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11月17日 凪沙の知らない話3
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「そんなのただの逆恨みだし、凪沙の告白が増えたところで、フラれてるんだったら別にそのままほっとけばいいんじゃないの?」
ただ凪沙の告白が増えて玉砕する人が増えただけなら、私と凪沙が仲良くしてても問題ないはずだ……
「大人しくフラれて終わるような人達だけだったならそれでも良いかもしれませんね」
「どういう……」
「無理やり関係を迫るような人もいると言っているんです」
胸の中がざわついた。そんなやばい奴もいる。確かに世の中には強姦、レイプ等で捕まるような人もいるんだ。そんな人が近くにいないなんて言い切れない。
あ、それ私じゃん…無理やりキスしちゃったじゃん……それで凪沙が『涼ちゃんの顔見るのも嫌』なんて言われたら……その時は引き下がるけど……1ヶ月は家に引きこもる自信がある……
とりあえず、今は私の事は棚にしまっておこう。
「わかっていただけましたか?なので今後は一切天城さんと関わりを持たないように――」
「それは無理」
「あ、あなた!!天城さんが危ないと言っているんですよ!?」
「だからって、今まで仲良くしてたのを急に辞めるなんてできない。それに本当にそんな人がいるかもわからないんだしこのままでも――」
はぁーーと龍皇子さんは盛大にため息をついた。
「天城凪沙のファンクラブをご存知ですか?」
「え?まぁ、存在しているとは聞いたことあります」
「そこの会長をしております。龍皇子要です」
龍皇子さんは手を前に添えて深々と頭を下げた。
凪沙のファンクラブの会長!?
「って事は龍皇子さんは凪沙のファンってこと?」
「い、いえ、そういうわけでは……ただ、ファンクラブをまとめるように言われて会長になっただけですので……」
そう言って副会長兼ファンクラブ会長の龍皇子さんは生徒会室に並べられている棚の前に行き、分厚いファイルが並ぶ中で異色なファイルを一つ抜き出した。
「ここにファンクラブに加入している生徒の名簿が入っています」
「え?」
薄めのカラフルなファイルには、もしかしたら10ページ、20ページを超えてそうなほどのページ数があった。実在した上に結構な人数がいる事に驚いた。
龍皇子さんがペラペラとページをめくっていき最後の方のページに辿り着く。
ページには『BLACK LIST』と書かれていた。ブラックリスト?
「ここから先のページは要注意人物を入れています。ファンクラブ加入していない人も含まれています」
ペラペラと捲られていくページは両手では数えきれないほどの枚数があった。
「主にファンクラブに加入している女生徒の情報を元にリストを作成しています」
「要注意人物って凪沙に危害を加えそうな人ってこと?」
「それもありますが、素行が悪い人、表向き善良そうな人でも裏では女遊びが激しい人などですかね。そういう人はあまり天城凪沙さんに近づけさせないように注意しています」
「……その割には凪沙の付き合ってきた人ってあまり良い人じゃなかったみたいだけど」
龍皇子さんはペラペラと捲っていたブラックリストの手を止め、眉間に皺を寄せた。
「付き合っていた人は校外生徒、もしくは中学生の頃の話ですので」
流石に校外生徒までは把握しきれていなかったという事か……それでも凪沙のファンクラブの存在ってあまり公にはなっていないし、本人にも知らせずに凪沙の事を守っていたなんて……すごく健気な集団だったんだ。萌える……
確かに凪沙って可愛い。本人が無自覚で人を惹きつける魅力が溢れている。無自覚タラシは私よりも凪沙の方が似合いそうだ。
「そしてコチラが――」
バンっとブラックリストを龍皇子さんは叩いた。
「天城凪沙さんの元彼。二股をしていた最低クソ野郎です」
「えっ!?なんて!?」
急に乱暴になったかと思えば、口調までドスの効いた声で雑言を吐いた。
「二股をしていた最低クソ野郎です」
2回言った!この人2回も言った!!聞こえてたけど!まさか、龍皇子さんから最低クソ野郎なんて言葉が出てくるとは思わなくて聞き返しちゃったけど!
