如月真理はまだ知らない

高崎彩

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音の正体と

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 私は困惑していた。それはあの帰り道に聞いたあの音のせいだ。詳しく言うとあの時の電話の内容のせいだ。音の正体は、電話の呼び出し音だったのだ。でもその音のせいで今ボーとしているのは間違いない。あの時の電話は恵からだった。山川恵。大学でできた友達だ。
「もしもし」
「あ、真理。確かめたいことがあるんだけど聞いていい?」
「いいよ、それで確かめたいことって何?」
「その、真理と翔君って付き合ってるの?」
私は驚いた。知られているとは思わなかったからだ。
「……そうだけど。それがどうしたのよ」
「やっぱりそうなんだね? 」
なんでか知らないが知られているらしい。
「それで、それだけのために電話したの?」
「違うよ、昨日駅前の喫茶店に翔君と由美がいたんだけど知ってた?」
「いや知らないけど、聡君も一緒だった?」
どうやら翔と由美がお茶しているそうだ。私も誘ってほしかった。
「聡君? いなかったよ。そんなことより翔君と由美の距離が近くない? だって二人の顔が近かったりしてさ。なんかいいかんじだな~っておもっただけ」
「・・・」
「ねぇ、聞いてる?」
「ごめん、充電が切れそうだから切るね」
「あ、ちょっと-」
私は思わず電話を切った。翔と由美の二人きりで私の知らないところで会っている。今回は聡君もいないとのこと。翔と由美の二人きり。翔と由美の仲だからこういうこともあるのだろう。けれど今聞いた内容になると話は別だ。翔も由美も何を考えているのだろう。
いつもであれば三人や四人で集まったりするところなのに。この電話が私を不安にした。
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