63 / 129
ちさきは心配する2
しおりを挟む
「凪沙はなんて?」
2人で最寄り駅の改札を出たところで足を止めて、亜紀に尋ねた。
観覧車を降りてきた悠木涼と凪沙の雰囲気がおかしいのはすぐに気づいたけど、まさか亜紀が凪沙に駆け寄るなんて思わなかった。
どちらかというと、亜紀は悠木涼との方が仲が良いと勝手に思っていた。
結局遊園地を出ても、電車に乗っても、凪沙が先に電車を降りても、特に会話らしい会話はなかった。悠木涼は何となくバツが悪そうだったし、凪沙はずっと悲しそうな落ち込んでいるような感じだった。
喧嘩?
いやいや、あの凪沙が怒っているところなんて見たことない。それに怒っているわけでも無さそうだし、悠木涼の態度も気になった。何かあればすぐに凪沙に駆け寄っていたあいつが、凪沙を放っておくということは……
原因はあいつか
十中八九悠木涼が凪沙に何かしたんだろう。
隣に立つ亜紀はどう説明しようか悩んでいるのか視線を空に向けて唸っていた。
そしてふと、口を開いた。
「告白できたなかったって」
「ん?」
「告白できなかったって言ってた」
「…………は?」
こ・く・は・く?
「え?凪沙が悠木涼に告白しようとしてたのか!?“悠木涼が“じゃなく“凪沙が“告白しようとしてたのか?」
亜紀は小さく頷いた。
凪沙が悠木涼のことを好きなんだろうなーっていうのは何となく分かってはいたが、そこから告白まで凪沙がするとは予想外すぎるでしょ!
「ダブルデートの時に告白したら?って言ったのは私」
「お前か!!」
つい亜紀の肩にツッコミを入れてしまう。
それほど動転するような内容だった。
「でも、告白できなかったって言ってたんだろ?」
「うん」
「告白できなくてあの雰囲気ってなんだ?」
「そこがわからない。凪沙さんはそれしか話してくれなかった」
はぁっとため息を吐くと白い息が出ていった。やっぱり悠木涼が何かしたんじゃないか……
2人の問題にあまり首を突っ込みたくもないが、大切な友人をあんなに落ち込ませるなんて……
最近では2人の事を認めて密かに応援もしていたのに、やっぱり色んな女を泣かせてきたあいつに凪沙のことを任せるのはダメだったか……
「亜紀」
「?」
「今日亜紀の家泊めて」
亜紀の家がある方向に2人で歩き出した。立ち話も長くなれば、寒いし風邪も引いてしまう。それにあたしは悠木涼の連絡先を未だに知らない。
知ろうともしてなかった……何かあれば亜紀経由で連絡できるから特に不便でもないし。
亜紀の部屋に入って早々亜紀に振り返ると、携帯を握った亜紀が差し出してきた。画面には悠木涼と書かれていてもう既に発信ボタンも押された状態だった。
優秀な幼馴染である
亜紀の携帯を耳に当てると、発信音が流れている。
しばらく待っていると音が途切れた。
『はい』
「もしもし」
『……あ、高坂?どうしたの?』
「どうしたもこうしたもないだろ?」
『あーあはは……雰囲気悪かったよね?ごめんね?帰り際に』
「そこは別にどうでもいい」
帰り際同様に悠木涼は気まずそうな様子だ。
「単刀直入に聞くけど……凪沙に何したの?何で、観覧車乗る前と乗った後の雰囲気が正反対なんだよ」
『…………』
悠木涼はしばらく黙ったままだった。沈黙が数十秒過ぎた頃、スゥと息を吸う音が聞こえた。
『高坂には前に話したことあるけど、私と凪沙ってお互いを恋に落とす………ゲーム?みたいな事をしてたでしょ』
確かに以前聞いた。相手に好きになってもらうために色々してると……
「それがどうかしたのか?」
『あれをやめようって話したんだ』
「は?………や、やめてどうするんだよ」
お互いを恋に落とすとかいうやつをやめて、正式に付き合いました。とかならいい。そうなってたらいいなっていう願望は出てきていた。
『普通の友達になっただけだよ?』
あの雰囲気から付き合いました。なんてことはまず無いとは分かっていたが……マジか……
『お互いに好きになる前だからいいでしょ……』
「は?おま……何言って……悠木涼……凪沙のこと………」
悠木涼だって凪沙のこと………
「何で、今になってやめるなんていうんだよ!」
凪沙は悠木涼に告白をしようとして、普通の友達に戻ろうって言われてタイミングを逃した。だから“告白できなかった“と言っていたのか。遠回しにフラれたようなものだ。
『そこは別に……高坂には関係ない』
あたしは盛大にため息を吐いた。
何でこの2人はさっさと付き合わなかったんだ。
『だから、凪沙の事はごめん。傷つけるつもりはなかったんだけど……』
あたしは亜紀に振り返った。じっとあたしと悠木涼の会話を側で聞いていて多分事情は飲み込めた?と思う。亜紀の察し能力の高さは一流なので……
あたしが持っていた携帯を取り上げて亜紀は耳に当てた。
「わかりました。涼さんも何か考えてのことなんでしょうね。今日はとりあえずこれで失礼します」
亜紀はそのまま携帯を切った。
「亜紀……」
「ちさきは多分涼さんに怒りが沸いてると思う。凪沙さんの事大切だもんね」
亜紀はあたしに笑いかけながら話を続けた。
「でも、涼さんだって凪沙さんの事大切に思ってるってわかるでしょ?」
行き場のない感情を空気に乗せて盛大に吐き出した。
2人で最寄り駅の改札を出たところで足を止めて、亜紀に尋ねた。
観覧車を降りてきた悠木涼と凪沙の雰囲気がおかしいのはすぐに気づいたけど、まさか亜紀が凪沙に駆け寄るなんて思わなかった。
どちらかというと、亜紀は悠木涼との方が仲が良いと勝手に思っていた。
結局遊園地を出ても、電車に乗っても、凪沙が先に電車を降りても、特に会話らしい会話はなかった。悠木涼は何となくバツが悪そうだったし、凪沙はずっと悲しそうな落ち込んでいるような感じだった。
喧嘩?
