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2月5日
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ちさきちゃんが小袋に入った小さなチョコの包装を開けてパクッと一口で食べた。
「そういえば、そろそろバレンタインだな」
亜紀ちゃんがもう一つチョコをちさきちゃんに差し出した。
「ん?」
「バレンタインが近いからそれまで毎日チョコあげる」
「なんで!?」
「当日はちゃんと美味しいチョコを手作りで用意しておくから、味の違いがわかるでしょ」
市販のチョコに負けない手作りチョコをプレゼントする気なのか。亜紀ちゃんの瞳には静かに炎が灯っているようだった。
「毎日チョコ食べてたら絶対飽きるって」
「愛されてるねぇ」
「チョコを毎日餌付けされてみろって太るし飽きるから」
愛されてるっていう言葉に否定的な言葉が出なかったのは意外だ。亜紀ちゃんからの手作りチョコ(本命)をもらえると言われてるし、さすがにちさきちゃんも亜紀ちゃんからの好意を自覚したってことかな。
「凪沙さんも手作りチョコを作るんですか?」
「本命チョコはどんなの作るんだ!?あいつ絶対楽しみにしてるでしょ?」
「チョコかぁ」
涼ちゃんから特にチョコを楽しみにしてるとか言われてないけど、涼ちゃんのことだから楽しみにしてるんだろうなぁ。
今までは友チョコを作って配ったりとかはしたけど、本命チョコを作ったことはなかったし、本命と友チョコの違いってどんなのがあるんだろう。
「亜紀ちゃんは本命チョコ作るんでしょ?どんなの作るの?」
「今年はブラウニーにしようかと、ナッツとか入れて食感も楽しめるような」
「うわっ!美味しそう!もしかして毎年あげてるの?」
「去年はトリュフチョコでした」
すごい!ちゃんと毎年手作りして本命チョコを渡してるなんて!
目の前に座る人を見れば、窓の外に目を向けて気まづそうにしている。
「ちさきちゃんは?チョコ作らないの?」
「作らない」
「そっか。ホワイトデーにお返ししてる感じか」
「去年は市販のクッキーくれました。一昨年も市販クッキーで……その前も……」
あぁ!亜紀ちゃんの瞳のハイライトが消えている!?
た、確かクッキーって“仲の良い友達“って言う意味だったような……
「お菓子作りとか苦手なんだよ!こう分量をキチっと測らないと美味しくならないし、分量測っても上手く膨らまなかったりして細々してて面倒なんだよ!」
「やけにお菓子作りに詳しいね……」
「なっ!!ち、違うからな!自分で食べようと思って挑戦してみたことがあるだけで!!」
ちさきちゃんが顔を赤くして必死に否定する。
亜紀ちゃんの瞳にハイライトが戻った。いや、逆に輝いた。
「そっか。そうだよね。ちさきにはお菓子作り大変だよね」
「うっさい!」
拗ねたように机に肘をついて窓の外を眺めるちさきちゃんはちょっと可愛かった。
「ねぇ。亜紀ちゃん。良かったらなんだけど、バレンタインのチョコ作り教えて欲しいんだけどダメかな?」
「いいですよ。美味しいのを作って涼さんに喜んでもらいましょうか」
「じゃあ、今日の放課後とか空いてる?」
♢♢♢♢Sideちさき♢♢♢♢
「涼さんって甘いもの好きなんですか?」
「涼ちゃんは甘いもの好きだよ」
「カフェオレ三つください」
「友チョコはどういうの作ってました?」
「チョコを溶かしてカラースプレーでデコレーションしたりとかかな?あまりお菓子作りは得意じゃなくて」
「あ、追加でこのチーズケーキもお願いします」
「簡単なのだと、トリュフチョコとか生チョコ、フォンダンショコラも割と簡単ですね」
「そうなの!?中のトロッとしたのとか難しそうなのに」
「お待たせしましたーカフェオレです」
「ありがとうございます」
「ちゃんとレシピ通りに作れば大丈夫ですよ」
「んー、何個か一緒に作ってみていい?」
「ふーふー、ずずっ……あちっ!!」
「ねぇねぇ、ちさきちゃん。あの2人ってバレンタインのチョコの話してるの?」
美月さんが追加のチーズケーキをテーブルに置きながら興味あり気に聞いてきた。
喫茶みづきでバレンタインに作るチョコの作戦会議に付き合わされているあたし。大体もらう予定の人間を同席させるのはどういうことだ。亜紀から貰ってホワイトデーにちゃんとお返しをしているんだから、バレンタインは基本的にスルーしているんだよ。
「凪沙は初めて本命チョコ作るっていうから亜紀が手伝ってるんですよ」
「えぇ!凪沙ちゃんの初本命チョコ涼がもらっちゃっていいの!?それ知ったら涼浮かれて自慢してきそうね」
わかる。あいつ凪沙の事になると感情の振れ幅大きいからな……
「亜紀ちゃんは毎年作ってるから教えてもらってるのね」
「そうっすね」
「ちさきちゃんは?作らないの?」
「あたしは……別に……ホワイトデーにお返ししてるんで」
「一緒に作ったらいいのに……」
あっそうだ!と美月さんがポンと手を叩いた。
バレンタインの話で盛り上がっていた亜紀と凪沙が振り返る。
「良かったらここのキッチン使っていいわよ。暇な時間帯とかお店が休みの日なら自由に使っていいから」
「えっ!!いいんですか!?」
「ええ!是非“3人で“美味しいバレンタインチョコ作ってね!」
ゴフッと口に含んでいたカフェオレを詰まらせた。
なんであたしまで作る事になってるんだよ!?