「まぁ、中学の時の話ですしファンクラブ結成前の話なので仕方ないですが、更にコチラの元彼は事ある毎に凪沙様の体を触ろうとして脳みそが⚪︎⚪︎⚪︎についているような(ピーーーー)別れて正解です!ブラックリストではなく黒色無双リスト行きです!!」
放送禁止用語!!えっ!?龍皇子さんってこんな人だったの?
龍皇子さんはイライラしたように名簿に載っている凪沙の元彼の写真を人差し指でトントンと叩いている。
見た目はイケメンだな。ふぅん。性格はどうであれ凪沙ってこういうのが好みなのかな?
「ん?龍皇子さん。凪沙様って……」
バッと振り返った龍皇子さんは目を見開きながら「聞き間違えじゃないですか!?」と声を裏返しながら叫んだ。
「と、とにかくですね!こういうブラックリストに載るような人物もいるという事です!凪沙さ……んを危険に晒したくなかったら関わるのをやめていただけますでしょうか」
龍皇子さんは私を睨みつけている。多分睨んでいるわけではない、本当に凪沙のことが心配だからと私にお願いをしているんだろう。それでも――
「やっぱり無理です」
「どうして!?」
「凪沙が危ない目に合うかもしれないっていうなら、私が守ります。全力で」
「………」
「絶対守ります」
龍皇子さんは鋭く私を見ていた瞳を閉じてはぁーーと深いため息をついた。
「わかりました。私の方でも手は尽くします。告白している人にはファンクラブに加入している人もいるみたいなので忠告を伝達しておきましょう」
「ありがとうございます」
「いえ、天城凪沙さんも急にあなたと関わらなくなるのは嫌かもしれませんし。手を繋いでデートをしているくらいですからね」
ギクっとした。もしかして見られてた!?どこで!?何を!?
龍皇子さんはファイルをパタンと閉じて棚にしまった。
一つ気になった事を龍皇子さんに聞いてみる事にした。
「一つ聞いてもいいですか?」
「なんでしょうか」
「そのブラックリストの中に私って入ってないですよね?」
「………えぇ。今のところは……この間の手繋ぎデートで入れてやろうかと思いましたが……女生徒からの人気があるせいでブラックリストにもおちおち入れられやしない」
「今のところ!?えっ!?えっ!?」
生徒会室の内鍵を開けて龍皇子さんが出ていく。
私は教室に着くまでブラックリストには入れないよう龍皇子さんにお願いしまくった。
ただ凪沙の告白が増えて玉砕する人が増えただけなら、私と凪沙が仲良くしてても問題ないはずだ……
「大人しくフラれて終わるような人達だけだったならそれでも良いかもしれませんね」
「どういう……」
「無理やり関係を迫るような人もいると言っているんです」
胸の中がざわついた。そんなやばい奴もいる。確かに世の中には強姦、レイプ等で捕まるような人もいるんだ。そんな人が近くにいないなんて言い切れない。
あ、それ私じゃん…無理やりキスしちゃったじゃん……それで凪沙が『涼ちゃんの顔見るのも嫌』なんて言われたら……その時は引き下がるけど……1ヶ月は家に引きこもる自信がある……
とりあえず、今は私の事は棚にしまっておこう。
「わかっていただけましたか?なので今後は一切天城さんと関わりを持たないように――」
「それは無理」
「あ、あなた!!天城さんが危ないと言っているんですよ!?」
「だからって、今まで仲良くしてたのを急に辞めるなんてできない。それに本当にそんな人がいるかもわからないんだしこのままでも――」
はぁーーと龍皇子さんは盛大にため息をついた。
「天城凪沙のファンクラブをご存知ですか?」
「え?まぁ、存在しているとは聞いたことあります」
「そこの会長をしております。龍皇子要です」
龍皇子さんは手を前に添えて深々と頭を下げた。
凪沙のファンクラブの会長!?
「って事は龍皇子さんは凪沙のファンってこと?」
「い、いえ、そういうわけでは……ただ、ファンクラブをまとめるように言われて会長になっただけですので……」
そう言って副会長兼ファンクラブ会長の龍皇子さんは生徒会室に並べられている棚の前に行き、分厚いファイルが並ぶ中で異色なファイルを一つ抜き出した。
「ここにファンクラブに加入している生徒の名簿が入っています」
「え?」
薄めのカラフルなファイルには、もしかしたら10ページ、20ページを超えてそうなほどのページ数があった。実在した上に結構な人数がいる事に驚いた。
龍皇子さんがペラペラとページをめくっていき最後の方のページに辿り着く。
ページには『BLACK LIST』と書かれていた。ブラックリスト?
「ここから先のページは要注意人物を入れています。ファンクラブ加入していない人も含まれています」
ペラペラと捲られていくページは両手では数えきれないほどの枚数があった。
「主にファンクラブに加入している女生徒の情報を元にリストを作成しています」
「要注意人物って凪沙に危害を加えそうな人ってこと?」
「それもありますが、素行が悪い人、表向き善良そうな人でも裏では女遊びが激しい人などですかね。そういう人はあまり天城凪沙さんに近づけさせないように注意しています」
「……その割には凪沙の付き合ってきた人ってあまり良い人じゃなかったみたいだけど」
龍皇子さんはペラペラと捲っていたブラックリストの手を止め、眉間に皺を寄せた。
「付き合っていた人は校外生徒、もしくは中学生の頃の話ですので」
流石に校外生徒までは把握しきれていなかったという事か……それでも凪沙のファンクラブの存在ってあまり公にはなっていないし、本人にも知らせずに凪沙の事を守っていたなんて……すごく健気な集団だったんだ。萌える……
確かに凪沙って可愛い。本人が無自覚で人を惹きつける魅力が溢れている。無自覚タラシは私よりも凪沙の方が似合いそうだ。
「そしてコチラが――」
バンっとブラックリストを龍皇子さんは叩いた。
「天城凪沙さんの元彼。二股をしていた最低クソ野郎です」
「えっ!?なんて!?」
急に乱暴になったかと思えば、口調までドスの効いた声で雑言を吐いた。
「二股をしていた最低クソ野郎です」
2回言った!この人2回も言った!!聞こえてたけど!まさか、龍皇子さんから最低クソ野郎なんて言葉が出てくるとは思わなくて聞き返しちゃったけど!
「まぁ、中学の時の話ですしファンクラブ結成前の話なので仕方ないですが、更にコチラの元彼は事ある毎に凪沙様の体を触ろうとして脳みそが⚪︎⚪︎⚪︎についているような(ピーーーー)別れて正解です!ブラックリストではなく黒色無双リスト行きです!!」
放送禁止用語!!えっ!?龍皇子さんってこんな人だったの?
龍皇子さんはイライラしたように名簿に載っている凪沙の元彼の写真を人差し指でトントンと叩いている。
見た目はイケメンだな。ふぅん。性格はどうであれ凪沙ってこういうのが好みなのかな?
「ん?龍皇子さん。凪沙様って……」
バッと振り返った龍皇子さんは目を見開きながら「聞き間違えじゃないですか!?」と声を裏返しながら叫んだ。
「と、とにかくですね!こういうブラックリストに載るような人物もいるという事です!凪沙さ……んを危険に晒したくなかったら関わるのをやめていただけますでしょうか」
龍皇子さんは私を睨みつけている。多分睨んでいるわけではない、本当に凪沙のことが心配だからと私にお願いをしているんだろう。それでも――
「やっぱり無理です」
「どうして!?」
「凪沙が危ない目に合うかもしれないっていうなら、私が守ります。全力で」
「………」
「絶対守ります」
龍皇子さんは鋭く私を見ていた瞳を閉じてはぁーーと深いため息をついた。
「わかりました。私の方でも手は尽くします。告白している人にはファンクラブに加入している人もいるみたいなので忠告を伝達しておきましょう」
「ありがとうございます」
「いえ、天城凪沙さんも急にあなたと関わらなくなるのは嫌かもしれませんし。手を繋いでデートをしているくらいですからね」
ギクっとした。もしかして見られてた!?どこで!?何を!?
龍皇子さんはファイルをパタンと閉じて棚にしまった。
一つ気になった事を龍皇子さんに聞いてみる事にした。
「一つ聞いてもいいですか?」
「なんでしょうか」
「そのブラックリストの中に私って入ってないですよね?」
「………えぇ。今のところは……この間の手繋ぎデートで入れてやろうかと思いましたが……女生徒からの人気があるせいでブラックリストにもおちおち入れられやしない」
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