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第2章 領地編1~新たな出会い~
第42話 キギャキギャって、何言ってるのか分かんないよ
しおりを挟む助けるべきか、否か。助けるのは簡単だけど、振られた相手に助けられるのって微妙な気持ちにならない? そんなら振るなよ! 的なさぁ。
あぁ。でも、あのままだと大怪我しちゃうよね。うーん。やっぱり行こう! 見て見ぬふりはよくないよね!!
「ん?」
ものすごい殺気を感じてそちらを見れば落ちていくリーダーの元へと飛んでいく1匹のレッドプテラ。だが、今はもう殺気を感じない。
気のせい? いや、確実に殺気だったよね。
私が助けなくても仲間が助けてくれるなら、その方がいいよね。といざとなったら助けられるように見守る。
無事、リーダーは助けに行ったレッドプテラの背中に着地した。そして、2匹まとめて落ちていった。だが、落ちる速さもゆっくりになったので、あれなら大した怪我もしないだろう。
未だに足場にしているレッドプテラを私は見下ろした。
それにしても、なんでこの子はずっと大人しく足場にされてるんだろ?
「私を乗せて下まで行ってくれる?」
そう言えば、ゆっくりと下降し始めるレッドプテラ。もしかして、私の言葉が分かるのだろうか。
「ねぇ、私の言葉が分かるの? イエスなら1回。ノーなら2回鳴いてね」
キギャー。
「私はリーダー倒したことになるの?」
キギャー。
「他のあなたの仲間は人間の言葉は分かる?」
キギャキギャ!
「人間の言葉は話せたりする?」
キギャキギャ。
なるほど。っていうか、何でこの子だけ人間の言葉が分かるんだろ。ノアなら理由が分かるかな?
賢いレッドプテラに乗せてもらって私はノアやリーダーのいるところへと行く。すると──。
キギャギャキギャー!!
何だか、すんごい殺気を向けられた。その相手はさっきリーダーを助けに行ったレッドプテラ……のような気がする。
何かを言ってるんだろうけど、全く分からん。
「姉さん、お疲れさま」
「ノア!」
うん。何か疲れたよ。戦うのは良かったんだけど、なぜか求愛は始まるし、リーダー倒したことになってるのに殺気を向けられるし……。
リーダーを倒したら、次のリーダーになれるんじゃなかったの?
私は乗せていてくれたレッドプテラから降りてお礼を言うと、ノアに抱きついた。
「なんか疲れちゃった。あぁー、癒されるー」
ギューッと抱き締めれば、背中をポンポンとノアは優しく叩いてくれる。あぁ、ノアは控えめに言って最高だ。優しいし、可愛いし、天使だし、頭良いし…………。
「ノア、レッドプテラって人間の言葉が分かるの?」
「え? そんな資料は見たことないけど」
「私を乗せてくれてた子が、私の言葉が分かったんだよね。他のレッドプテラは無理らしいんだけど」
そう言ったら、ノアは私から離れてレッドプテラの方へと行ってしまった。さみしい……。
「僕の言葉、分かる?」
だが、レッドプテラは無視だ。
「どうしたの? お話しするのが嫌なの?」
キギャキギャ。
どういうことだ? 話すのは嫌じゃないけど、ノアを無視をするっておかしくない?
「姉さん、僕の言ってることが分かるか聞いてみてくれる?」
「うん、分かった。私の弟……ノアが言ってること分かった?」
キギャキギャ。
「もしかして、私の言葉だけ分かるの?」
キギャー!
ノアを指差しながら聞けば、答えはノー。私の言葉しか分からないらしい。
「姉さん、そのレッドプテラの上で戦ってたよね。もしかしたら、姉さんから溢れる魔力をそのレッドプテラが取り込んだとか?」
そんなことできるの? とレッドプテラへと視線を向けるが反応なし。そうだった。ノアの言葉は分からないんだった。
「ねぇ、あなたは私の魔力を取り込んだの?」
キギャー?
どうやら本人にも分からないらしい。
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