無能職の一人旅

白くまきゅん

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2つの何か

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あの後村の人に休める場所はないか聞いたところ村長の家に連れていかれ一泊泊めてもらえることになった。

「ん?あ、おはよう」

「おはよう。」

起きて部屋を出るとそこには村長さんの娘さんがいた。

「朝ごはんどうする?食べてく?」

「貰っていいかな?」

「わかった。ちょっと待っててね」

すると娘さんは朝食を持ってきてくれた。

「はいどうぞ。口に合うか分からないけど…」

「大丈夫だよ。ありがと」

「どういたしまして」

その後朝食を取り村長さんの家を後にする。

「さて、なにしろっかな?」

そう思いながらうろうろしていると

«―――?―――。»

«――!――――?»

「ん?」

篭った声というかが聞こえてきた。気になりそちらの方に足を進めるとそこに居たのは、

«だからやっぱり無理だってー。»

«やらなきゃ分からないじゃん!»

そこには木かぶの周りに二つの小さな何かが居た。

「小人?…いやもしかしたら精霊か妖精の方かも?」

««えっ?»»

そんな独り言を言うと聞こえたのか二つの小さな何かは驚いた顔でこっちを見てきた。

«僕が見える?»

«私が見える?»

««なんでなんで?なんで見えるの?»»

二つの何か(いや、喋ってるから二人か)は僕の周りをクルクルと回りながらなんで見えるの?っと言い合っていた。

「なぁ君、ここで何してんだ?」

「え?」

この二人をどうしようか考えていると後ろから声をかけられた。

「いや、だからここに"一人"で何してんだろうなって思ってな」

一人?この男性にはこの二人が見えてないのか?

「いや、あそこの木かぶにはなんか特別なものがあるのかなっとね?」

「はぁ?んなもんあるわけないだろ?……いや、」

「?」

男性は思い出したような顔をしながら続けて言った。

「昔からたまにな?ほらそこ、木かぶの隣に斧が落ちてるだろ?」

「え?あ、ほんとだ」

男性が指す方を見ると確かに木かぶの隣に斧が落ちてた。

「それが動くことがあるまぁ極わずかだがな?昔ここには精霊の子がいるらしく村のジジババはみんなその精霊の子がやってるって言ってたな」

そう男性は言ったあと、「ま、俺は信じてないんだが」っと笑いながら言っていた。

「精霊の子…なるほどね…」

「ん?どうした?」

「いやなんでもないさ…あ、そうだ。国が王都…まぁどこでもいいんだけど冒険者になれる所がある場所知らない?」

村長さんの話では冒険者になっていない旅の者は珍しいそうだ、なので少しでも疑われたりしないように冒険者になろうと思っている。

「ん~…そうだな、ここから北に行けばヌーギアっていう国があるぞ」

「なるほど、ありがとう」

北か、

「なんだ?もう行くのか?」

「まぁね、旅の者だからね(笑)旅が仕事みたいなものさ、」

「そうかい、んにしても」

そう言いながら男性はこういう

「お前さん…ほんとにどっちなんだ?」

「?どっちとは?」

「いやな?村長さんとこの娘さんがな、お前さんの顔をまだ見てないらしくてな…それでその身長だろ?みんなお前がどんな顔をしているのかとか性別はどっちなのかとか言い合っているんだよ」

確かに村では顔を見せないようにしてこの村に入ってからもずっとフードを深く被っていたからね…

そう考えながらその時のことを思い浮かべる

━━━━━━━

「して、ハクさんはフードを取らないんですか?」

っと村長さんが言ってくる

「そうですね、私はあまり顔を見られたくないので…すみません」

そういうと村長さんは、

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

と言ってくれた。まぁその娘さんは

「えぇ…顔見たかった、身長だってそうだし声からして女の子だよね?」

「いえ、私は男です。」

「嘘だぁ…」

そんな事を娘さんは言う。その後は晩御飯をご馳走してもらいそのまま寝ることになった。娘さんが見に来そうな予感がしたので【存在】スキルを使い自然と顔を見えなくした。わかりやすく言うなら絶対領域?っと言うものが近い

━━━━━━

「おーい、」

「っ、ごめん考え事をしてた。」

「だろうと思った。んで、村長さんとこの娘さんがな?お前が寝てる時に部屋に入って顔を覗こうとしたみたいでよ、それでも見えなくて分からなかったって言ってたな」

予想的中してたのか…スキルを使っといて正解だったな

「そうなんだ、んじゃ僕は北に行くかな…情報ありがとね」

「いや良いさ、んじゃまた会おうな!」

「近くを通ったら来ようかな?そうだ名前は?」

「俺はクキだ」

「そうか…じゃあクキ、また会おうね」

「おう!」

そう言い僕は村長さんに挨拶をし、門を出て北へ向かった。

««北に行くの?北に行くの?それなら良いとこ行く、良いとこ行こ!»»

ちなみにこの二人はずっと僕の周りをクルクルと回ったり肩に乗ったりしながらついてきていた。

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