溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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英傑の記憶②〜帰還〜

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「トワ・・・?
 まさか、フランコ・トワなのか?」

 さっきまで転がっていた部下の囁く様な声に盗賊のかしらは眉を顰めた。
 
 それまで、呆けていた者達も先程の出来事で全員が目が覚めたようだ。

 盗賊のかしらは呟いた男を足蹴りしする。

「お前っ!
 あの小僧を知ってるのか!?」

 部下は震えながらコクコクと何度も頷いた。

「俺のいた村の奴です。
 海の・・・村の幼馴染の奴です。
 でも、まさか・・・そんなわけない。
 アイツは、フランコ・トワは嵐の海で死んだはずなんだっ!!」

 部下の悲鳴めいた声に盗賊のかしらは馬鹿らしいと再び悪態を吐く。

 フランコ・トワの声が響いたのは、そんな時だった。
 
「天変地異の時代が終わり、人々は龍の気まぐれで苦しめられる事はなくなったんだ。
 地道に真面目に生活していく方法もあったのに、人を傷つけて貪り尽くす生き方をすると決めたのはお前達だ。」

 大きな声でないにも拘らずに、フランコ・トワの声がハッキリと聞こえた。

「何をっ!」

 届くはずもないのに拳を振り上げる盗賊のかしらの足元では部下の男がさめざめと泣いている。

「ごめん。ごめん。トワ・・・ごめん。」

 部下の男は仲間を売り飛ばして得た地位で、散々と利益を享受していた。
 しかし、かつての友と、その友が持つ強烈な力の前に己の過ちをまざまざと見せつけられて後悔に押しつぶされているのだ。

「龍の怒りを呼んだのはお前達なんだよ。」

 悲しそうな顔を隠さないフランコ・トワが再び腕をのばし空に掲げた。

「何をしやがるつもりだっ!」

 盗賊のかしらは抵抗の一つもできるわけもなく、叫ぶだけだ。

 空に広がる輝かしい光が目を焦がす。

「さよなら。」

 大きな光が降り落ちてきた。
 襲われた盗賊達は2度と美しい風景を見る事は叶わないだろう。

ーーーーー

「魔法?
 それが龍の力なの?」

 浜辺で布を洗い干していたフランコ・トワの末の弟であるファノリス・ラインは首を傾げた。

 美しい笑顔で頷いたのはセレティア。
 兄であるフランコ・トワが“龍王島”から連れ帰った妻である。

「正確には、龍の力を得た妖精の力です。
 龍の力は妖精の大好物なんです。
 それを与える代わりに人は妖精から力を貸してもらうのですよ。」

 摩訶不思議な話に幼いファノリス・ラインの目が輝く。

「それって、オレも出来るの?」

「えぇ。
 沢山、練習して妖精と仲良く出来さえすれば誰でも扱える力です。
 トワ様は誰よりも妖精に愛されるお方です。」

 誇らしげなセレティアは畳んだ布を籠を支えるイルダ婆に渡した。

「あの子は小さい頃から人に好かれる子でね。
 そうか・・・妖精様にも好かれたか。」

「えぇ。勿論、龍もトワ様が大好きなんですよ。
 それだけじゃなく・・・。」

 見張りの盗賊を拘束した漁村は、帰ってくるであろう仲間を受け入れをする準備をしていた。

 出来る事は少なくとも、残されていた老人や子供達の顔は明るい。
 
 フランコ・トワが砦に囚われていた仲間を連れ帰ったのは、それから1日たった昼過ぎだった・・・。

_____
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