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六
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「シェラティエラ!」
「きゃあ!!」
シェラティエラの腕を掴むと、彼女は悲鳴を上げた。
ホボロンを振り向き、怯えた顔をする。
「す、すまない。気が急っていた。話がしたい」
「殿、下…」
シェラティエラはホボロンから逃れようと後ずさった。
「頼む、聞いてほしい。婚約破棄を取り下げたい。どうか私ともう一度婚約を」
「止めてくださいっ!近づかないで!」
逃げ出そうとするシェラティエラを引き止めたくて、ホボロンは腕をつかむ手に力を込めた。
「落ち着いてくれ、お願いだ。婚約を」
「殿下。腕を離してください」
男がホボロンの手首を捻り上げる。
痛みで掴む力が緩み、その隙にシェラティエラは抜け出し、ホボロンを捻り上げた男の影に隠れた。
「一体どういうつもりですか?」
「なんだお前は!関係無いだろう!邪魔をするな」
男はその言葉に眉を寄せた。
「私のラフィに何用ですか」
「お前のラフィとやらに興味はない!私はシェラティエラと話がしたいだけだ!」
「なんですって?」
男は目を丸くした。
どうやら男は何か誤解をしたのだろう。
後ろに隠れるシェラティエラは男の袖を握って、こちらを伺っている。
優しく話しかけようとして、その薬指に光る指輪に気づいた。
青緑の宝石。
目の前の男の瞳と同じ色。
「…っ」
シェラティエラの結い上げた髪。
それは、この国では既婚女性がする髪型だ。
…まさか、
シェラティエラはすでに、婚姻済だというのか…!?
いや、ちがう。目の前の男はあの代官とは全く違う男だ。
ホボロンはどうなっているのか、全く理解ができない。
「何かあったのか?」
混乱するホボロンの後ろから馴染みのある声がした。
振り返ればやはり思っていた人物。
「父上」
国王の登場だった。
そうだ。父に縋ろう。
落ち着け。冷静になれ。
今ならまだ大丈夫だ。
男と別れさせ、シェラティエラを取り戻す。
「…殿下。貴方の父上は国王陛下だ。私ではない」
一瞬躊躇った後、父は不可解なことを口にする。
「何を言っているんですか。貴方が国王で私の父上でしょう?」
「…異なことを言う。私は臣下に下り大公を賜った」
「…は、?」
目の前の父は国王ではないと言う。
しかし、私の父は国王だとも、言う。
全く意味がわからない。
「きゃあ!!」
シェラティエラの腕を掴むと、彼女は悲鳴を上げた。
ホボロンを振り向き、怯えた顔をする。
「す、すまない。気が急っていた。話がしたい」
「殿、下…」
シェラティエラはホボロンから逃れようと後ずさった。
「頼む、聞いてほしい。婚約破棄を取り下げたい。どうか私ともう一度婚約を」
「止めてくださいっ!近づかないで!」
逃げ出そうとするシェラティエラを引き止めたくて、ホボロンは腕をつかむ手に力を込めた。
「落ち着いてくれ、お願いだ。婚約を」
「殿下。腕を離してください」
男がホボロンの手首を捻り上げる。
痛みで掴む力が緩み、その隙にシェラティエラは抜け出し、ホボロンを捻り上げた男の影に隠れた。
「一体どういうつもりですか?」
「なんだお前は!関係無いだろう!邪魔をするな」
男はその言葉に眉を寄せた。
「私のラフィに何用ですか」
「お前のラフィとやらに興味はない!私はシェラティエラと話がしたいだけだ!」
「なんですって?」
男は目を丸くした。
どうやら男は何か誤解をしたのだろう。
後ろに隠れるシェラティエラは男の袖を握って、こちらを伺っている。
優しく話しかけようとして、その薬指に光る指輪に気づいた。
青緑の宝石。
目の前の男の瞳と同じ色。
「…っ」
シェラティエラの結い上げた髪。
それは、この国では既婚女性がする髪型だ。
…まさか、
シェラティエラはすでに、婚姻済だというのか…!?
いや、ちがう。目の前の男はあの代官とは全く違う男だ。
ホボロンはどうなっているのか、全く理解ができない。
「何かあったのか?」
混乱するホボロンの後ろから馴染みのある声がした。
振り返ればやはり思っていた人物。
「父上」
国王の登場だった。
そうだ。父に縋ろう。
落ち着け。冷静になれ。
今ならまだ大丈夫だ。
男と別れさせ、シェラティエラを取り戻す。
「…殿下。貴方の父上は国王陛下だ。私ではない」
一瞬躊躇った後、父は不可解なことを口にする。
「何を言っているんですか。貴方が国王で私の父上でしょう?」
「…異なことを言う。私は臣下に下り大公を賜った」
「…は、?」
目の前の父は国王ではないと言う。
しかし、私の父は国王だとも、言う。
全く意味がわからない。
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