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1月24日 Side涼18
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カランと聞き慣れた鐘が鳴る扉を開けると「いらっしゃいませ」と可愛らしい店員さんが迎えてくれた。
そう!私の彼女だ。
茶色いエプロンをつけてコーヒーを運ぶ姿はここのお店のベテラン店員さんである。親しみやすい可愛らしい笑顔で看板娘でもある。凪沙がここで働くようになってから、お客様の数が増えたと母さんも言っていた。
「あら涼、もう来たの?」
「ちゃんと時間通りに来てるよ」
今日は凪沙と交際1ヶ月記念日なので事前に母さんには、いつものバイト時間より早めに帰れるようにお願いをしていた。忙しかったらダメとは言われたけど、見た感じそれほど忙しそうにも思えないので大丈夫だろう。
「凪沙ちゃん上がっていいわよ」
「はーい」
テーブル席を片付けた凪沙が「ちょっと待っててね」と言って休憩室に入って行った。
凪沙にはデートをしようとだけ伝えてある。
駅前に新しくオープンしたカフェに行って、そのお店の人気メニューのパンケーキを食べる。そこで交際1ヶ月記念で用意したプレゼントを渡して、バイト疲れただろうからゆっくり私の家で一緒に映画見ようと誘う。ちょっとエッチな映画を見て良い雰囲気になったところで………
ふふ
美味しいものを食べて、プレゼントでお互いの絆を確かめ合い、いい雰囲気に持ち込む。
完璧だ!これは完璧な流れ!
おっと、完全に顔が緩んでいる。高坂にもわかりやすいと言われたばかりだから気をつけないと……
顔を引き締めるために自分の頬をムニムニと揉んでいるとカウンターにいる母さんと目が合った。
「涼………自分の娘ながら、ちょっとその顔はどうかと思うわ……」
「う、うるさい!」
「涼ちゃんおまたせ~……?どうしたの?」
「なんでもないよ。行こ!」
「うん。美月さん。お先に失礼します」
「お疲れ様~オオカミには気をつけてね~」
「うるさい!!」
「?」
手を繋いで駅に向かって歩いていく。
「どこ行くの?」
「駅前に新しいカフェができたんだって、そこのパンケーキ食べに行こ。美味しいらしいよ」
「敵情視察ってやつだね」
「え?」
拳を握ってキリッとした表情をしている。
「喫茶みづきのライバル店ができたんでしょ?」
「いや、そんなつもりはなくて……」
普通に美味しいパンケーキを食べようと思っていたけど、喫茶店で働いた後別の喫茶店に行くのは違ったのかもしれない。それに私はそこの娘でもあるわけだし……
「喫茶みづきにもパンケーキをメニューに入れたらいいかも!今度美月さんに提案してみよ。その前にライバル店のパンケーキの味を覚えておかなきゃ」
普通にデートとしてカフェに誘っただけなのに凪沙はやる気に満ち溢れていた。
お店の内装はオープンしたてということもあり綺麗で明るい雰囲気だった。割と混雑しているが空いている窓際の席に通されて2人でメニューを覗き込む。
「えー。パンケーキだけですごい種類あるね。どれも美味しそう……」
「これとかソフトクリームが山になってる。生クリームにも変更ができるんだ」
パンケーキに力を入れているのか種類も見た目も迫力があり、他のお客もみんなパンケーキを食べているようだった。
「ね。ね。涼ちゃんはどれにする?」
さっきまでは敵情視察だとやる気を出していた凪沙も今ではパンケーキが楽しみになっている様子で、目をキラキラと輝かせている。
「このいちごのパンケーキにしようかな」
「美味しそうだよねぇ」
「凪沙は?」
「私はこれ」
凪沙が指さしたのはアイスとパンケーキのシンプルなやつで、もっと色々フルーツが乗っている可愛らしいのを選ぶのかと思っていたから意外だ。
テーブルに置いてあるボタンをポチと押した。
パンケーキが届くまで少し時間はかかったが、届いた実物を見ると予想以上に大きく美味しそうだった。
「すごい厚みだね」
写真でもわかっていたけど、ホットケーキみたいな薄い感じではなく数センチはありそうなほどの厚みがあるパンケーキは切ってみると柔らかくふわふわしている。
「涼ちゃん。すごい……ふわふわだよ」
目を大きくさせている凪沙は子供のようにパンケーキを口に運んだ。
「涼ちゃん。すごい……美味しい」
語彙力まで子供みたいで可愛い。最初はどうなるかと思ったけど、喜んでるみたいだし良かった。
「凪沙こっちも食べてみる?」
「いいの?」
「いいよ」
イチゴとパンケーキを乗せたフォークを凪沙の口に入れた。途端にまた大きくなる瞳が何も言わなくても美味しいって訴えてきている。
「美味しい……」
「凪沙見てるだけでわかる」
「なんで!?」
「美味しそうに表情がコロコロと変わるんだもん。可愛い」
「涼ちゃんだってわかりやすいんだからね?」
「何が?」
「ずっと私のこと見てるけど、顔緩んでるからね?」
「え!?うそ!?」
頬をムニムニしていると、凪沙がパンケーキを乗せたフォークを差し出してきた。
一口で食べるとシンプルなパンケーキも十分すぎるくらい美味しかった。
私が美味しいと笑うと凪沙も笑顔を返してくれた。
「すごく美味しかったぁ。あのパンケーキって作るの難しいのかなぁ」
「どうだろうね。あんなにふわふわにするのは大変かもしれないね」
凪沙が食後のカフェオレを口にしながら、楽しそうに喫茶みづきのメニューに載せられないか考えている。
よし、ここでプレゼントを渡して良い雰囲気にする!
私はどんな反応するかワクワクしながら、カバンから包装された小さな袋を取り出し凪沙の前に置いた。
「なぁに?コレ」
「今日で交際1ヶ月でしょ?だからプレゼント」
嬉しそうにする凪沙の反応を期待しながら、凪沙の様子を伺うように視線を向ける。
「…………」
「…………?」
凪沙は少し眉を寄せてプレゼントを眺めている。
あ、あれ?なんか思っていた反応と違う……
「な、なぎさ?」
どうしたんだろう。さっきまで楽しそうに話していたのに……
「涼ちゃん……」
「な、なに?」
「ダメだよ」
「え………」
凪沙が真剣な表情を私に向けた。
そう!私の彼女だ。
茶色いエプロンをつけてコーヒーを運ぶ姿はここのお店のベテラン店員さんである。親しみやすい可愛らしい笑顔で看板娘でもある。凪沙がここで働くようになってから、お客様の数が増えたと母さんも言っていた。
「あら涼、もう来たの?」
「ちゃんと時間通りに来てるよ」
今日は凪沙と交際1ヶ月記念日なので事前に母さんには、いつものバイト時間より早めに帰れるようにお願いをしていた。忙しかったらダメとは言われたけど、見た感じそれほど忙しそうにも思えないので大丈夫だろう。
「凪沙ちゃん上がっていいわよ」
「はーい」
テーブル席を片付けた凪沙が「ちょっと待っててね」と言って休憩室に入って行った。
凪沙にはデートをしようとだけ伝えてある。
駅前に新しくオープンしたカフェに行って、そのお店の人気メニューのパンケーキを食べる。そこで交際1ヶ月記念で用意したプレゼントを渡して、バイト疲れただろうからゆっくり私の家で一緒に映画見ようと誘う。ちょっとエッチな映画を見て良い雰囲気になったところで………
ふふ
美味しいものを食べて、プレゼントでお互いの絆を確かめ合い、いい雰囲気に持ち込む。
完璧だ!これは完璧な流れ!
おっと、完全に顔が緩んでいる。高坂にもわかりやすいと言われたばかりだから気をつけないと……
顔を引き締めるために自分の頬をムニムニと揉んでいるとカウンターにいる母さんと目が合った。
「涼………自分の娘ながら、ちょっとその顔はどうかと思うわ……」
「う、うるさい!」
「涼ちゃんおまたせ~……?どうしたの?」
「なんでもないよ。行こ!」
「うん。美月さん。お先に失礼します」
「お疲れ様~オオカミには気をつけてね~」
「うるさい!!」
「?」
手を繋いで駅に向かって歩いていく。
「どこ行くの?」
「駅前に新しいカフェができたんだって、そこのパンケーキ食べに行こ。美味しいらしいよ」
「敵情視察ってやつだね」
「え?」
拳を握ってキリッとした表情をしている。
「喫茶みづきのライバル店ができたんでしょ?」
「いや、そんなつもりはなくて……」
普通に美味しいパンケーキを食べようと思っていたけど、喫茶店で働いた後別の喫茶店に行くのは違ったのかもしれない。それに私はそこの娘でもあるわけだし……
「喫茶みづきにもパンケーキをメニューに入れたらいいかも!今度美月さんに提案してみよ。その前にライバル店のパンケーキの味を覚えておかなきゃ」
普通にデートとしてカフェに誘っただけなのに凪沙はやる気に満ち溢れていた。
お店の内装はオープンしたてということもあり綺麗で明るい雰囲気だった。割と混雑しているが空いている窓際の席に通されて2人でメニューを覗き込む。
「えー。パンケーキだけですごい種類あるね。どれも美味しそう……」
「これとかソフトクリームが山になってる。生クリームにも変更ができるんだ」
パンケーキに力を入れているのか種類も見た目も迫力があり、他のお客もみんなパンケーキを食べているようだった。
「ね。ね。涼ちゃんはどれにする?」
さっきまでは敵情視察だとやる気を出していた凪沙も今ではパンケーキが楽しみになっている様子で、目をキラキラと輝かせている。
「このいちごのパンケーキにしようかな」
「美味しそうだよねぇ」
「凪沙は?」
「私はこれ」
凪沙が指さしたのはアイスとパンケーキのシンプルなやつで、もっと色々フルーツが乗っている可愛らしいのを選ぶのかと思っていたから意外だ。
テーブルに置いてあるボタンをポチと押した。
パンケーキが届くまで少し時間はかかったが、届いた実物を見ると予想以上に大きく美味しそうだった。
「すごい厚みだね」
写真でもわかっていたけど、ホットケーキみたいな薄い感じではなく数センチはありそうなほどの厚みがあるパンケーキは切ってみると柔らかくふわふわしている。
「涼ちゃん。すごい……ふわふわだよ」
目を大きくさせている凪沙は子供のようにパンケーキを口に運んだ。
「涼ちゃん。すごい……美味しい」
語彙力まで子供みたいで可愛い。最初はどうなるかと思ったけど、喜んでるみたいだし良かった。
「凪沙こっちも食べてみる?」
「いいの?」
「いいよ」
イチゴとパンケーキを乗せたフォークを凪沙の口に入れた。途端にまた大きくなる瞳が何も言わなくても美味しいって訴えてきている。
「美味しい……」
「凪沙見てるだけでわかる」
「なんで!?」
「美味しそうに表情がコロコロと変わるんだもん。可愛い」
「涼ちゃんだってわかりやすいんだからね?」
「何が?」
「ずっと私のこと見てるけど、顔緩んでるからね?」
「え!?うそ!?」
頬をムニムニしていると、凪沙がパンケーキを乗せたフォークを差し出してきた。
一口で食べるとシンプルなパンケーキも十分すぎるくらい美味しかった。
私が美味しいと笑うと凪沙も笑顔を返してくれた。
「すごく美味しかったぁ。あのパンケーキって作るの難しいのかなぁ」
「どうだろうね。あんなにふわふわにするのは大変かもしれないね」
凪沙が食後のカフェオレを口にしながら、楽しそうに喫茶みづきのメニューに載せられないか考えている。
よし、ここでプレゼントを渡して良い雰囲気にする!
私はどんな反応するかワクワクしながら、カバンから包装された小さな袋を取り出し凪沙の前に置いた。
「なぁに?コレ」
「今日で交際1ヶ月でしょ?だからプレゼント」
嬉しそうにする凪沙の反応を期待しながら、凪沙の様子を伺うように視線を向ける。
「…………」
「…………?」
凪沙は少し眉を寄せてプレゼントを眺めている。
あ、あれ?なんか思っていた反応と違う……
「な、なぎさ?」
どうしたんだろう。さっきまで楽しそうに話していたのに……
「涼ちゃん……」
「な、なに?」
「ダメだよ」
「え………」
凪沙が真剣な表情を私に向けた。
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