如月真理はまだ知らない

高崎彩

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結城聡もまた動く

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 俺、結城聡は橘由美をよく知っている。それは高校の時からだ。高校の時、彼女は翔に惹かれていた。それは俺の目から見てもそう見えた。翔は気づいていたんじゃないかと思ってる。けど何も行動しなかった。あいつは不器用だから、そうしたんだろう。俺からすれば苛立たしかった。だが高校のある時、彼女は動き出した。彼女が彼に一歩踏み込んだ。それが俺たち三人を苦しめた。翔があんなことをしたから、彼女が動いたのだ。翔のあの言葉を信じて。俺はの意味を知っているから。だから、彼女が傷つく前に止めた。だけどそれは失敗した。彼女は止まらなかった。彼女は行動し続けた。しかしそれは失敗に終わった。彼女は傷ついていた。だから優しい嘘でもついて元気づけるのが、できる男だったのかもしれない。けれどそれはやめた。これ以上傷ついてほしくなかった。だから真実を彼女に伝えた。それは彼女を地獄に落とすかのような真実だった。翔といつもいた俺だから気づけた事実。だから前からそれについて注意していた。けれど彼は無理だったようだ。おかしな話だと思った。でも無理なのは仕方ない。けれどそれに彼女を巻き込むのは許せなかった。だから話した。自分が傷つけてでも彼女を夢から覚まさせたかった。
 彼女を振り回すのはいつも翔だ。だから今回も翔が絡んでいるだろう。そう思って翔に電話した。メールをしないのは俺のメールに関心がないのか、既読だけや返信が遅かったりする。挙句の果ては無視なんてこともある。どうやら面倒くさいらしい。さすがに彼女にはしてないだろう。もししていたらぶん殴るレベルだ。そんな話は置いといて電話の内容を簡潔に言うとこうだった。由美に喫茶店によびだされ告白された。聞いてた俺はかなり驚いた。電話の相手に大声を出さないようにした俺をだれかほめてほしい。動揺を隠しつつ冷静を装い電話をした。電話をしているだけなのに疲れた。だけど由美がいなかった理由が分かった。翔が話していた由美の様子だとあのときよりは問題なさそうだ。けれど心配だ。どうせ由美のことだから無理をしているに決まっている。俺は由美の家に向かった。真理ちゃんに連絡するのは少し遅くなりそうだ。
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