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12月24日 Side涼5
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「私、涼ちゃんに恋に落ちたから……」
聞き間違えかと思った。
私は驚いて見ないようにしていた凪沙を見た。
ポロポロと涙が溢れ落ちている凪沙は下を向いて手で目元を拭っていた。
私は我慢出来ずに立ち上がって凪沙の元に駆け寄った。
「な、凪沙?」
「ごめん……ごめんね……でも、涼ちゃんに行って欲しくないのは……ほんとだから……」
凪沙は手で何度も何度も目元を拭っている。
いや、そうじゃなくて……それを聞きたいんじゃなくて……嬉しいんだけど、私に恋に落ちたって言った?本当に?でも、まさか……聞き間違えか?
ぐずぐずと鼻を啜ったりしている凪沙にカバンからハンカチを取り出して目元をおさえる。
優しくポンポンと目元の涙を拭いてハンカチを退けると涙で赤く染まって潤んだ目が私を見た。
あ、ヤバい……
久しぶりに凪沙と会って、こんな至近距離で上目遣い、引き込まれてしまいそうな茶色い瞳に、先ほどの言葉……理性が大崩壊を起こしてしまう前に凪沙の目から視線を逸らした。
「あ、あの……凪沙……さっきの……」
「涼ちゃんがアメリカに行きたいって言うなら私は応援するよ」
「そ、そうじゃなくて……」
「涼ちゃんが幸せになる道を私は進んで欲しいって思ってるから」
「ちがっ……凪沙……あの……」
「でも、美月さんに言われてとか――」
「凪沙!!」
私は凪沙の両肩を掴んだ。
びっくりしたように目を大きくして私を見上げてくる。
「あの!!さっきの言葉なんだけど……」
「さっきの?」
「う、うん……」
「アメリカに行くなら応援するよ?」
「それじゃなくて!!もっと前の……私に……」
言葉尻がもごもごと小さくなってしまう。
凪沙は不思議そうに首を傾げて考えるそぶりを見せると、思い当たったのか顔を赤くした。
「涼ちゃんに恋に落ちたから?」
うんうんと短く頷いた。
「いいんだよ。私の事は気にしないで……涼ちゃんのことは私落とせなかったし――」
「そうじゃなくって!!そ、それってホント?」
顔を真っ赤に染めてピタッと止まったかと思えばコクリと凪沙は頷いた。
聞き間違えじゃなかった……
凪沙が私の事を………私に恋に落ちた……
嬉しい。嬉しい。嬉しい!!
私は思わず凪沙を抱きしめていた。
「りょ、涼ちゃん!?」
凪沙のことは諦めようって思っていた。私の事を好きになってないし、私の気持ちだけ閉じ込めておけばいいと思っていた。
母さんのことも困らせずに済むし、私だけ我慢しておけばみんな幸せになれるんだと思っていた。
でも、凪沙が私に恋に落ちているなら……私は凪沙を手放したくない……
強く凪沙を抱きしめる。
「涼ちゃ……くるしいよ」
「ご、ごめん……」
抱きしめるのをやめて一歩後ろに下がった。凪沙の温もりが離れていくと途端に寂しく感じた。
「涼ちゃん?顔赤いけど、大丈夫?」
「う、うん」
凪沙を手放したくない気持ちと、母さんを困らせたくない気持ちがある。母さんのことも好きだし困らせたくはないけど……
心の中で両方を天秤にかけた時、あっという間に凪沙に傾いた。
「凪沙!あの。実は私……」
「ん?」
コンコン
扉がノックされる。ビクッと驚いて体が跳ねた。
凪沙が後ろにある扉に向かって“どうぞ“と声をかけた。
ゆっくりと開かれる扉は黒いスーツの男(多分一号)で隙間なく埋まっている。
徐々に大きく開かれ、一号が横にずれて扉の向こう側が見えるようになった時、そこにいるはずのない人物を見て私は驚いた。
「母さん?」
「涼……」
凪沙も驚いたように扉の向こう側を見た。
母さんはゆっくりと部屋に入ってきて凪沙の隣に並んだ。
「どうして……お店は?なんでここにいるの?」
母さんは言いづらそうに目線を逸らした。
「亜紀ちゃんが連れてきてくれたのよ。お店はもう閉めたわ」
わざわざお店を閉めてまでここに母さんが来る理由って?
私は母さんを伺うけれど、何も言ってこない。
私は意を決して母さんにお願いをする。
「母さん――」
「………」
「私やっぱりアメリカに行きたくない!お願い!母さんの迷惑にならないようにするから……母さんの邪魔にならないようにするからだかr―――」
母さんが私に飛びついて思いっきり抱きしめられた。
「涼!!ごめんなさい!!」
抱きしめながら母さんは私に謝ってくる。何に対して謝ってるのか理解できなくてオロオロとしてしまう。こんな風に母さんに抱きしめられるなんて思っても見なかった。
「涼が幸せになれるならアメリカに行くべきだと思ったの……涼の気持ちも考えないで……私も本当は涼に行って欲しくない。寂しいわ」
母さんは私の事を考えて父さんのところに行かせようとしていたの?
