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貴族令嬢はもう居ない
ナユリーナとは気が合わなかった、という理由だけで婚約が破棄されたのは侯爵が息子に甘かったからだった。
元々、カルバンが伯爵家のナユリーナに一目惚れをして、婚約を叶えたのも侯爵だった。
今度はカルバンが、気の強いナユリーナを大人しく従わせたいと望み、婚約破棄を思いついた。
カルバンは理由を告ず、人前で盛大に叫んだ。
「お前のような女とは婚約を破棄する」と。
周囲は何事かと思ったに違いない。
ナユリーナに理由を問われても、「自分の胸に聞いてみろ」と言ってその場を凌ぐつもりだった。
周囲に勝手な憶測をさせ、彼女に瑕疵があると思わせる目的だったからだ。
しかし、彼女はただ一言「かしこまりました」とだけ言い残して去った。
気の強さか、貴族令嬢の矜持か。
後は当主同士で話し合い、カルバンが出向くことなく全ては終わった。
それから一年。
伯爵家のナユリーナに新たな縁談が成立した話は聞かない。
(そろそろ、伯爵家にナユリーナを愛人にする話を持ちかけても構わないか)
愛人、と言っても今のカルバンに妻も新たな婚約者もない。
あの公然の場での婚約破棄宣言で、カルバンにも問題があると貴族間で遠巻きにされている自覚はなかった。
「…ナユリーナは居ない?」
カルバンが伯爵家を訪れると、当主が対応した。
呼び戻せ、と言っても首を左右に振られる。
「既に我が家から除籍していますので」
「除籍!?」
カルバンは立ち上がるほどの驚きを見せた。
「婚約破棄された令嬢など誰も見向きもしないのだから、自由にさせろと言いましてな」
「だからといって…お、親として酷いのではないか!」
「あのような面前での婚約破棄をした貴方がそれをおっしゃいますか」
伯爵の言葉に、カルバンの頭から汗が流れた。
元凶はカルバンなのだ。
「呼び戻せ、私が拾ってやる」
伯爵は再び首を横に振る。
「貴族は窮屈なのだそうです。あの子には平民として自由に生きるほうが性に合う、と親からみても思うのです」
「そんなはずがない!平民になど!」
カルバンは礼儀もなく伯爵家を飛び出した。
貴族令嬢が城下でまともな暮らしをできるはずがない。
娼館に売られたかと焦って、人探しのために冒険者ギルドに入った。
元々、カルバンが伯爵家のナユリーナに一目惚れをして、婚約を叶えたのも侯爵だった。
今度はカルバンが、気の強いナユリーナを大人しく従わせたいと望み、婚約破棄を思いついた。
カルバンは理由を告ず、人前で盛大に叫んだ。
「お前のような女とは婚約を破棄する」と。
周囲は何事かと思ったに違いない。
ナユリーナに理由を問われても、「自分の胸に聞いてみろ」と言ってその場を凌ぐつもりだった。
周囲に勝手な憶測をさせ、彼女に瑕疵があると思わせる目的だったからだ。
しかし、彼女はただ一言「かしこまりました」とだけ言い残して去った。
気の強さか、貴族令嬢の矜持か。
後は当主同士で話し合い、カルバンが出向くことなく全ては終わった。
それから一年。
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(そろそろ、伯爵家にナユリーナを愛人にする話を持ちかけても構わないか)
愛人、と言っても今のカルバンに妻も新たな婚約者もない。
あの公然の場での婚約破棄宣言で、カルバンにも問題があると貴族間で遠巻きにされている自覚はなかった。
「…ナユリーナは居ない?」
カルバンが伯爵家を訪れると、当主が対応した。
呼び戻せ、と言っても首を左右に振られる。
「既に我が家から除籍していますので」
「除籍!?」
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「だからといって…お、親として酷いのではないか!」
「あのような面前での婚約破棄をした貴方がそれをおっしゃいますか」
伯爵の言葉に、カルバンの頭から汗が流れた。
元凶はカルバンなのだ。
「呼び戻せ、私が拾ってやる」
伯爵は再び首を横に振る。
「貴族は窮屈なのだそうです。あの子には平民として自由に生きるほうが性に合う、と親からみても思うのです」
「そんなはずがない!平民になど!」
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