366 / 473
英傑の記憶②〜帰還〜
346
しおりを挟む
「トワ・・・?
まさか、フランコ・トワなのか?」
さっきまで転がっていた部下の囁く様な声に盗賊の頭は眉を顰めた。
それまで、呆けていた者達も先程の出来事で全員が目が覚めたようだ。
盗賊の頭は呟いた男を足蹴りしする。
「お前っ!
あの小僧を知ってるのか!?」
部下は震えながらコクコクと何度も頷いた。
「俺のいた村の奴です。
海の・・・村の幼馴染の奴です。
でも、まさか・・・そんなわけない。
アイツは、フランコ・トワは嵐の海で死んだはずなんだっ!!」
部下の悲鳴めいた声に盗賊の頭は馬鹿らしいと再び悪態を吐く。
フランコ・トワの声が響いたのは、そんな時だった。
「天変地異の時代が終わり、人々は龍の気まぐれで苦しめられる事はなくなったんだ。
地道に真面目に生活していく方法もあったのに、人を傷つけて貪り尽くす生き方をすると決めたのはお前達だ。」
大きな声でないにも拘らずに、フランコ・トワの声がハッキリと聞こえた。
「何をっ!」
届くはずもないのに拳を振り上げる盗賊の頭の足元では部下の男がさめざめと泣いている。
「ごめん。ごめん。トワ・・・ごめん。」
部下の男は仲間を売り飛ばして得た地位で、散々と利益を享受していた。
しかし、かつての友と、その友が持つ強烈な力の前に己の過ちをまざまざと見せつけられて後悔に押しつぶされているのだ。
「龍の怒りを呼んだのはお前達なんだよ。」
悲しそうな顔を隠さないフランコ・トワが再び腕をのばし空に掲げた。
「何をしやがるつもりだっ!」
盗賊の頭は抵抗の一つもできるわけもなく、叫ぶだけだ。
空に広がる輝かしい光が目を焦がす。
「さよなら。」
大きな光が降り落ちてきた。
襲われた盗賊達は2度と美しい風景を見る事は叶わないだろう。
ーーーーー
「魔法?
それが龍の力なの?」
浜辺で布を洗い干していたフランコ・トワの末の弟であるファノリス・ラインは首を傾げた。
美しい笑顔で頷いたのはセレティア。
兄であるフランコ・トワが“龍王島”から連れ帰った妻である。
「正確には、龍の力を得た妖精の力です。
龍の力は妖精の大好物なんです。
それを与える代わりに人は妖精から力を貸してもらうのですよ。」
摩訶不思議な話に幼いファノリス・ラインの目が輝く。
「それって、オレも出来るの?」
「えぇ。
沢山、練習して妖精と仲良く出来さえすれば誰でも扱える力です。
トワ様は誰よりも妖精に愛されるお方です。」
誇らしげなセレティアは畳んだ布を籠を支えるイルダ婆に渡した。
「あの子は小さい頃から人に好かれる子でね。
そうか・・・妖精様にも好かれたか。」
「えぇ。勿論、龍もトワ様が大好きなんですよ。
それだけじゃなく・・・。」
見張りの盗賊を拘束した漁村は、帰ってくるであろう仲間を受け入れをする準備をしていた。
出来る事は少なくとも、残されていた老人や子供達の顔は明るい。
フランコ・トワが砦に囚われていた仲間を連れ帰ったのは、それから1日たった昼過ぎだった・・・。
_____
まさか、フランコ・トワなのか?」
さっきまで転がっていた部下の囁く様な声に盗賊の頭は眉を顰めた。
それまで、呆けていた者達も先程の出来事で全員が目が覚めたようだ。
盗賊の頭は呟いた男を足蹴りしする。
「お前っ!
あの小僧を知ってるのか!?」
部下は震えながらコクコクと何度も頷いた。
「俺のいた村の奴です。
海の・・・村の幼馴染の奴です。
でも、まさか・・・そんなわけない。
アイツは、フランコ・トワは嵐の海で死んだはずなんだっ!!」
部下の悲鳴めいた声に盗賊の頭は馬鹿らしいと再び悪態を吐く。
フランコ・トワの声が響いたのは、そんな時だった。
「天変地異の時代が終わり、人々は龍の気まぐれで苦しめられる事はなくなったんだ。
地道に真面目に生活していく方法もあったのに、人を傷つけて貪り尽くす生き方をすると決めたのはお前達だ。」
大きな声でないにも拘らずに、フランコ・トワの声がハッキリと聞こえた。
「何をっ!」
届くはずもないのに拳を振り上げる盗賊の頭の足元では部下の男がさめざめと泣いている。
「ごめん。ごめん。トワ・・・ごめん。」
部下の男は仲間を売り飛ばして得た地位で、散々と利益を享受していた。
しかし、かつての友と、その友が持つ強烈な力の前に己の過ちをまざまざと見せつけられて後悔に押しつぶされているのだ。
「龍の怒りを呼んだのはお前達なんだよ。」
悲しそうな顔を隠さないフランコ・トワが再び腕をのばし空に掲げた。
「何をしやがるつもりだっ!」
盗賊の頭は抵抗の一つもできるわけもなく、叫ぶだけだ。
空に広がる輝かしい光が目を焦がす。
「さよなら。」
大きな光が降り落ちてきた。
襲われた盗賊達は2度と美しい風景を見る事は叶わないだろう。
ーーーーー
「魔法?
それが龍の力なの?」
浜辺で布を洗い干していたフランコ・トワの末の弟であるファノリス・ラインは首を傾げた。
美しい笑顔で頷いたのはセレティア。
兄であるフランコ・トワが“龍王島”から連れ帰った妻である。
「正確には、龍の力を得た妖精の力です。
龍の力は妖精の大好物なんです。
それを与える代わりに人は妖精から力を貸してもらうのですよ。」
摩訶不思議な話に幼いファノリス・ラインの目が輝く。
「それって、オレも出来るの?」
「えぇ。
沢山、練習して妖精と仲良く出来さえすれば誰でも扱える力です。
トワ様は誰よりも妖精に愛されるお方です。」
誇らしげなセレティアは畳んだ布を籠を支えるイルダ婆に渡した。
「あの子は小さい頃から人に好かれる子でね。
そうか・・・妖精様にも好かれたか。」
「えぇ。勿論、龍もトワ様が大好きなんですよ。
それだけじゃなく・・・。」
見張りの盗賊を拘束した漁村は、帰ってくるであろう仲間を受け入れをする準備をしていた。
出来る事は少なくとも、残されていた老人や子供達の顔は明るい。
フランコ・トワが砦に囚われていた仲間を連れ帰ったのは、それから1日たった昼過ぎだった・・・。
_____
189
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど
有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。
私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。
偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。
そして私は、彼の妃に――。
やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。
外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる