溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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災いは何でもない事から発覚する

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 大好物なコテツのワッフルを味わえてリリィはご機嫌だった。

 それはリリィだけでなく、朝食を共にしたファヴィリエ・ルカやディミトリオ・ハクヤも同じ様で、満足そうに食後の紅茶を楽しんでいた。

 コテツのワッフルは外はカリカリで中がもっちりとした独特な食感が味わえる。
 果物のソースやクリームも美味しいが、ベーコンや野菜サラダにも合う事から男性にも好評だった。

 この和やかな空気を作り出したコテツであるが本来は頼まれたとて、気軽にワッフルを作る事はしない。
 彼にしたらリリィの料理の方が重要で、それ以上の食事は存在しない。
 今とて褒められても素知らぬ顔である。 
 自分が食べたかったから、ついでに作ってやった・・・。

 コテツにしたら、それ位の気持ちだなのだ。

「あぁ・・・美味しい物を食べたのに、憂鬱な1日が始まってしまうのね。」

 満足そうに微笑むリリィであるが、言葉には棘がある。

「仕方なかろう。
 ドブネズミが紛れ込んでいたんだ。
 清掃は必要だ。」

 優雅に紅茶のカップを口に運ぶディミトリオ・ハクヤも同じく毒要素のある台詞を吐いた。

「私は、そのドブネズミの駆除に深夜から走り回っているんですよ。
 朝まで眠れたのだから2人は良いじゃないですか。」

 リリィとディミトリオ・ハクヤに苦言を呈するファヴィリエ・ルカは苦笑するしかない。

「クレイはどの位で戻ってくるでしょう?」

 普段、主人ディミトリオ・ハクヤから離れる事のない侍従が今日は姿が見えない。

「クレイがハクヤから離れるなんて珍しいわね。」

 リリィの言葉にディミトリオ・ハクヤは肩を竦めた。

「そんな事はないさ。
 クレイには忙しくさせているよ。
 役人への使いをさせる事もあるし、王宮から離れて仕事を頼む事だってある。
 今日は思う事があって人を呼びに行かせているが、クレイにとっては今回が1番面倒な仕事かもしれないね。」

 侵入者が捕獲されながらも口を割らない。
 その状況で主人の元を離れたクレイが、わざわざ呼びに行く人物。
 何よりも、彼が面倒と感じる相手など数が少ない。
 その人物の1人を推理したリリィはクスッと笑った。

「・・・あぁ。
 兄君の所にいるのね。」

 リリィは舞踏会で初めて会った、ニコニコと微笑みながらも飄々と人々の影に隠れていた男。
 クレイの兄であるラザロ・ウィットヴィルを思い出した。

「捕獲した男に自白剤や服従魔法など拷問のやり方などあるにはあるが、相手は死を望む者だ。厄介この上ない。
 ラザロ・ウィットヴィル。
 彼なら何か見出すんじゃないかと思ってね。
 クレイを使いにやったんだ。」

 済まし顔のディミトリオ・ハクヤに、クレイの嫌そうな顔が思い出せるリリィとファヴィリエ・ルカは苦笑するしかなかった。
 

 
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