「母さん……私の事邪魔じゃない?」
「邪魔だなんて思ったことないわよ」
「私アメリカに行かなくていい?」
「あの人には私が言っておくわ」
「だから、涼。家に帰りましょ?」
「うん……」
母さんが私から離れて隣にいる凪沙に視線を向けた。
「えーーーっと……邪魔しちゃった?」
聞き間違えかと思った。
私は驚いて見ないようにしていた凪沙を見た。
ポロポロと涙が溢れ落ちている凪沙は下を向いて手で目元を拭っていた。
私は我慢出来ずに立ち上がって凪沙の元に駆け寄った。
「な、凪沙?」
「ごめん……ごめんね……でも、涼ちゃんに行って欲しくないのは……ほんとだから……」
凪沙は手で何度も何度も目元を拭っている。
いや、そうじゃなくて……それを聞きたいんじゃなくて……嬉しいんだけど、私に恋に落ちたって言った?本当に?でも、まさか……聞き間違えか?
ぐずぐずと鼻を啜ったりしている凪沙にカバンからハンカチを取り出して目元をおさえる。
優しくポンポンと目元の涙を拭いてハンカチを退けると涙で赤く染まって潤んだ目が私を見た。
あ、ヤバい……
久しぶりに凪沙と会って、こんな至近距離で上目遣い、引き込まれてしまいそうな茶色い瞳に、先ほどの言葉……理性が大崩壊を起こしてしまう前に凪沙の目から視線を逸らした。
「あ、あの……凪沙……さっきの……」
「涼ちゃんがアメリカに行きたいって言うなら私は応援するよ」
「そ、そうじゃなくて……」
「涼ちゃんが幸せになる道を私は進んで欲しいって思ってるから」
「ちがっ……凪沙……あの……」
「でも、美月さんに言われてとか――」
「凪沙!!」
私は凪沙の両肩を掴んだ。
びっくりしたように目を大きくして私を見上げてくる。
「あの!!さっきの言葉なんだけど……」
「さっきの?」
「う、うん……」
「アメリカに行くなら応援するよ?」
「それじゃなくて!!もっと前の……私に……」
言葉尻がもごもごと小さくなってしまう。
凪沙は不思議そうに首を傾げて考えるそぶりを見せると、思い当たったのか顔を赤くした。
「涼ちゃんに恋に落ちたから?」
うんうんと短く頷いた。
「いいんだよ。私の事は気にしないで……涼ちゃんのことは私落とせなかったし――」
「そうじゃなくって!!そ、それってホント?」
顔を真っ赤に染めてピタッと止まったかと思えばコクリと凪沙は頷いた。
聞き間違えじゃなかった……
凪沙が私の事を………私に恋に落ちた……
嬉しい。嬉しい。嬉しい!!
私は思わず凪沙を抱きしめていた。
「りょ、涼ちゃん!?」
凪沙のことは諦めようって思っていた。私の事を好きになってないし、私の気持ちだけ閉じ込めておけばいいと思っていた。
母さんのことも困らせずに済むし、私だけ我慢しておけばみんな幸せになれるんだと思っていた。
でも、凪沙が私に恋に落ちているなら……私は凪沙を手放したくない……
強く凪沙を抱きしめる。
「涼ちゃ……くるしいよ」
「ご、ごめん……」
抱きしめるのをやめて一歩後ろに下がった。凪沙の温もりが離れていくと途端に寂しく感じた。
「涼ちゃん?顔赤いけど、大丈夫?」
「う、うん」
凪沙を手放したくない気持ちと、母さんを困らせたくない気持ちがある。母さんのことも好きだし困らせたくはないけど……
心の中で両方を天秤にかけた時、あっという間に凪沙に傾いた。
「凪沙!あの。実は私……」
「ん?」
コンコン
扉がノックされる。ビクッと驚いて体が跳ねた。
凪沙が後ろにある扉に向かって“どうぞ“と声をかけた。
ゆっくりと開かれる扉は黒いスーツの男(多分一号)で隙間なく埋まっている。
徐々に大きく開かれ、一号が横にずれて扉の向こう側が見えるようになった時、そこにいるはずのない人物を見て私は驚いた。
「母さん?」
「涼……」
凪沙も驚いたように扉の向こう側を見た。
母さんはゆっくりと部屋に入ってきて凪沙の隣に並んだ。
「どうして……お店は?なんでここにいるの?」
母さんは言いづらそうに目線を逸らした。
「亜紀ちゃんが連れてきてくれたのよ。お店はもう閉めたわ」
わざわざお店を閉めてまでここに母さんが来る理由って?
私は母さんを伺うけれど、何も言ってこない。
私は意を決して母さんにお願いをする。
「母さん――」
「………」
「私やっぱりアメリカに行きたくない!お願い!母さんの迷惑にならないようにするから……母さんの邪魔にならないようにするからだかr―――」
母さんが私に飛びついて思いっきり抱きしめられた。
「涼!!ごめんなさい!!」
抱きしめながら母さんは私に謝ってくる。何に対して謝ってるのか理解できなくてオロオロとしてしまう。こんな風に母さんに抱きしめられるなんて思っても見なかった。
「涼が幸せになれるならアメリカに行くべきだと思ったの……涼の気持ちも考えないで……私も本当は涼に行って欲しくない。寂しいわ」
母さんは私の事を考えて父さんのところに行かせようとしていたの?
「母さん……私の事邪魔じゃない?」
「邪魔だなんて思ったことないわよ」
「私アメリカに行かなくていい?」
「あの人には私が言っておくわ」
「だから、涼。家に帰りましょ?」
「うん……」
母さんが私から離れて隣にいる凪沙に視線を向けた。
「えーーーっと……邪魔しちゃった?」
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