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10月27日(2)
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「凪沙頑張ってね」
コートに向かう途中、涼ちゃんが遠くから応援してくる。
「凪沙ちゃーん!!頑張ってね!!私のパワー送っておくね!一緒に試合には出られないけど、コートの外からパワー送っておくから!!」
「!!」
結ちゃんが私に駆け寄ってきて私の両手を握ってパワー?を送ってくれる。
――握られた手に痛みが走った
「あ、ありがとね結ちゃん。頑張ってくる!」
「こら結!コートの中入っちゃダメだって!」
涼ちゃんが結ちゃんの襟元を引っ張ってコートの外に連れていく。結ちゃんは大人しくなった。
「じゃ、凪沙頑張ってね」
「うん」
2人に手を振って見送って、コートに目を向けると反対側のコートにはC組のチームがすでに揃っていた。全体的に見ても身長が高い。半分はバレー部だとしても他の3人も身長が高めでバレーが得意な人たちが集められたんだと思う。
向かいにA組チームが並ぶ。こうして並ぶと余計に身長差がわかる。
「優勝狙いに来てるのがすごいわかるわ……」
隣に並んだちさきちゃんが呟く。
「「「よろしくお願いします」」」
全員で礼をしてから試合がスタートした。先に2セット先取した方が勝ちという3セットマッチだ。
「あたしと寺田さんと杉本さんでボールを取るから!凪沙はトスに集中!亜紀と山野さんもポイント頑張って稼いで!」
「わかった!」
コートでそれぞれのポジションにつく。
山野さんがサーブを打った。
山野さんのサーブを軽々とレシーブからトス、スパイクと綺麗に流れて気づけばボールは私たちコートに落ちていた。
―――――――
「今回は相手が悪かったって」
私たちA組はあっという間に2セット取られて負けてしまった。
ちさきちゃんは仕方ないと言うけれど、私は………
上手くトスを上げることが出来なかった。
試合中みんなが頑張ってレシーブをしてくれたボールを上げようとしたけど、痛みで指が上手く動かせなかった。その痛みで余計怖がってテンポもずれてしまっていた。
私がみんなの足を引っ張ってしまっていた。
「今回の相手は半分がバレー部員ですからね。それにB組よりも全然強かったと思いますよ」
「あんなんチートっすよ。チート」
「次頑張りましょ」
仲良し3人組の人たちも今回はレベル違いの相手だったと慰めてくる。
だからってこんな大敗……
ほとんど点数を取れなかった。
「凪沙!」
コートの外で応援していた涼ちゃんが駆け寄ってくる。
「お疲れさま。凪沙」
「うん」
「C組強かったね」
「うん」
「まだ一試合目だよ。気持ち切り替えていこう!バスケの試合でも私は終わった試合の反省をしても、負けをずっと引き摺らないようにしてるんだ。クヨクヨしてても仕方ないからさ」
「そうですよ凪沙ちゃん!今回は私のパワーが足りなかったばっかりに負けちゃっただけです!次の試合はもっと気合入れてパワー送りますね!!」
結ちゃんが私に手のひらを向けてパワーを送ってくる。
「うん。そうだね。まだ試合残ってるし次こそは勝つよ!」
片手で拳を作って2人に笑顔を向ける。
――ちゃんと笑えてるだろうか
「頑張ってね凪沙!」
「って、次は涼ちゃん達の試合でしょ?がんばるのは涼ちゃんだよ」
「あ、もうみんな集合してる!早く行こ!涼くん!」
「じゃ、行ってくるね」
「結ちゃんも涼ちゃんも頑張ってね!!」
2人がコートの方に走って行く。笑顔で手を振って見送る。
――笑顔作れてるだろうか
「凪沙も2人の試合応援するだろ?」
コートの外で亜紀ちゃんとちさきちゃんが2人で並んで立っていた。
周りにはさっきの試合の時より増えたように見える観客(生徒)で溢れていた。涼ちゃん達の試合は注目の的なんだろう。女の子が多い。
「えっと、私先にトイレに行ってくるね」
「わかった。場所はとっておくから早めに戻ってこいよ」
私は早足でトイレに向かった。
――蛇口から流れる水を眺める。
――水は私の左手にあたり排水溝に流れ落ちていく。
――朝より腫れがひどくなっているように見える。
――冷たい水で冷やされて痛みが大分落ち着いてきた。
このくらいの痛みなら耐えられる。次の試合はちゃんとトスを上げないと……みんなでこの日まで頑張ってきたんだから……大丈夫……こんなの何でもない。
トイレの扉が開いた。
ビクッと驚いて、慌てて蛇口を閉めた。
「あれ?天城さん?B組の試合もう始まってますよ?」
山野さんがトイレに入ってきた。
「あ、うん。今から応援に行く」
隣を抜けようと歩いていくと、山野さんが心配そうな表情をして私を見つめた。
「大丈夫ですか?」
「えっ!?」
またビクッと体が反応した。山野さんは私の様子を見ている。
「今日何だかいつもよりトスが上がってなかったので……調子でも悪いのかと……」
「あ、あー。ごめんね。ちゃんと上げられなくて…ちょっと、本調子じゃないかも……」
私の左手に気付いたわけではなくて安心した。
「レシーブも上手く取れてなかったですし、トスも上げられないのも仕方ないですよね。初戦からC組だとは思わなかったですけど」
「次の試合はちゃんと上げれるようにがんばるからね!」
「天城さんが上げてくれたトスは私も頑張ってスパイクするんで任せてください!」
