元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹

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本編

どうしても信じられない

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どうしても信じたくは無いが、俺の世界はあの日から、ガラリと変わってしまった。
ベータからオメガになった俺は、薬を渡された。
もし突発性の発情期ヒートが来たら、服用する様にと渡されたのは、発情を抑える抑制剤だ。
そんなものを飲む事になるなんて、17年生きてきて、考えもしなかった。
俺は、将来は良い大学出て、良い会社に入って、可愛いお嫁さんと生涯を共に過ごすのだろうと、漠然と思っていたんだが。
それが、事もあろうにオメガになってしまった。
オメガは、希少だから国からアルファとの見合い結婚をさせられる。
そこには、俺の遺伝子と相手の遺伝子で、総合的に機械で判断される見合い相手だ。
男女の性別なんて関係ない。
そうしたら、俺の相手が男の可能性も多いにある訳だ。
俺は女の子が好きなんだ。
そんな男となんて、結ばれたくは無い。
後1年で、俺が18歳になったら、俺の相手が決まる‥。
俺は鬱になった。
辛うじて学校には通っている。
学生の内は、結婚しなくても良いからだ。
大学は4年いやもっと通おう。その間に、相手が居なくても良い位に、経済面も良くしなくては行けない。
国からの見合いが何だ!
可愛い女の子だったら受けるけどな!
そう自身を奮い立たせながらも授業に参加した。

「春樹、最近元気無いがどうした?」

俺の友人兼ライバルの顔面強者イケメン野郎が話しかけて来た。

「ああ、俺、顔に出てた?」

何時もの飄々とした、格好良い俺を目指していたつもりだったが、心のブリザードはそれを許さなかったらしい。

「ずっと暗いままだぜ?お前がその調子だと張り合いがねーよ。」

野郎に心配されるのは、どうでも良いが、それで可愛い女の子が逃げたら大変だ。

「そっかー。心配かけて悪いな!何でも無いからさ!」

俺は、クラスの奴らには、性転換した事は話していない。何処からか漏れるだろうが、今はまだ知られたくは無い。
担任には話してあるし、校長や教頭にも話は行っている筈だ。
そう、オメガになると、厄介にも学校や会社勤めする時には、届出を出さないといけない決まりなのだ。
急な発情期ヒートやら体調不良に備える為らしい。
あと、無闇にアルファへの接触も避ける為でもある。
幸いにして、俺の周りにはアルファが居なくて良かった。俺の生活圏は守られている。

そう守られている筈だったんだ。

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