29 / 129
10月27日(10)
しおりを挟む
涼ちゃん達クラスの試合は圧倒的だった。
B組対D組はあっという間にB組が2セット先取して勝利していた。周りの応援していた生徒達も大盛り上がりの試合でさっきまでナイフを私に向けてたとは思えないほどの大興奮状態。
涼ちゃんと結ちゃんのコンビネーションも午前中より上がってきていた。
その後続けて行われたC組対D組の試合はC組が圧勝していた。バレー部員から打たれるスパイクは先ほど行われたB組のスパイクとは違い、床に当たるボールの音までC組の強さを物語っていた。
一緒に試合を見ていた涼ちゃんも「強そうだね」と苦笑いを浮かべていた。
「次が最後の試合か……」
ちさきちゃんが目の前に貼られている紙を見ながら呟いた。そこにはバレーの試合結果が書かれた表がある。総当たり戦で戦ってきた試合は5チーム中2チームが無敗で、次の試合が無敗の2チーム。
B組対C組
「次の試合で優勝が決まるんだね」
「流石にB組でも難しいんじゃないか?」
どちらも強いけど、さっきの試合を見ていてC組の強さは全然違った。
現役のバレー部員との試合じゃB組でも敵わないのではと思ってしまう。
コート内で次の試合に備えて体をほぐしている涼ちゃんはどこか緊張した様子に見える。
私たちのクラスが棄権したせいで試合順が変わった。連続して試合に挑まないといけないC組は疲れた様子はない。ちょっとはハンデにならないかなと期待したんだけど、運動部はこれくらいじゃ疲れないらしい……
集合の号令がかかる。
コートの外側には更に人が増えて、ネットを挟んだバスケ側からもこちらを見ている男子達がいる。
C組のサーブから試合が始まった。
「結!!」
「シャァ!!!」
涼ちゃんが上げたボールを結ちゃんが高く飛んでスパイクを打つ。
しかし、ボールはC組のブロックによりコート内に返ってきた。落ちていくボールを誰も追えず床に落ちてバウンドした。
結ちゃんのスパイクを軽々とブロックしてしまうなんて……球技大会とは思えないハイレベルな戦いをしている。
観客の生徒達は白熱したバトルを見て大声で応援して盛り上がっている。
それでもC組の方が強いみたいだった。
12-20
点差は開いている。ここからC組に追いついて逆転するなんてできるんだろうか……
B組のサーブが打たれる。
山なりのボールは確実にC組のコートに入って落ちていく。そこからあっという間にB組のコートにスパイクを打たれてボールは床に当たり跳ね上がった。
悔しそうにボールを睨みつけている涼ちゃんは汗で額に張り付いた前髪を片手でかきあげた。
一部の女の子達から歓声が上がる。――え?
「ねぇ、なんで今歓声が上がったの?」
隣で一緒に応援していたちさきちゃんに尋ねた。ちさきちゃんは私がブラックコーヒーを飲んだ後のような表情をした。
「さぁ?」
「多分、涼さんが前髪をかき上げたのを見て歓声をあげたんだと思う。普段前髪おろしてるからおでこ見えることもあまりないし、あの仕草ってかっこいいんじゃないかな?」
ちさきちゃんの隣に立っている亜紀ちゃんが代わりに答えてくれる。
確かに前髪をかきあげる仕草ってかっこいい。うん。涼ちゃんもかっこ良かった。
「なるほど……」
右の女子達、左の女子達。涼ちゃんを応援してる女の子達の割合が多そうだ。
涼ちゃんがスパイクを打つたびに歓声が上がっている。
「あ………」
ちさきちゃんが小さく声を漏らした。
私がちさきちゃんの見ている先を目で追うと、14-25のスコアボードが見えた。
涼ちゃん達のクラスは第1セットをC組に取られてしまった。
1セット目が終わりインターバルに入ったと同時に何故か涼ちゃんが私たちの所に駆け寄ってきた。
「凪沙、ちょっと来て」
「んぇ?えっ!?何?なに!?」
「いってらっしゃ~い」
ちさきちゃんがニヤニヤと見送ってくる。何?その表情!?
いつかのちさきちゃんの時と逆の立場になっていた。
私の手首を掴んで、試合を見ていた生徒達の間を抜けて体育館を出ていく。
どこに連れて行かれるのかわからないまま、手を引かれながら涼ちゃんについていく。
「な、何?どうしたの??」
すぐ目の前に向かい合っている涼ちゃんに問いかける。
ここはトイレだ。
私の後ろには便座がある。トイレの個室だ。
体育館のすぐ近くのトイレではなく、少し離れた女子トイレの個室に2人して入っている。
「えっと……体育館で抱きついたら結に怒られたから?」
E組との試合前に涼ちゃんが私に抱きついてきた時、その後結ちゃんに怒られてたっけ……
私も周りの視線の鋭さには居た堪れなかった。
「ん?ということは涼ちゃんは今から私に抱きつこうとしてるの?」
コクリと涼ちゃんは頷いた。
私に抱きつこうと思って私はトイレの個室に連れてこられたのか……
「……なんで?」
「………」
ギュゥゥゥ
無言で抱きついてきた。
背中に腕を回され、力強く抱きつかれる。
「第1セット取られてちょっと落ち込んでた……」
涼ちゃんが耳元で話し始める。吐息が耳に触れてくすぐったくってちょっとゾクっとした。
「こうすると頑張れそうな気がする――(東雲の言った通りなんか安心する)――」
最後の方はよく聞き取れなかったけど、涼ちゃんが頑張れるなら――
私も涼ちゃんの背中に手を回して抱きしめ返した。
「頑張ってね涼ちゃん」
試合開始ギリギリになって体育館に戻れば、結局2人で消えたことに対しての恨みなのか、周りからの視線というナイフが再び刺されることになって私はちさきちゃんと亜紀ちゃんの後ろにまた隠れることになった。
B組対D組はあっという間にB組が2セット先取して勝利していた。周りの応援していた生徒達も大盛り上がりの試合でさっきまでナイフを私に向けてたとは思えないほどの大興奮状態。
涼ちゃんと結ちゃんのコンビネーションも午前中より上がってきていた。
その後続けて行われたC組対D組の試合はC組が圧勝していた。バレー部員から打たれるスパイクは先ほど行われたB組のスパイクとは違い、床に当たるボールの音までC組の強さを物語っていた。
一緒に試合を見ていた涼ちゃんも「強そうだね」と苦笑いを浮かべていた。
「次が最後の試合か……」
ちさきちゃんが目の前に貼られている紙を見ながら呟いた。そこにはバレーの試合結果が書かれた表がある。総当たり戦で戦ってきた試合は5チーム中2チームが無敗で、次の試合が無敗の2チーム。
B組対C組
「次の試合で優勝が決まるんだね」
「流石にB組でも難しいんじゃないか?」
どちらも強いけど、さっきの試合を見ていてC組の強さは全然違った。
現役のバレー部員との試合じゃB組でも敵わないのではと思ってしまう。
コート内で次の試合に備えて体をほぐしている涼ちゃんはどこか緊張した様子に見える。
私たちのクラスが棄権したせいで試合順が変わった。連続して試合に挑まないといけないC組は疲れた様子はない。ちょっとはハンデにならないかなと期待したんだけど、運動部はこれくらいじゃ疲れないらしい……
集合の号令がかかる。
コートの外側には更に人が増えて、ネットを挟んだバスケ側からもこちらを見ている男子達がいる。
C組のサーブから試合が始まった。
「結!!」
「シャァ!!!」
涼ちゃんが上げたボールを結ちゃんが高く飛んでスパイクを打つ。
しかし、ボールはC組のブロックによりコート内に返ってきた。落ちていくボールを誰も追えず床に落ちてバウンドした。
結ちゃんのスパイクを軽々とブロックしてしまうなんて……球技大会とは思えないハイレベルな戦いをしている。
観客の生徒達は白熱したバトルを見て大声で応援して盛り上がっている。
それでもC組の方が強いみたいだった。
12-20
点差は開いている。ここからC組に追いついて逆転するなんてできるんだろうか……
B組のサーブが打たれる。
山なりのボールは確実にC組のコートに入って落ちていく。そこからあっという間にB組のコートにスパイクを打たれてボールは床に当たり跳ね上がった。
悔しそうにボールを睨みつけている涼ちゃんは汗で額に張り付いた前髪を片手でかきあげた。
一部の女の子達から歓声が上がる。――え?
