12 / 16
十二
しおりを挟む
「何事だっ」
どたどたと遅れて当主が降りてきた。
「商会倒産の原因究明にやって参りました」
「倒産…?」
「ええ。商会は倒産しました。王家御用達だった商会が、です。業績が下がったなどあれば王家より支援があったはずです。しかし、それはなかった。資産を一気に放出して、破産となりました。理由をご存知ですよね」
「傾かせるどころか…潰したのか…商会長は…」
侯爵は呆然とした。
あれだけ強気だった。だから、店は大丈夫なのだろうと思った。
「どう責任を取るおつもりですか!」
「せ、責任など…私は慰謝料の支払いをしてもらっただけで、」
「一体幾ら支払われたのですか!!」
「っそれは…その」
法外な金額を口にするのに躊躇した。
「この国から商会がなくなるとはどういう事か解っていますか…?」
官吏の声が一層低くなった。
「王家に献上できる高価な品はあの商会でしか取り扱っておりませんでした。王家だけではありません、我ら貴族もです。輸入経路も、輸出経路も牛耳っていたのは商会です。他の中小の商会も大騒ぎです。今後我々は何処から商品を購入すれば良いと思っているのですか…」
「ぁ…」
衣服や装飾だけでない。
領地で取れる作物の買い取り先も商会だった。
これからはどこに卸せば良いのだろうか。
「しょ、商会に、返金を、」
「すでに、商会には誰もいませんでした。夜逃げ…というのでしょうね」
商会の土地も全て、売り払われていた。
買い取った不動産業者は、新しい場所に移転すると聞いていたので不審に思わなかったらしい。
「どうなさるおつもりですか!」
「どう、」
どうしろというのだ。金を返そうにも相手が居なくなるなんて。
「それとは別件でこちらもよろしいですか」
騎士が話に入ってきた。
「こちらのご子息、カブラス様に対して集団訴訟を起こされております」
「そ、訴訟…?」
「約五十名の貴族令嬢より。純潔を奪われた方が多数、子が出来、捨てられた方が数名様。被害者達がきちんと証拠を揃えて提訴しました」
裁判の召喚状の原告欄にはずらりと貴族の家名が連なる。
作法もそこそこに、当主となれぬから厳しい教育をせず甘やかした二男。
裕福な家に婿入りできる手はずを整えたのに…。
その結果がこれだとは。
侯爵は膝をつき、頭を抱えるしかなかった。
どたどたと遅れて当主が降りてきた。
「商会倒産の原因究明にやって参りました」
「倒産…?」
「ええ。商会は倒産しました。王家御用達だった商会が、です。業績が下がったなどあれば王家より支援があったはずです。しかし、それはなかった。資産を一気に放出して、破産となりました。理由をご存知ですよね」
「傾かせるどころか…潰したのか…商会長は…」
侯爵は呆然とした。
あれだけ強気だった。だから、店は大丈夫なのだろうと思った。
「どう責任を取るおつもりですか!」
「せ、責任など…私は慰謝料の支払いをしてもらっただけで、」
「一体幾ら支払われたのですか!!」
「っそれは…その」
法外な金額を口にするのに躊躇した。
「この国から商会がなくなるとはどういう事か解っていますか…?」
官吏の声が一層低くなった。
「王家に献上できる高価な品はあの商会でしか取り扱っておりませんでした。王家だけではありません、我ら貴族もです。輸入経路も、輸出経路も牛耳っていたのは商会です。他の中小の商会も大騒ぎです。今後我々は何処から商品を購入すれば良いと思っているのですか…」
「ぁ…」
衣服や装飾だけでない。
領地で取れる作物の買い取り先も商会だった。
これからはどこに卸せば良いのだろうか。
「しょ、商会に、返金を、」
「すでに、商会には誰もいませんでした。夜逃げ…というのでしょうね」
商会の土地も全て、売り払われていた。
買い取った不動産業者は、新しい場所に移転すると聞いていたので不審に思わなかったらしい。
「どうなさるおつもりですか!」
「どう、」
どうしろというのだ。金を返そうにも相手が居なくなるなんて。
「それとは別件でこちらもよろしいですか」
騎士が話に入ってきた。
「こちらのご子息、カブラス様に対して集団訴訟を起こされております」
「そ、訴訟…?」
「約五十名の貴族令嬢より。純潔を奪われた方が多数、子が出来、捨てられた方が数名様。被害者達がきちんと証拠を揃えて提訴しました」
裁判の召喚状の原告欄にはずらりと貴族の家名が連なる。
作法もそこそこに、当主となれぬから厳しい教育をせず甘やかした二男。
裕福な家に婿入りできる手はずを整えたのに…。
その結果がこれだとは。
侯爵は膝をつき、頭を抱えるしかなかった。
208
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢のひとりごと
鬼ヶ咲あちたん
ファンタジー
城下町へ視察にいった王太子シメオンは、食堂の看板娘コレットがひたむきに働く姿に目を奪われる。それ以来、事あるごとに婚約者である公爵令嬢ロザリーを貶すようになった。「君はもっとコレットを見習ったほうがいい」そんな日々にうんざりしたロザリーのひとりごと。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる