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11月17日(1)
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お昼休みのチャイムが鳴った。
一気に教室中が騒がしくなって購買ダッシュが繰り広げられている廊下を眺める。
「凪沙今日も屋上でいい?」
「うん」
先程まで使っていた教科書やノートを机にしまい終わったちさきちゃんが振り返ってきた。私は机の横に引っ掛けていた2人分のお弁当を机の上に乗せる。
いつもなら涼ちゃんはお昼休みになったら隣の教室からすぐこっちに移動してくるのに今日は来ない。
なんで?一昨日のデート終わりのキスは涼ちゃんは無理にそうしたから?キスして本当の気持ちに気づいたとか?私と付き合うとか無理だったとか……
「ちさき。お昼行こう」
お弁当を片手に亜紀ちゃんもやってきた。
「おー。って悠木涼遅いな?」
涼ちゃん来ないつもりなのかな?お弁当……もう食べてくれないのかな?
涼ちゃん……
「凪沙?大丈夫?」
ちさきちゃんが下を向いた私を覗き込むように聞いてくる。
大丈夫かどうかなんてわからない。だって涼ちゃんの事わからないんだもん。あのキスは私が涼ちゃんの事を意識して欲しくてしてきたんじゃないの?
朝もいつもなら登校している時間に隣の教室に行ったらまだ来てないって言われちゃうし……私を避ける為?私に会わないようにしているの?
「あ、やっと来たか」
教室の扉の方を見ると涼ちゃんがこっちに向かってきていた。
「今日はちっちゃくなって入ってきたな。毎回うるさいくらいなのに」
「お待たせ。今日も屋上?」
「そう。じゃ、行くか」
ちさきちゃんが立ち上がり、亜紀ちゃんと一緒に屋上に向かって歩き出した。
私は涼ちゃんを見上げる。
良かった。避けられてるわけじゃなかった……
ちさきちゃんと亜紀ちゃんが先に教室を出ていくのを見送って、涼ちゃんが私に振り返ってきた。
「…………そんな顔しないで?この間はごめんね?2人きりの時にちゃんと話そ?」
そう言って涼ちゃんは困った顔でぎこちなく笑った。
私自身どういう表情をしているのかなんてわからない。どんな顔してたんだろう?
先に行った2人を追いかけるように私たちも教室から出た。
2人の間に会話はない。
廊下を人一人分離れて並んで歩いている。いつもはどんな話をしてただろうか、涼ちゃんと一緒にいてこんなに空気が重たいと感じたのは初めてだ。
いや、あった。映画見終わった後も空気が重たかった。でも、あの時は涼ちゃんが話しかけてくれてその後はカフェで楽しく恋バナしたりして帰り際に……
あーー。ダメだ。結局涼ちゃんと一緒にいると最後にはあの時のキスが思い出されてしまう……
何か話題はないか頭の中の引き出しを開けては閉めてを繰り返す。開けるたびに出てくるのがキスの話題で引き出しに釘でも打ってやろうかと悶々としていると涼ちゃんに「凪沙」と名前を呼ばれた。
「な、なに?」
急に名前を呼ばれた事、思考があの時のキスだったこともあり声が裏返った。
「えっと―今日は呼び出しとかされてないの?」
「あ、あーうん。今日はないよ。だからゆっくりお昼食べられるんだ」
「そっか」
また涼ちゃんは困ったようなぎこちない笑顔をした。
私もなんかずっとキスの事だったり、涼ちゃんの気持ちだったり、なんでそんなぎこちない笑顔をするのか色々モヤモヤしていて、2人きりになった時話そうって言ってくれていたけど、いつになるかもわからないのに先延ばしにしていいのか。
このモヤモヤを抱えたままいるのは嫌だなぁ……
「涼ちゃん!!」
私は涼ちゃんの手を握った。
涼ちゃんは驚いて見開いた目を私に向けてきた。
「今日は2人っきりで食べよ!」
「え、でも高坂と東雲が――」
「大丈夫!あとでメッセージ送るから!!」
涼ちゃんの手を引いて歩き出す。
2人っきりになれる場所へ。
廊下をずんずん歩いて行く。周りの生徒達は私たちが手を繋いで歩いている様子を眺めてはヒソヒソとしている。この間まではあまり目立ちたくもなかった関係も今では堂々としている。
球技大会で2人で抜け出した時も注目を浴びていたのは知っている。だって涼ちゃん目立つし……
私たちが仲良くしているだけでも不快に思うような人もいるっていうのも知った。涼ちゃんが好きな女の子だってたくさんいる訳で、そんな中ポッと出の私が涼ちゃんと手を繋いで歩いているなんていい気分はしない。
先週の告白された時は「付き合ってるの?」とまで聞かれたし、噂話なんて色んな尾鰭がついて大海原を泳ぎまくっているんだろう。
そんなの今更気にしたって無駄だって思うから、だったら開き直ってやろうって思う。
トイレを素通り、職員室前を通り階段を降りて特別教室が並ぶ1階の1番奥までたどり着いた。ここまできたらほとんど人はいない。
扉を開けて内鍵をカチリとかけた。
涼ちゃんが口の中でフッと笑った気配がした。
「本当に2人きりだね。ここに来るのも球技大会以来だよ」
「いい場所でしょ?大勢生徒がいるのにあまりここまで来ないんだよ」
中央に並ぶ机にお弁当を置いた。
少しカーテンを開けて窓を開ける。冷たい空気が入ってきて籠った教室の空気を綺麗なものに変えていく。
「お弁当食べよ?」
涼ちゃんと隣同士で座ってお弁当袋に手を伸ばした。
一気に教室中が騒がしくなって購買ダッシュが繰り広げられている廊下を眺める。
「凪沙今日も屋上でいい?」
「うん」
先程まで使っていた教科書やノートを机にしまい終わったちさきちゃんが振り返ってきた。私は机の横に引っ掛けていた2人分のお弁当を机の上に乗せる。
いつもなら涼ちゃんはお昼休みになったら隣の教室からすぐこっちに移動してくるのに今日は来ない。
なんで?一昨日のデート終わりのキスは涼ちゃんは無理にそうしたから?キスして本当の気持ちに気づいたとか?私と付き合うとか無理だったとか……
「ちさき。お昼行こう」
お弁当を片手に亜紀ちゃんもやってきた。
「おー。って悠木涼遅いな?」
涼ちゃん来ないつもりなのかな?お弁当……もう食べてくれないのかな?