「ねぇ、なんで今歓声が上がったの?」
隣で一緒に応援していたちさきちゃんに尋ねた。ちさきちゃんは私がブラックコーヒーを飲んだ後のような表情をした。
「さぁ?」
「多分、涼さんが前髪をかき上げたのを見て歓声をあげたんだと思う。普段前髪おろしてるからおでこ見えることもあまりないし、あの仕草ってかっこいいんじゃないかな?」
ちさきちゃんの隣に立っている亜紀ちゃんが代わりに答えてくれる。
確かに前髪をかきあげる仕草ってかっこいい。うん。涼ちゃんもかっこ良かった。
「なるほど……」
右の女子達、左の女子達。涼ちゃんを応援してる女の子達の割合が多そうだ。
涼ちゃんがスパイクを打つたびに歓声が上がっている。
「あ………」
ちさきちゃんが小さく声を漏らした。
私がちさきちゃんの見ている先を目で追うと、14-25のスコアボードが見えた。
涼ちゃん達のクラスは第1セットをC組に取られてしまった。
1セット目が終わりインターバルに入ったと同時に何故か涼ちゃんが私たちの所に駆け寄ってきた。
「凪沙、ちょっと来て」
「んぇ?えっ!?何?なに!?」
「いってらっしゃ~い」
ちさきちゃんがニヤニヤと見送ってくる。何?その表情!?
いつかのちさきちゃんの時と逆の立場になっていた。
私の手首を掴んで、試合を見ていた生徒達の間を抜けて体育館を出ていく。
どこに連れて行かれるのかわからないまま、手を引かれながら涼ちゃんについていく。
「な、何?どうしたの??」
すぐ目の前に向かい合っている涼ちゃんに問いかける。
ここはトイレだ。
私の後ろには便座がある。トイレの個室だ。
体育館のすぐ近くのトイレではなく、少し離れた女子トイレの個室に2人して入っている。
「えっと……体育館で抱きついたら結に怒られたから?」
E組との試合前に涼ちゃんが私に抱きついてきた時、その後結ちゃんに怒られてたっけ……
私も周りの視線の鋭さには居た堪れなかった。
「ん?ということは涼ちゃんは今から私に抱きつこうとしてるの?」
コクリと涼ちゃんは頷いた。
私に抱きつこうと思って私はトイレの個室に連れてこられたのか……
「……なんで?」
「………」
ギュゥゥゥ
無言で抱きついてきた。
背中に腕を回され、力強く抱きつかれる。
「第1セット取られてちょっと落ち込んでた……」
涼ちゃんが耳元で話し始める。吐息が耳に触れてくすぐったくってちょっとゾクっとした。
「こうすると頑張れそうな気がする――(東雲の言った通りなんか安心する)――」
最後の方はよく聞き取れなかったけど、涼ちゃんが頑張れるなら――
私も涼ちゃんの背中に手を回して抱きしめ返した。
「頑張ってね涼ちゃん」
試合開始ギリギリになって体育館に戻れば、結局2人で消えたことに対しての恨みなのか、周りからの視線というナイフが再び刺されることになって私はちさきちゃんと亜紀ちゃんの後ろにまた隠れることになった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる