婚約者に愛されている男は他の女にうつつを抜かす

基本二度寝

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十六

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うーん。

「どうした?楽しみだったんだろう?」

メルージュはこの期に及んでまだ首を傾げている。
天候にも恵まれ、幸先が良いこの日にメルージュは、流行色の花嫁衣装を着ていた。

目の前には、ガールック。
びしっと色を合わせた新郎衣装に身を包んでいる。

「楽しみ?」
「『結婚式が待ち遠しいですぅ』」

メルージュの口調を真似たつもりだろうが、似てない。
馬鹿にされたのだとブーケを顔に叩きつけた。

「帰る」
「おい」

しっかり手首を握りしめられた。

「店舗売上勝負の結果だ。観念しろ」
「だからって…なんで結婚なのよ」

メルージュはカブラスで懲りた。
商会長職はガールックが引き継げば、メルージュはどこかの店を与えられたらそれでよかった。
独身を貫き、仕事の鬼になると決めたのだ。

「こうでもしないと手に入らないからな」

「なんか言った?」

「勝負に勝った方の言うことを聞くって言ったよな?まさか逃げるのか?」

実に腹立たしい。
売上勝負も僅差だった。
それ故に腹立たしい。

「誰が逃げるものですか。次の決算で勝負よ。私が勝ったら離婚だから」

「おいおい…」

ガールックは片手で顔を覆う。

「まぁ、これも経験ね。これが商売の糧になるのなら、客寄せパンダにでもなってやろうじゃない」

「逞しいねぇ。俺の奥さんは」

「まだ嫁じゃないわよ」

「はいはい」

ガールックに叩きつけたブーケを手渡され、腕を差し出された。

その腕を手を絡め、周りの祝福を受けながら、誓いを立てる神前でもメルージュの考えていることといえば、売掛金の事だった。


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