溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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遠く昔の誰かの記録

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「そう言えば、最近はフロドゥールの名を聞く事が増えましたね。
 リリィ様はかつてのロンサンティエ帝国とフロドゥール国の関係をご存知ですか?」

 カランカのボビーが呪印の場所を教えてくれたのは後宮を見渡せる木の上だった。
 それに皇帝である息子の側には、マドレーヌの一番信頼している侍従がいるのだ、不安要素の話が耳に入ってもおかしくはない。

「ロンサンティエの初代王フランコ・トワとフロドゥール国の初代王であるジョルジュが親友であったという事なら聞き及んでいます。」

 リリィの答えにマドレーヌはコクンと頷いた。

「その通りです。
 ですが、実はそれだけではないのです。
 昔、後宮に入るよりもずっと前に先々帝・・・つまり、ハクヤ様の父君から聞いた事があるのです。」

 マドレーヌは思い出すようにゆっくりと話し始めた。

「あれは、もっともっと幼い頃でございました。
 ハクヤ様の母君・・・カヤノ様とお茶会をしていた時です。
 ハクヤ様は私に自分で描かれたスケッチを見せたいと、持って来る為にお部屋に戻られていました。
 その時に先々帝がいらっしゃったのです。
 カヤノ様にお会いしに来られた様でしたが、その時にフロドゥールの名が出た事を覚えています。」

 リリィはマドレーヌの邪魔をしない様に静かに聞いていた。

「ロンサンティエ帝国の初代夫婦・・・フランコ・トワ様と最初の龍の姫巫女セレティア様は相思相愛だったと聞いています。
 しかし、フロドゥール国では彼の国の初代王ジョルジュこそがセレティア様と結ばれるはずであったと伝わっているそうです。
 フロドゥールから龍の姫巫女を奪ったと・・・。
 これは互いに皇家と王家にしか伝わっていない話だそうです。
 正直、眉唾な話ですが・・・。」

「その続きは?」

 不安そうな顔のマドレーヌにリリィは話の続きを促した。

「カヤノ様が私に聞かせる話ではないと、先々帝を嗜められて終わりました。
 しかし以前、似たような話があります。
 ロンサンティエの皇帝がフロドゥールの姫を攫う様に側室にした事があるのです。」

 マドレーヌは冷めた紅茶を捨て、新しく淹れなおした。

「その時も大問題になったそうです。
 両国とも一触即発で戦も辞さなかったとか。」

 初代王通しの話に加えて過去のロンサンティエ帝国の横暴さが、今のフロドゥールに不満と怒りを巻き起こしているのではないかとマドレーヌは案じているのだろう。

 全く身に覚えのない事で争いになるのは現代を受け継いだ者達には傍迷惑な事以外にないわけだが、それが時代を紡いできた証拠であるある事は否めない。

 リリィの表情を読み取ったのか、マドレーヌが真剣な顔で口を開いた。

「そう、遠い過去の話ではないのです。
 これは、先々帝の父君の話。
 ルカから数えて、3代前の皇帝の話なのです。
 今のフロドゥール王・・・レイド・フロドゥールの大叔母にあたる方の話なのです。」

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