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三
王は息子の為に、該当の令嬢リリーザを探し出した。
「カラストよ。お前の婚約者に公爵家の令嬢を選んだ」
「公爵家…?アレスフィナですね!!父上ありがとうございます!」
喜び跳ねる息子に、王はニコニコと微笑むだけ。
発表の場にいた公爵も王妃も釈然としない顔をしていた。
国王は、カラストの婚約者に『公爵家の令嬢』を選んだ。
何故、『アレスフィナ』と明言しないのか。
その謎はすぐに知れた。
国王は公爵を極秘に呼び出し、養女を取れと命を下した。
その養女も、縁も縁もない男爵家から引き取れという。
公爵は当然憤った。
実子のアレスフィナがいるにも関わらず、他人を引き取り育てろというのだから。
王が王子の婚約者をアレスフィナと明言しなかったのは、公爵家から出す令嬢としたかったのだ。
「まぁ待て。私とてアレスフィナが妃になる方が良いと思っていた。だが」
先日の卜者の話をすべきか悩み、…結局素直に話した。
もちろんそんな空想話でと公爵は吐き捨てていたが、卜者に接触し、考えを改めたようだった。
公爵もまた未来を見たのだろう。
素直に王命を受け、男爵家のリリーザを引き取り、アレスフィナと同じように教育すると王に従った。
それから十年も経てば、リリーザも公爵家に相応しい令嬢に育った。
天真爛漫の男爵令嬢だった頃を知るものは、別人ではないかと口を揃えるだろう。
「陛下。リリーザは我が公爵家に恥じぬ令嬢になりました」
「うむ、公爵よ。よくやってくれた」
「差し当たって、殿下の婚約者の公表は」
「それは、…だな」
周囲は、カラストが自分の婚約者は「アレスフィナ」だと吹聴していたせいで、誤った認識している。
当時、国王は息子を勘違いをさせたまま、十年経った今も訂正していない。
しかも、ただ婚約者だと言いふらすだけならまだいい。
カラストは、自分の婚約者だと言いつつ、アレスフィナを貶している。
妃教育だと言って、わざと火傷するようなお茶を出してみたり、侍従を使い衣裳を傷つけたりしていた。
その度に王妃に厳しく咎められるのだが、カラストは王の元に逃げ込んで苦言を呈する者に舌を出す。
王も王で、甘える息子に厳しくはなれなかった事もあり、余計にカラストは増長した。
「あのような王子に、養女とはいえアレスフィナ同様に大切に育ててきたリリーザを嫁がせることに抵抗を感じますが」
「…心配には及ばない。息子が真に愛しているのはリリーザだ。リリーザにはあの様な接し方はしない」
公爵は城での事を知らないのだろう。
王妃の茶会に定期的に呼ばれ登城する公爵家の義姉妹は、カラストからの差別を受けている。
アレスフィナは冷遇され、リリーザには甘い顔をして跪いて愛を囁いている。
初めこそ、王妃は息子の婚約者にはアレスフィナを望んでいたが、いつまで経っても成長しないカラストに見切りをつけた。
王妃は、亡き親友の娘であるアレスフィナには幸せになって欲しいと思っていた。
自分の息子がそうしてくれたらと希望を持った。
しかし、希望は捨てた。
大切なアレスフィナを傷つけ続ける息子には勿体無い。
王妃はアレスフィナはカラストの婚約者には相応しくないと、王に何度も直談判したのだった。
「カラストよ。お前の婚約者に公爵家の令嬢を選んだ」
「公爵家…?アレスフィナですね!!父上ありがとうございます!」
喜び跳ねる息子に、王はニコニコと微笑むだけ。
発表の場にいた公爵も王妃も釈然としない顔をしていた。
国王は、カラストの婚約者に『公爵家の令嬢』を選んだ。
何故、『アレスフィナ』と明言しないのか。
その謎はすぐに知れた。
国王は公爵を極秘に呼び出し、養女を取れと命を下した。
その養女も、縁も縁もない男爵家から引き取れという。
公爵は当然憤った。
実子のアレスフィナがいるにも関わらず、他人を引き取り育てろというのだから。
王が王子の婚約者をアレスフィナと明言しなかったのは、公爵家から出す令嬢としたかったのだ。
「まぁ待て。私とてアレスフィナが妃になる方が良いと思っていた。だが」
先日の卜者の話をすべきか悩み、…結局素直に話した。
もちろんそんな空想話でと公爵は吐き捨てていたが、卜者に接触し、考えを改めたようだった。
公爵もまた未来を見たのだろう。
素直に王命を受け、男爵家のリリーザを引き取り、アレスフィナと同じように教育すると王に従った。
それから十年も経てば、リリーザも公爵家に相応しい令嬢に育った。
天真爛漫の男爵令嬢だった頃を知るものは、別人ではないかと口を揃えるだろう。
「陛下。リリーザは我が公爵家に恥じぬ令嬢になりました」
「うむ、公爵よ。よくやってくれた」
「差し当たって、殿下の婚約者の公表は」
「それは、…だな」
周囲は、カラストが自分の婚約者は「アレスフィナ」だと吹聴していたせいで、誤った認識している。
当時、国王は息子を勘違いをさせたまま、十年経った今も訂正していない。
しかも、ただ婚約者だと言いふらすだけならまだいい。
カラストは、自分の婚約者だと言いつつ、アレスフィナを貶している。
妃教育だと言って、わざと火傷するようなお茶を出してみたり、侍従を使い衣裳を傷つけたりしていた。
その度に王妃に厳しく咎められるのだが、カラストは王の元に逃げ込んで苦言を呈する者に舌を出す。
王も王で、甘える息子に厳しくはなれなかった事もあり、余計にカラストは増長した。
「あのような王子に、養女とはいえアレスフィナ同様に大切に育ててきたリリーザを嫁がせることに抵抗を感じますが」
「…心配には及ばない。息子が真に愛しているのはリリーザだ。リリーザにはあの様な接し方はしない」
公爵は城での事を知らないのだろう。
王妃の茶会に定期的に呼ばれ登城する公爵家の義姉妹は、カラストからの差別を受けている。
アレスフィナは冷遇され、リリーザには甘い顔をして跪いて愛を囁いている。
初めこそ、王妃は息子の婚約者にはアレスフィナを望んでいたが、いつまで経っても成長しないカラストに見切りをつけた。
王妃は、亡き親友の娘であるアレスフィナには幸せになって欲しいと思っていた。
自分の息子がそうしてくれたらと希望を持った。
しかし、希望は捨てた。
大切なアレスフィナを傷つけ続ける息子には勿体無い。
王妃はアレスフィナはカラストの婚約者には相応しくないと、王に何度も直談判したのだった。
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