溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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義心の先にあるもの

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 豪華とは言えないが、質素でもない。
 使い勝手を最重要に考えられたロンサンティエ帝国の皇帝の執務室。

 その威厳が十分に伝わってくるのは、細かい細工が施されているが故だろう。

 この部屋にも豪華な宝石などが散りばめられている訳ではない。
 しかし、大きな鉱石が置かれていたり、優雅な模様が施された水瓶などが目についた。

「お寛ぎ下さい。」

 短くそう言うと、ファヴィリエ・ルカは慣れた様にソファーに腰を落とした。

 その間、侍女や侍従達が手早く茶などの用意をしていく。

「改めまして。
 ようこそロンサンティエへ。
 皇帝ファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエです。」

 皇帝と国王。
 本来ならば序列などハッキリしているのだが、目の前の若き皇帝は年配の国王に対して敬意を持って接した。

「フロドゥール国国王レイド・フロドゥールです。」

 父や母に対して以来の敬語を口にしたレイド・フロドゥールは何とも不思議な感覚になった。

「こちらは我が国の宰相ハル・シネイです。」

 主人からの紹介に老人は立ち上がって頭を下げた。

「こちら側の紹介は自分でした事でしょうが、宰相フィリックス・ガルシアです。
 それと、あぁ来た。
 大公ディミトリオ・ハクヤです。
 今代の龍の使者として同席します。」

 軍服から着替え、優雅な衣装に身を包んだディミトリオ・ハクヤは男でも見惚れる程に美しい。

「お待たせを。」

 皇帝に許可を取り着席するディミトリオ・ハクヤにレイド・フロドゥールもここまでの案内の礼を口にした。
 そのついでとばかりに皇帝と大公の顔を見比べて微笑んだ。

「風の噂で御2人が親子と聞きました。
 国取りとやらは上手く言って上々ですな。」

 嫌味の1つでも言って、向こうの気持ちを逆撫でしてやろうとの思惑であったが、当の本人達はニコニコと微笑んでいる。
 
 本人達だけかと思えば、宰相の若造とて何やら愉しげだ。

「この年まで、息子がいた事など全く知りませんでね。
 驚いたものです。
 “運命”なんてものがあるのなら今なら信じられる気分ですよ。」

「フロドゥール国王には理解して頂けるだろうか。
 先帝の子でないと分かった私の喜びが・・・。
 あの男の子供でなかった事。
 それこそが私の誇りです。
 まぁ、結局は血が繋がっているわけですが、少なくとも私にとって先帝が実父ではないという事実が喜びだった。」

 先帝の子でなかった事が喜び。

 血筋こそが誉であるはずの王侯貴族。
 本来であれば、大きな醜聞であるが若き皇帝は、先帝の子でない事を誇りと言った。

 ーーーどれほどに腐っていたのか。

 レイド・フロドゥールはロンサンティエ帝国の変化を考えざるおえなかった。

「もう良いかしら?」

 全てを聞いていたのに、さも、どうでも良さそうにしている者がいた。

 龍の姫巫女リリィ

 この女の口車に乗ってレイド・フロドゥールはやって来たのだ。

 一瞥するとレイド・フロドゥールは龍の姫巫女に意地悪そうに口角を上げた。

「どうだ。来てやったぞ。」
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