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五 (ミリル)
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ミリルはあのおぞましい部屋から連れ出され、王立病院のベッドにいた。
子息たちが避妊していなかったのでその処置のためだった。
足の間の散々男を受け入れさせられた場所に薬を入れられた。
何かの液体を身体の中に流し込まれる感覚すら嫌悪する。
何が悪かったのか。
きっと初めからだった。
見たことない顔だと王太子に声を掛けられ浮かれた。
平民だった時分からすれば彼は天上人だった。
衒いのない反応に気安さを感じた。
それで気分は浮ついていた。
でなければあんなにわかりやすい誘いに引っかからなかった。
平民だった頃なら同じ誘いをかけられても絶対ついていかなかったのに。
ミリルは泣いていた。
助けを求めても誰も来なかった。
せめて男たちに愛されていたのならまだよかった。
彼らはミリルを犯しながら自分の婚約者の名をずっと呼んでいた。
彼らがミリルに優しかったのは性欲処理の為だった。
気が付くタイミングは何度かあったのに。
王太子の婚約者に怒られた。口を尖らせれば王太子はニヤニヤと笑っていた。
子息達の婚約者に睨まれた、無視された、いじめられている。
愚痴れば彼らは嬉しそうに喜んでいた。
憤りを共有してくれなかった。一緒に怒ってはくれなかった。
彼女たちに嫉妬されている。
そう理解した彼らはますますミリルに執着した。
睨まれている。そうじゃなかった。
私は憐れまれたのだ。
彼女たちが王太子たちに向けたのは嫉妬じゃない。嫌悪の視線だったのだ。
煩わしかったあの口うるさい令嬢の忠告を素直に聞いておけばよかった。
嫌だと泣きわめき、犯されながら何度も何度も後悔した。
しかし、どれほど後悔しても時間は戻らない。
子息たちが避妊していなかったのでその処置のためだった。
足の間の散々男を受け入れさせられた場所に薬を入れられた。
何かの液体を身体の中に流し込まれる感覚すら嫌悪する。
何が悪かったのか。
きっと初めからだった。
見たことない顔だと王太子に声を掛けられ浮かれた。
平民だった時分からすれば彼は天上人だった。
衒いのない反応に気安さを感じた。
それで気分は浮ついていた。
でなければあんなにわかりやすい誘いに引っかからなかった。
平民だった頃なら同じ誘いをかけられても絶対ついていかなかったのに。
ミリルは泣いていた。
助けを求めても誰も来なかった。
せめて男たちに愛されていたのならまだよかった。
彼らはミリルを犯しながら自分の婚約者の名をずっと呼んでいた。
彼らがミリルに優しかったのは性欲処理の為だった。
気が付くタイミングは何度かあったのに。
王太子の婚約者に怒られた。口を尖らせれば王太子はニヤニヤと笑っていた。
子息達の婚約者に睨まれた、無視された、いじめられている。
愚痴れば彼らは嬉しそうに喜んでいた。
憤りを共有してくれなかった。一緒に怒ってはくれなかった。
彼女たちに嫉妬されている。
そう理解した彼らはますますミリルに執着した。
睨まれている。そうじゃなかった。
私は憐れまれたのだ。
彼女たちが王太子たちに向けたのは嫉妬じゃない。嫌悪の視線だったのだ。
煩わしかったあの口うるさい令嬢の忠告を素直に聞いておけばよかった。
嫌だと泣きわめき、犯されながら何度も何度も後悔した。
しかし、どれほど後悔しても時間は戻らない。
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