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本編
出会いと現在。大上礼央視点
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出会いと現在
大上礼央視点
その日は、高校の入学式だった。
校舎に全校生徒が向かう中、俺は運命の相手に出会った。
いや、正確にいうとまだ運命とは定まっていなかった。
どこからどう見ても平凡のベータの彼は、藤宮春樹という。
その彼に、ほんの僅かだが、オメガの匂いが紛れていた。
(彼はオメガなのか?)
春樹と出会ったのは、その日が初めてでは無い。
入試試験の時も隣の席になった。だが、その時は匂いがしていなかった筈だ。
それでは、この甘い匂いは気のせいなのだろうか。
(‥きっと、気のせいだ‥。)
気の所為だと思うのは、この高校は、元よりベータが大半を占める高校だ。
稀に家庭の事情でベータの高校に通うアルファやオメガはいるだろうが、そういう者達は、バース性を偽っている事がある。
俺もその一人だ。学校に届出は出しているが、表立ってアルファだと公言はしない。
元々、バース性に拘りが無いのと、次男な為、家督を継ぐわけでは無いし自由にさせてもらっている。
ただ、この高校を受けたのは、幼馴染みの佐野新太に勧められたからだ。
その入試で出会った藤宮に惹かれて、この星宮高校を選んだ、
だが、藤宮とは1年の時はクラスが違った。特に接点も作れないまま、廊下ですれ違う程度だった。
それでも藤宮を一目見れるだけでも。と、自制をしていた。ある日から彼からすれ違う度に匂いが濃くなっていく。
そうなっていくと、藤宮に俺を意識して欲しくなった。
そうして、一年間は、自制の日々を送る。
高2になり、彼と同じクラスになった。
この高校は、履修科目により、クラス替えが行われる。
藤宮と一年同じクラスの幼馴染みの新太に、藤宮がどの科目を選ぶのかを聞き取りしてもらい、同じ科目を選んだ。
そうして、手に入れたクラスメイトとしてのポジション。
直ぐに俺という存在を知って欲しいがために、藤宮に話しかけた。
「ねぇ、君。藤宮君。俺、大上礼央。同じクラスになったんだし、これから宜しくね。」
席が離れているのは難点だったが、これから仲良くなれれば良い。
「ああ、えっと大上くんだっけ?宜しくな!」
やはり、藤宮からは匂いがする。
その匂いはベータからオメガに変異する予兆だった。
そうして、その後は直ぐに仲良くなり、何気に負けず嫌いな藤宮の友人兼ライバルにもなった。
だが、その後に訪れた藤宮のオメガ変化で、俺のアルファとしてのオメガへの欲情が収まらず、彼を傷付ける事になるなんて‥。
その時の俺は、そこまで思い至らなかった。
そうして、傷付けた。
彼が俺を避けるのは、当たり前の事だ。謝罪の言葉も出るには出るが、もうこのまま番にしてしまいたい、そんなアルファの本能もあり、現在進行形で藤宮に避けられるという事態が発生している。
どうして、ここまで藤宮に想いを寄せてしまうのか‥。出会った瞬間から気になり、いつの間にか恋をしていた。
それをきっと運命という事なのだろう。
ならば、俺達は運命で結ばれた者同士だ。
なのに、何故、藤宮は俺に恋をしない?
どうして、どうして‥。
____
創作中、最後あたり眠くなって闇化してしまいました‥。まあ、元々ヤンデレする予定だったし‥いっか!
大上礼央視点
その日は、高校の入学式だった。
校舎に全校生徒が向かう中、俺は運命の相手に出会った。
いや、正確にいうとまだ運命とは定まっていなかった。
どこからどう見ても平凡のベータの彼は、藤宮春樹という。
その彼に、ほんの僅かだが、オメガの匂いが紛れていた。
(彼はオメガなのか?)
春樹と出会ったのは、その日が初めてでは無い。
入試試験の時も隣の席になった。だが、その時は匂いがしていなかった筈だ。
それでは、この甘い匂いは気のせいなのだろうか。
(‥きっと、気のせいだ‥。)
気の所為だと思うのは、この高校は、元よりベータが大半を占める高校だ。
稀に家庭の事情でベータの高校に通うアルファやオメガはいるだろうが、そういう者達は、バース性を偽っている事がある。
俺もその一人だ。学校に届出は出しているが、表立ってアルファだと公言はしない。
元々、バース性に拘りが無いのと、次男な為、家督を継ぐわけでは無いし自由にさせてもらっている。
ただ、この高校を受けたのは、幼馴染みの佐野新太に勧められたからだ。
その入試で出会った藤宮に惹かれて、この星宮高校を選んだ、
だが、藤宮とは1年の時はクラスが違った。特に接点も作れないまま、廊下ですれ違う程度だった。
それでも藤宮を一目見れるだけでも。と、自制をしていた。ある日から彼からすれ違う度に匂いが濃くなっていく。
そうなっていくと、藤宮に俺を意識して欲しくなった。
そうして、一年間は、自制の日々を送る。
高2になり、彼と同じクラスになった。
この高校は、履修科目により、クラス替えが行われる。
藤宮と一年同じクラスの幼馴染みの新太に、藤宮がどの科目を選ぶのかを聞き取りしてもらい、同じ科目を選んだ。
そうして、手に入れたクラスメイトとしてのポジション。
直ぐに俺という存在を知って欲しいがために、藤宮に話しかけた。
「ねぇ、君。藤宮君。俺、大上礼央。同じクラスになったんだし、これから宜しくね。」
席が離れているのは難点だったが、これから仲良くなれれば良い。
「ああ、えっと大上くんだっけ?宜しくな!」
やはり、藤宮からは匂いがする。
その匂いはベータからオメガに変異する予兆だった。
そうして、その後は直ぐに仲良くなり、何気に負けず嫌いな藤宮の友人兼ライバルにもなった。
だが、その後に訪れた藤宮のオメガ変化で、俺のアルファとしてのオメガへの欲情が収まらず、彼を傷付ける事になるなんて‥。
その時の俺は、そこまで思い至らなかった。
そうして、傷付けた。
彼が俺を避けるのは、当たり前の事だ。謝罪の言葉も出るには出るが、もうこのまま番にしてしまいたい、そんなアルファの本能もあり、現在進行形で藤宮に避けられるという事態が発生している。
どうして、ここまで藤宮に想いを寄せてしまうのか‥。出会った瞬間から気になり、いつの間にか恋をしていた。
それをきっと運命という事なのだろう。
ならば、俺達は運命で結ばれた者同士だ。
なのに、何故、藤宮は俺に恋をしない?
どうして、どうして‥。
____
創作中、最後あたり眠くなって闇化してしまいました‥。まあ、元々ヤンデレする予定だったし‥いっか!
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