「そういえば、そろそろバレンタインだな」
亜紀ちゃんがもう一つチョコをちさきちゃんに差し出した。
「ん?」
「バレンタインが近いからそれまで毎日チョコあげる」
「なんで!?」
「当日はちゃんと美味しいチョコを手作りで用意しておくから、味の違いがわかるでしょ」
市販のチョコに負けない手作りチョコをプレゼントする気なのか。亜紀ちゃんの瞳には静かに炎が灯っているようだった。
「毎日チョコ食べてたら絶対飽きるって」
「愛されてるねぇ」
「チョコを毎日餌付けされてみろって太るし飽きるから」
愛されてるっていう言葉に否定的な言葉が出なかったのは意外だ。亜紀ちゃんからの手作りチョコ(本命)をもらえると言われてるし、さすがにちさきちゃんも亜紀ちゃんからの好意を自覚したってことかな。
「凪沙さんも手作りチョコを作るんですか?」
「本命チョコはどんなの作るんだ!?あいつ絶対楽しみにしてるでしょ?」
「チョコかぁ」
涼ちゃんから特にチョコを楽しみにしてるとか言われてないけど、涼ちゃんのことだから楽しみにしてるんだろうなぁ。
今までは友チョコを作って配ったりとかはしたけど、本命チョコを作ったことはなかったし、本命と友チョコの違いってどんなのがあるんだろう。
「亜紀ちゃんは本命チョコ作るんでしょ?どんなの作るの?」
「今年はブラウニーにしようかと、ナッツとか入れて食感も楽しめるような」
「うわっ!美味しそう!もしかして毎年あげてるの?」
「去年はトリュフチョコでした」
すごい!ちゃんと毎年手作りして本命チョコを渡してるなんて!
目の前に座る人を見れば、窓の外に目を向けて気まづそうにしている。
「ちさきちゃんは?チョコ作らないの?」
「作らない」
「そっか。ホワイトデーにお返ししてる感じか」
「去年は市販のクッキーくれました。一昨年も市販クッキーで……その前も……」
あぁ!亜紀ちゃんの瞳のハイライトが消えている!?
た、確かクッキーって“仲の良い友達“って言う意味だったような……
「お菓子作りとか苦手なんだよ!こう分量をキチっと測らないと美味しくならないし、分量測っても上手く膨らまなかったりして細々してて面倒なんだよ!」
「やけにお菓子作りに詳しいね……」
「なっ!!ち、違うからな!自分で食べようと思って挑戦してみたことがあるだけで!!」
ちさきちゃんが顔を赤くして必死に否定する。
亜紀ちゃんの瞳にハイライトが戻った。いや、逆に輝いた。
「そっか。そうだよね。ちさきにはお菓子作り大変だよね」
「うっさい!」
拗ねたように机に肘をついて窓の外を眺めるちさきちゃんはちょっと可愛かった。
「ねぇ。亜紀ちゃん。良かったらなんだけど、バレンタインのチョコ作り教えて欲しいんだけどダメかな?」
「いいですよ。美味しいのを作って涼さんに喜んでもらいましょうか」
「じゃあ、今日の放課後とか空いてる?」
♢♢♢♢Sideちさき♢♢♢♢
「涼さんって甘いもの好きなんですか?」
「涼ちゃんは甘いもの好きだよ」
「カフェオレ三つください」
「友チョコはどういうの作ってました?」
「チョコを溶かしてカラースプレーでデコレーションしたりとかかな?あまりお菓子作りは得意じゃなくて」
「あ、追加でこのチーズケーキもお願いします」
「簡単なのだと、トリュフチョコとか生チョコ、フォンダンショコラも割と簡単ですね」
「そうなの!?中のトロッとしたのとか難しそうなのに」
「お待たせしましたーカフェオレです」
「ありがとうございます」
「ちゃんとレシピ通りに作れば大丈夫ですよ」
「んー、何個か一緒に作ってみていい?」
「ふーふー、ずずっ……あちっ!!」
「ねぇねぇ、ちさきちゃん。あの2人ってバレンタインのチョコの話してるの?」
美月さんが追加のチーズケーキをテーブルに置きながら興味あり気に聞いてきた。
喫茶みづきでバレンタインに作るチョコの作戦会議に付き合わされているあたし。大体もらう予定の人間を同席させるのはどういうことだ。亜紀から貰ってホワイトデーにちゃんとお返しをしているんだから、バレンタインは基本的にスルーしているんだよ。
「凪沙は初めて本命チョコ作るっていうから亜紀が手伝ってるんですよ」
「えぇ!凪沙ちゃんの初本命チョコ涼がもらっちゃっていいの!?それ知ったら涼浮かれて自慢してきそうね」
わかる。あいつ凪沙の事になると感情の振れ幅大きいからな……
「亜紀ちゃんは毎年作ってるから教えてもらってるのね」
「そうっすね」
「ちさきちゃんは?作らないの?」
「あたしは……別に……ホワイトデーにお返ししてるんで」
「一緒に作ったらいいのに……」
あっそうだ!と美月さんがポンと手を叩いた。
バレンタインの話で盛り上がっていた亜紀と凪沙が振り返る。
「良かったらここのキッチン使っていいわよ。暇な時間帯とかお店が休みの日なら自由に使っていいから」
「えっ!!いいんですか!?」
「ええ!是非“3人で“美味しいバレンタインチョコ作ってね!」
ゴフッと口に含んでいたカフェオレを詰まらせた。
なんであたしまで作る事になってるんだよ!?
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