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赤の属性 2
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木々の中では、思ったように攻撃ができないかもしれない。
百々は急いで、野原に走り出た。
空を見上げると、百々の姿を捉えた翼竜がギャアギャアと鳴いている。
ごめんなさい、今度は斬るよ。
炎に包まれた剣を構え、翼竜が襲いかかってくるのを待つ。
翼竜が体の向きを変えて、真っ直ぐに百々の方へ滑空してきた。
今だ!
向かってくる翼竜に、百々は跳躍し、剣を振り上げた。
攻撃範囲内に入った翼竜は、百々の目の前で真っ二つ斬り離され、地面に落ちた。
着地した百々は我に返り、剣から炎も消えた。
倒さないと自分が殺られて食べられてしまうと思って必死だったけど、ちょっと可哀想なことしたかな? いやいや、先に襲ってきたんだから、仕方がないよね。
耳元に、あの声が聞こえてきた。
ローレッド地方のランクA
スカイドラゴンを討伐成功
経験値を3800獲得です レベル5へと昇格
!!スカイドラゴンだって!?
想像以上のレベルのモンスターを倒したことに、ドン引きしてしまう。
脳をフル回転で働かせるが、レベル1の戦士がいきなり、ランクAを倒すとか全く想像つかない。
ゲームだって、こんなのあり得ない。
レベル1で、サブのボスキャラを倒すみたいなものだよ。王様から貰ったペンダントの能力がすごいのは理解できた。
ペンダントを、じっと見つめて考える。
もう、これはアルマン山に登って、閉じ籠っている精霊を解放できるんじゃないのか!?
チート能力に感覚が麻痺して、気が大きくなってきて、いける気がしてきた。
いやまて、やっぱり落ち着こうと、心の中で葛藤が始まった。
「くぅーーーっ…」
ペンダントを握りしめ、その場に踞ってしまった。
その背中を、穏やかに見つめる視線があり、それは段々と百々に近づいてきた。
「さっきのは、赤の属性能力だよね?」
背後で、誰かが話しかける。
赤の戦士だけど、今のが属性能力って、どうして知ってるの!?
振り向いて、背後を見た。
平和な感じの野原が、がらーんと広がっている。
あれ? 空耳だったのか。
それにしては、はっきりと聞こえたんだけど。
体勢を戻して、立ち上がる。
「あのさぁ、こっちが話しかけてるのに、無視しないでよ」
「え?」
また、声がした方を振り向くと…。
やはり、誰もいない。
「いない…」
やっぱり空耳だったんだ。こっちに召還されてから、頭がキャパオーバーになってきてたからなぁ。
幻聴が聞こえてるんだ。
「どこ見てんのよ!」
「は?」
「下を見て」
「下…」
野原の草のない所に、小さな赤いとんがり帽子を被った、白い鳥がいた。
鳥が喋ってる。
でも、この世界では何でもありだよね。
「黙って見てないで、この華やかな、私に言いたい事はないの?」
うわー、自分で華やかとか言ってる。
「初めまして、私、赤の戦士やってます。百々です」
百々は角度に気遣いながら、丁寧にお辞儀をした。
「えーっ、赤の戦士って、アイリじゃないの?」
「アイリ…。そういえば、王様もその名前を言ってたけど、召還される前の名前が百々なんです。アイリは友達の名前が、愛璃なので使うには抵抗があって」
「そうなの…」
白い鳥は、少し何かを思った様子だったが、すぐに切り替えて話しを続けた。
「赤のペンダントから、赤の属性能力を引き出せるのは、赤の戦士だけだからね」
「じゃあ、さっきの炎の剣は、そうなのか」
「そうよ、あなた素質があるわね。何か武道をしてたの?」
「してないけど、小さい頃におじいちゃんとチャンバラした程度かな」
「チャンバラ?」
「あっ、わかんないか。えっと…」
チャンバラをどう説明したら伝わるかな。
「わかるわ、刀で遊ぶのよ」
「あっ、うん。そうだね」
「強かったのね。そのお相手は」
「うん、とっても強かったよ。でも優しいおじいちゃんだったんだ」
「だから、あなたもモンスターを倒したら土に埋めるタイプなのね」
あれ?この鳥は見てたのか。
あなたも、とは誰かそんな人が過去にいたのかな。
「あなた、精霊探してない?」
「うん、探してる」
「そう。それ、私だから」
「ふーーん。…えっ!!?」
精霊って、アルマン山に閉じ籠ってるんじゃなかったっけーー?
百々は急いで、野原に走り出た。
空を見上げると、百々の姿を捉えた翼竜がギャアギャアと鳴いている。
ごめんなさい、今度は斬るよ。
炎に包まれた剣を構え、翼竜が襲いかかってくるのを待つ。
翼竜が体の向きを変えて、真っ直ぐに百々の方へ滑空してきた。
今だ!
向かってくる翼竜に、百々は跳躍し、剣を振り上げた。
攻撃範囲内に入った翼竜は、百々の目の前で真っ二つ斬り離され、地面に落ちた。
着地した百々は我に返り、剣から炎も消えた。
倒さないと自分が殺られて食べられてしまうと思って必死だったけど、ちょっと可哀想なことしたかな? いやいや、先に襲ってきたんだから、仕方がないよね。
耳元に、あの声が聞こえてきた。
ローレッド地方のランクA
スカイドラゴンを討伐成功
経験値を3800獲得です レベル5へと昇格
!!スカイドラゴンだって!?
想像以上のレベルのモンスターを倒したことに、ドン引きしてしまう。
脳をフル回転で働かせるが、レベル1の戦士がいきなり、ランクAを倒すとか全く想像つかない。
ゲームだって、こんなのあり得ない。
レベル1で、サブのボスキャラを倒すみたいなものだよ。王様から貰ったペンダントの能力がすごいのは理解できた。
ペンダントを、じっと見つめて考える。
もう、これはアルマン山に登って、閉じ籠っている精霊を解放できるんじゃないのか!?
チート能力に感覚が麻痺して、気が大きくなってきて、いける気がしてきた。
いやまて、やっぱり落ち着こうと、心の中で葛藤が始まった。
「くぅーーーっ…」
ペンダントを握りしめ、その場に踞ってしまった。
その背中を、穏やかに見つめる視線があり、それは段々と百々に近づいてきた。
「さっきのは、赤の属性能力だよね?」
背後で、誰かが話しかける。
赤の戦士だけど、今のが属性能力って、どうして知ってるの!?
振り向いて、背後を見た。
平和な感じの野原が、がらーんと広がっている。
あれ? 空耳だったのか。
それにしては、はっきりと聞こえたんだけど。
体勢を戻して、立ち上がる。
「あのさぁ、こっちが話しかけてるのに、無視しないでよ」
「え?」
また、声がした方を振り向くと…。
やはり、誰もいない。
「いない…」
やっぱり空耳だったんだ。こっちに召還されてから、頭がキャパオーバーになってきてたからなぁ。
幻聴が聞こえてるんだ。
「どこ見てんのよ!」
「は?」
「下を見て」
「下…」
野原の草のない所に、小さな赤いとんがり帽子を被った、白い鳥がいた。
鳥が喋ってる。
でも、この世界では何でもありだよね。
「黙って見てないで、この華やかな、私に言いたい事はないの?」
うわー、自分で華やかとか言ってる。
「初めまして、私、赤の戦士やってます。百々です」
百々は角度に気遣いながら、丁寧にお辞儀をした。
「えーっ、赤の戦士って、アイリじゃないの?」
「アイリ…。そういえば、王様もその名前を言ってたけど、召還される前の名前が百々なんです。アイリは友達の名前が、愛璃なので使うには抵抗があって」
「そうなの…」
白い鳥は、少し何かを思った様子だったが、すぐに切り替えて話しを続けた。
「赤のペンダントから、赤の属性能力を引き出せるのは、赤の戦士だけだからね」
「じゃあ、さっきの炎の剣は、そうなのか」
「そうよ、あなた素質があるわね。何か武道をしてたの?」
「してないけど、小さい頃におじいちゃんとチャンバラした程度かな」
「チャンバラ?」
「あっ、わかんないか。えっと…」
チャンバラをどう説明したら伝わるかな。
「わかるわ、刀で遊ぶのよ」
「あっ、うん。そうだね」
「強かったのね。そのお相手は」
「うん、とっても強かったよ。でも優しいおじいちゃんだったんだ」
「だから、あなたもモンスターを倒したら土に埋めるタイプなのね」
あれ?この鳥は見てたのか。
あなたも、とは誰かそんな人が過去にいたのかな。
「あなた、精霊探してない?」
「うん、探してる」
「そう。それ、私だから」
「ふーーん。…えっ!!?」
精霊って、アルマン山に閉じ籠ってるんじゃなかったっけーー?
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