山野さんは拳を作ってポンと胸を張って叩いた。
コートに向かう途中、涼ちゃんが遠くから応援してくる。
「凪沙ちゃーん!!頑張ってね!!私のパワー送っておくね!一緒に試合には出られないけど、コートの外からパワー送っておくから!!」
「!!」
結ちゃんが私に駆け寄ってきて私の両手を握ってパワー?を送ってくれる。
――握られた手に痛みが走った
「あ、ありがとね結ちゃん。頑張ってくる!」
「こら結!コートの中入っちゃダメだって!」
涼ちゃんが結ちゃんの襟元を引っ張ってコートの外に連れていく。結ちゃんは大人しくなった。
「じゃ、凪沙頑張ってね」
「うん」
2人に手を振って見送って、コートに目を向けると反対側のコートにはC組のチームがすでに揃っていた。全体的に見ても身長が高い。半分はバレー部だとしても他の3人も身長が高めでバレーが得意な人たちが集められたんだと思う。
向かいにA組チームが並ぶ。こうして並ぶと余計に身長差がわかる。
「優勝狙いに来てるのがすごいわかるわ……」
隣に並んだちさきちゃんが呟く。
「「「よろしくお願いします」」」
全員で礼をしてから試合がスタートした。先に2セット先取した方が勝ちという3セットマッチだ。
「あたしと寺田さんと杉本さんでボールを取るから!凪沙はトスに集中!亜紀と山野さんもポイント頑張って稼いで!」
「わかった!」
コートでそれぞれのポジションにつく。
山野さんがサーブを打った。
山野さんのサーブを軽々とレシーブからトス、スパイクと綺麗に流れて気づけばボールは私たちコートに落ちていた。
―――――――
「今回は相手が悪かったって」
私たちA組はあっという間に2セット取られて負けてしまった。
ちさきちゃんは仕方ないと言うけれど、私は………
上手くトスを上げることが出来なかった。
試合中みんなが頑張ってレシーブをしてくれたボールを上げようとしたけど、痛みで指が上手く動かせなかった。その痛みで余計怖がってテンポもずれてしまっていた。
私がみんなの足を引っ張ってしまっていた。
「今回の相手は半分がバレー部員ですからね。それにB組よりも全然強かったと思いますよ」
「あんなんチートっすよ。チート」
「次頑張りましょ」
仲良し3人組の人たちも今回はレベル違いの相手だったと慰めてくる。
だからってこんな大敗……
ほとんど点数を取れなかった。
「凪沙!」
コートの外で応援していた涼ちゃんが駆け寄ってくる。
「お疲れさま。凪沙」
「うん」
「C組強かったね」
「うん」
「まだ一試合目だよ。気持ち切り替えていこう!バスケの試合でも私は終わった試合の反省をしても、負けをずっと引き摺らないようにしてるんだ。クヨクヨしてても仕方ないからさ」
「そうですよ凪沙ちゃん!今回は私のパワーが足りなかったばっかりに負けちゃっただけです!次の試合はもっと気合入れてパワー送りますね!!」
結ちゃんが私に手のひらを向けてパワーを送ってくる。
「うん。そうだね。まだ試合残ってるし次こそは勝つよ!」
片手で拳を作って2人に笑顔を向ける。
――ちゃんと笑えてるだろうか
「頑張ってね凪沙!」
「って、次は涼ちゃん達の試合でしょ?がんばるのは涼ちゃんだよ」
「あ、もうみんな集合してる!早く行こ!涼くん!」
「じゃ、行ってくるね」
「結ちゃんも涼ちゃんも頑張ってね!!」
2人がコートの方に走って行く。笑顔で手を振って見送る。
――笑顔作れてるだろうか
「凪沙も2人の試合応援するだろ?」
コートの外で亜紀ちゃんとちさきちゃんが2人で並んで立っていた。
周りにはさっきの試合の時より増えたように見える観客(生徒)で溢れていた。涼ちゃん達の試合は注目の的なんだろう。女の子が多い。
「えっと、私先にトイレに行ってくるね」
「わかった。場所はとっておくから早めに戻ってこいよ」
私は早足でトイレに向かった。
――蛇口から流れる水を眺める。
――水は私の左手にあたり排水溝に流れ落ちていく。
――朝より腫れがひどくなっているように見える。
――冷たい水で冷やされて痛みが大分落ち着いてきた。
このくらいの痛みなら耐えられる。次の試合はちゃんとトスを上げないと……みんなでこの日まで頑張ってきたんだから……大丈夫……こんなの何でもない。
トイレの扉が開いた。
ビクッと驚いて、慌てて蛇口を閉めた。
「あれ?天城さん?B組の試合もう始まってますよ?」
山野さんがトイレに入ってきた。
「あ、うん。今から応援に行く」
隣を抜けようと歩いていくと、山野さんが心配そうな表情をして私を見つめた。
「大丈夫ですか?」
「えっ!?」
またビクッと体が反応した。山野さんは私の様子を見ている。
「今日何だかいつもよりトスが上がってなかったので……調子でも悪いのかと……」
「あ、あー。ごめんね。ちゃんと上げられなくて…ちょっと、本調子じゃないかも……」
私の左手に気付いたわけではなくて安心した。
「レシーブも上手く取れてなかったですし、トスも上げられないのも仕方ないですよね。初戦からC組だとは思わなかったですけど」
「次の試合はちゃんと上げれるようにがんばるからね!」
「天城さんが上げてくれたトスは私も頑張ってスパイクするんで任せてください!」
山野さんは拳を作ってポンと胸を張って叩いた。
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