溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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遠く昔の誰かの記録

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「ズルッ!!」

 ロンサンティエの皇族しか入室を許されていない、通称“皇室の秘密書簡庫”にやって来たリリィ達。
 彼女が超絶な人ならざるワザで一瞬で全ての資料や本を読み終えるのを見守っていた皇帝ファヴィリエ・ルカは、思わず通る声で叫んでいた。

 マズイっ!と気付いた時には遅い。
 その瞬間にはリリィの美しく涼しい目が細められ、がっつりと睨まれていた。
 無言で威圧してくるリリィがフンッ!と鼻を鳴らし背を向けて部屋の奥へ行ってしまった。

「クククッ。
 残念な事に、私は良くてもお前は駄目らしい。」

 同じ様にズルと口にしていたディミトリオ・ハクヤには笑顔で返していたリリィだが婚約者のファヴィリエ・ルカに言われるのは腹が立ったらしい。

『あれはダメダメだね。
 静観が正解だったんじゃない?』

 いつの間にか具現化していた白銀の龍・ルーチェと父にニヤニヤとされると、ファヴィリエ・ルカは顔を青ざめて慌ててリリィの後を追い掛けて行った。

「しっかりと尻に引かれているようで何よりだ。」

 微笑むディミトリオ・ハクヤにルーチェが同意するようにケラケラと笑った。

『立派に尻を追い掛けてる。』

「リリィを怒らせて龍はルカに怒らないのか?」

『あんな些細な事で怒らないよ。
 むしろ、あれは2人のイチャイチャでしょ?』

「イチャイチャか。」

『イチャイチャだよ。
 コテツやアリスにだって、あんな風に拗ねたりしないもん。
 まぁ、ほっとけば良いよ。
 カシャだって怒りはしないと思うよ。』

 リリィ至上主義の赤龍の癇癪を思い出し、ディミトリオ・ハクヤはルーチェの言葉の信憑性を疑ったが、まぁ皇帝が消し炭になる事はないだろうと、一抹の不安を心に閉まった。
 
 謝罪の言葉を口にしならが、リリィが指差す本を取り出す息子の姿にかつての自分とマドレーヌを思い出し、ディミトリオ・ハクヤは笑いを噛み締めた。

「何笑ってんのよ。
 これ目に通して。」

 笑いを腹に収めたディミトリオ・ハクヤは、リリィに差し出された本を手に取った。

「これは・・・。随分と古い言葉が使われているな。」

 リリィはディミトリオ・ハクヤの隣に立つと開いた本を覗き込み、一文を指さした。

「この文字はフランコ・トワが生きていた時代の文字よ。
 “龍王島”で文字の成り立ちも学んだから間違いないわ。
 ここに、龍王の御前にてフランコ・トワと龍の姫巫女セレニティが互いへの永遠の愛を誓ったと書かれているわ。
 龍王への偽りは魂の消滅を意味するわ。」

「つまり?」

 思わず声を掛けたファヴィリエ・ルカに、リリィは先程までの怒りを感じさせない笑顔を見せた。

「2人の愛は本物という事よ。
 それに、私は龍王に直に2人の出会いから愛を育んでいた過程を聞いているの。
 フランコ・トワ・ロンサンティエとセレティアは真実の愛で結ばれた運命の番である。
 それに偽りはないわ。」

 リリィの言葉に2人のロンサンティエの血筋は安堵したように微笑み合った。
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