いやいや、あの凪沙が怒っているところなんて見たことない。それに怒っているわけでも無さそうだし、悠木涼の態度も気になった。何かあればすぐに凪沙に駆け寄っていたあいつが、凪沙を放っておくということは……
原因はあいつか
十中八九悠木涼が凪沙に何かしたんだろう。
隣に立つ亜紀はどう説明しようか悩んでいるのか視線を空に向けて唸っていた。
そしてふと、口を開いた。
「告白できたなかったって」
「ん?」
「告白できなかったって言ってた」
「…………は?」
こ・く・は・く?
「え?凪沙が悠木涼に告白しようとしてたのか!?“悠木涼が“じゃなく“凪沙が“告白しようとしてたのか?」
亜紀は小さく頷いた。
凪沙が悠木涼のことを好きなんだろうなーっていうのは何となく分かってはいたが、そこから告白まで凪沙がするとは予想外すぎるでしょ!
「ダブルデートの時に告白したら?って言ったのは私」
「お前か!!」
つい亜紀の肩にツッコミを入れてしまう。
それほど動転するような内容だった。
「でも、告白できなかったって言ってたんだろ?」
「うん」
「告白できなくてあの雰囲気ってなんだ?」
「そこがわからない。凪沙さんはそれしか話してくれなかった」
はぁっとため息を吐くと白い息が出ていった。やっぱり悠木涼が何かしたんじゃないか……
2人の問題にあまり首を突っ込みたくもないが、大切な友人をあんなに落ち込ませるなんて……
最近では2人の事を認めて密かに応援もしていたのに、やっぱり色んな女を泣かせてきたあいつに凪沙のことを任せるのはダメだったか……
「亜紀」
「?」
「今日亜紀の家泊めて」
亜紀の家がある方向に2人で歩き出した。立ち話も長くなれば、寒いし風邪も引いてしまう。それにあたしは悠木涼の連絡先を未だに知らない。
知ろうともしてなかった……何かあれば亜紀経由で連絡できるから特に不便でもないし。
亜紀の部屋に入って早々亜紀に振り返ると、携帯を握った亜紀が差し出してきた。画面には悠木涼と書かれていてもう既に発信ボタンも押された状態だった。
優秀な幼馴染である
亜紀の携帯を耳に当てると、発信音が流れている。
しばらく待っていると音が途切れた。
『はい』
「もしもし」
『……あ、高坂?どうしたの?』
「どうしたもこうしたもないだろ?」
『あーあはは……雰囲気悪かったよね?ごめんね?帰り際に』
「そこは別にどうでもいい」
帰り際同様に悠木涼は気まずそうな様子だ。
「単刀直入に聞くけど……凪沙に何したの?何で、観覧車乗る前と乗った後の雰囲気が正反対なんだよ」
『…………』
悠木涼はしばらく黙ったままだった。沈黙が数十秒過ぎた頃、スゥと息を吸う音が聞こえた。
『高坂には前に話したことあるけど、私と凪沙ってお互いを恋に落とす………ゲーム?みたいな事をしてたでしょ』
確かに以前聞いた。相手に好きになってもらうために色々してると……
「それがどうかしたのか?」
『あれをやめようって話したんだ』
「は?………や、やめてどうするんだよ」
お互いを恋に落とすとかいうやつをやめて、正式に付き合いました。とかならいい。そうなってたらいいなっていう願望は出てきていた。
『普通の友達になっただけだよ?』
あの雰囲気から付き合いました。なんてことはまず無いとは分かっていたが……マジか……
『お互いに好きになる前だからいいでしょ……』
「は?おま……何言って……悠木涼……凪沙のこと………」
悠木涼だって凪沙のこと………
「何で、今になってやめるなんていうんだよ!」
凪沙は悠木涼に告白をしようとして、普通の友達に戻ろうって言われてタイミングを逃した。だから“告白できなかった“と言っていたのか。遠回しにフラれたようなものだ。
『そこは別に……高坂には関係ない』
あたしは盛大にため息を吐いた。
何でこの2人はさっさと付き合わなかったんだ。
『だから、凪沙の事はごめん。傷つけるつもりはなかったんだけど……』
あたしは亜紀に振り返った。じっとあたしと悠木涼の会話を側で聞いていて多分事情は飲み込めた?と思う。亜紀の察し能力の高さは一流なので……
あたしが持っていた携帯を取り上げて亜紀は耳に当てた。
「わかりました。涼さんも何か考えてのことなんでしょうね。今日はとりあえずこれで失礼します」
亜紀はそのまま携帯を切った。
「亜紀……」
「ちさきは多分涼さんに怒りが沸いてると思う。凪沙さんの事大切だもんね」
亜紀はあたしに笑いかけながら話を続けた。
「でも、涼さんだって凪沙さんの事大切に思ってるってわかるでしょ?」
行き場のない感情を空気に乗せて盛大に吐き出した。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる