画策して堕ちたメイド

基本二度寝

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ニ ミリス

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「レニ…どうしたの?」

ミリスはレニの後ろから声をかけた。
仕事を終えれば、更衣室でお仕着せを着替えて使用人の女子寮に戻るのだが、レニはじっと自分のロッカーの前で立ったままだった。

「レニ…?……っ!」
「ああ…ミリス。…イタズラみたい」

レニは手紙を読んでいた。
さっと閉じられたが、文末に書かれてあった名前は、

「イグナス…様?」

ミリスは目を丸くしてレニを見上げる。

「誰かのイタズラよ。こんな手紙私に来るはずがないもの」

畳んだ手紙をビリビリと破いて屑籠に捨てた。

「ちょっと!レニ!?」
「お腹空いた。早く戻って夕食食べよ」

レニは何事もなかったように、さっさと着替えると更衣室を出ていく。

「えっ、レニ、待ってよ」

ミリスは慌てて着替えると、屑籠に目をやり逡巡したのち、レニの捨てた紙片を掴んでポケットに入れた。



「呼び出し…告白、するのかしら」

レニは食事を済ませ、部屋に戻るとバラバラの紙片を集めて手紙を復元した。

『二人きりで会って話がしたい。
きみに恋い焦がれる私を哀れんでくれるならば

イグナス』

レニはイタズラだと決めつけていた。
メイドに人気のある彼からの手紙。
確かに普通に考えればありえないと思うだろう。

だか、ミリスは知っていた。
ずっとイグナスを見つめていたから。

他のメイドが気づいているかどうかは知らないが、イグナスは時々、ほんの一瞬レニに目を向けることがある。

彼女に恋した目で。

…ずるい。
人気の彼に思われて。

ずば抜けて美人でもない彼女レニ
彼女は婚約者がいるからか、他の男に目もくれることはない。
只管与えられた仕事に励むだけ。

ミリスがレニの側に居るのは友情ではない。
レニの近くにいれば、イグナスの視界に入れるから。

レニなんか諦めて私に気づいて、と今日も見つめ続けた。


メイド達に打診されたイグナスとのきっかけづくりを断ったのは、すでに自身が騎士団に所属する幼馴染に同じ事を頼んで断られていたから。
幼馴染の上官にあたるイグナスを呼び出すなど不可能だと断られたのだ。

手紙をに目を落とす。

…レニにその気がないなら、私が。

指定された日時と場所。
人気のない其処に、人の目が無くなる深夜。

イグナスに会えるかもしれない。話せるかもしれない。

ミリスは指折り数え、その日を楽しみにしていた。
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