涼ちゃん……
「凪沙?大丈夫?」
ちさきちゃんが下を向いた私を覗き込むように聞いてくる。
大丈夫かどうかなんてわからない。だって涼ちゃんの事わからないんだもん。あのキスは私が涼ちゃんの事を意識して欲しくてしてきたんじゃないの?
朝もいつもなら登校している時間に隣の教室に行ったらまだ来てないって言われちゃうし……私を避ける為?私に会わないようにしているの?
「あ、やっと来たか」
教室の扉の方を見ると涼ちゃんがこっちに向かってきていた。
「今日はちっちゃくなって入ってきたな。毎回うるさいくらいなのに」
「お待たせ。今日も屋上?」
「そう。じゃ、行くか」
ちさきちゃんが立ち上がり、亜紀ちゃんと一緒に屋上に向かって歩き出した。
私は涼ちゃんを見上げる。
良かった。避けられてるわけじゃなかった……
ちさきちゃんと亜紀ちゃんが先に教室を出ていくのを見送って、涼ちゃんが私に振り返ってきた。
「…………そんな顔しないで?この間はごめんね?2人きりの時にちゃんと話そ?」
そう言って涼ちゃんは困った顔でぎこちなく笑った。
私自身どういう表情をしているのかなんてわからない。どんな顔してたんだろう?
先に行った2人を追いかけるように私たちも教室から出た。
2人の間に会話はない。
廊下を人一人分離れて並んで歩いている。いつもはどんな話をしてただろうか、涼ちゃんと一緒にいてこんなに空気が重たいと感じたのは初めてだ。
いや、あった。映画見終わった後も空気が重たかった。でも、あの時は涼ちゃんが話しかけてくれてその後はカフェで楽しく恋バナしたりして帰り際に……
あーー。ダメだ。結局涼ちゃんと一緒にいると最後にはあの時のキスが思い出されてしまう……
何か話題はないか頭の中の引き出しを開けては閉めてを繰り返す。開けるたびに出てくるのがキスの話題で引き出しに釘でも打ってやろうかと悶々としていると涼ちゃんに「凪沙」と名前を呼ばれた。
「な、なに?」
急に名前を呼ばれた事、思考があの時のキスだったこともあり声が裏返った。
「えっと―今日は呼び出しとかされてないの?」
「あ、あーうん。今日はないよ。だからゆっくりお昼食べられるんだ」
「そっか」
また涼ちゃんは困ったようなぎこちない笑顔をした。
私もなんかずっとキスの事だったり、涼ちゃんの気持ちだったり、なんでそんなぎこちない笑顔をするのか色々モヤモヤしていて、2人きりになった時話そうって言ってくれていたけど、いつになるかもわからないのに先延ばしにしていいのか。
このモヤモヤを抱えたままいるのは嫌だなぁ……
「涼ちゃん!!」
私は涼ちゃんの手を握った。
涼ちゃんは驚いて見開いた目を私に向けてきた。
「今日は2人っきりで食べよ!」
「え、でも高坂と東雲が――」
「大丈夫!あとでメッセージ送るから!!」
涼ちゃんの手を引いて歩き出す。
2人っきりになれる場所へ。
廊下をずんずん歩いて行く。周りの生徒達は私たちが手を繋いで歩いている様子を眺めてはヒソヒソとしている。この間まではあまり目立ちたくもなかった関係も今では堂々としている。
球技大会で2人で抜け出した時も注目を浴びていたのは知っている。だって涼ちゃん目立つし……
私たちが仲良くしているだけでも不快に思うような人もいるっていうのも知った。涼ちゃんが好きな女の子だってたくさんいる訳で、そんな中ポッと出の私が涼ちゃんと手を繋いで歩いているなんていい気分はしない。
先週の告白された時は「付き合ってるの?」とまで聞かれたし、噂話なんて色んな尾鰭がついて大海原を泳ぎまくっているんだろう。
そんなの今更気にしたって無駄だって思うから、だったら開き直ってやろうって思う。
トイレを素通り、職員室前を通り階段を降りて特別教室が並ぶ1階の1番奥までたどり着いた。ここまできたらほとんど人はいない。
扉を開けて内鍵をカチリとかけた。
涼ちゃんが口の中でフッと笑った気配がした。
「本当に2人きりだね。ここに来るのも球技大会以来だよ」
「いい場所でしょ?大勢生徒がいるのにあまりここまで来ないんだよ」
中央に並ぶ机にお弁当を置いた。
少しカーテンを開けて窓を開ける。冷たい空気が入ってきて籠った教室の空気を綺麗なものに変えていく。
「お弁当食べよ?」
涼ちゃんと隣同士で座ってお弁当袋に手を伸ばした。
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