊かになった。
次第に人間達は、その状況に慣れると奇跡だったはずの魔法という能力が当たり前の事となり、その魔力の源の事を考える事がなくなっていった。
龍への敬愛が薄れ始めれば、自ずと精霊も姿を消していく。
そんな当たり前だった事が歴史の過程で希薄なものとなると、今度は魔法を使える人間が少なくなり、魔法は再び特別な存在となっていく。
国を司る者達が、慌てて魔法を使える人材を育てようと試みるも、その時には魔法の源である精霊の存在を忘れ去ってしまった人間達には魔法の復活さえも困難な事になったのだ。
「・・・愚かだな。人類というのは。」
リリから教えられた話にファヴィリエ・ルカは嘗てを生きた人間達を呪った。
そして、自分達も・・・その次の世代・・いや、もっともっと先の人間達も同じ過ちをする可能性がある事を理解し呆れた様に息を吐いた。
『人が愚かだというのは遥か昔からの常識だ。』
何を今更とばかりにバカにする赤龍・カシャにファヴィリエ・ルカは肩を竦める事しか出来ずにいた。
「そんな愚かな存在だからこそ、龍王は人類が愛おしいのでしょう。
手のかかる子ほど可愛いと言うじゃない。」
リリィが笑うとフィリックスが苦笑した。
「リリィ様、子育てすらまだなのに、そんなの何処で聞いてきたんです?」
「ん~。龍達?」
彼女を教育したのは何千、何万年を生きる龍達なのだ。
彼らに掛かれば、何者も小さく脆弱なか弱い存在だろう。
「それで?
その伝達魔法とやらは解除できるのか?」
話を戻したファヴィリエ・ルカにリリィは頷いた。
「私を誰だと思ってるの?
どんな魔法だとて私の手の中にあるわ。」
リリィの心強い言葉にファヴィリエ・ルカは安堵した。
だが、リリィの話は終わらない。
「でも、何処の誰が何の目的で古代の魔法印で魔法を刻んだか知る必要があるわ。」
「確かに・・・。
後宮の情報が外部に漏れていたとあれば大問題です。
国内貴族だったら粛清ものですし、国外が絡んでいれば争いの種になります。」
顔を顰めるフィリックスにリリィは不遜な笑顔を見せた。
「任せて。
絶対に引き摺り出してやるわ。」
リリィの視線は怯えるボビーに向かっていた。
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