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二 オデッサ
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オデッサは姉のアンティーナを貶めることに悦楽を感じる女だった。
自分に比べ大したことない女なのに、王太子の婚約者に選ばれた。
オデッサには愛する恋人が居たが、それはそれとして姉を憎々しく思っていた。
だが、今回ばかりはしくじった。
王太子殿下に耳障りの良い言葉ばかりを浴びせると、簡単にオデッサに堕ちた。
「オデッサと結婚するよ」
殿下のその言葉を聞いて、悔しがる姉の顔を思い浮かべ微笑んだ。
姉との婚約破棄を宣言してほしいと願えば、実行してくれた。
しかし、殿下は姉と婚約していなかった。
姉が射止められなかった殿下に選ばれた。
その事実に気持ちを持ち直したのだが、まさか殿下は立場を捨ててまでオデッサを選ぶとは思わず、言葉がなかった。
このままではまずい。
オデッサには愛する彼がいる。
殿下はオデッサを抱きしめ、囁いた。
「大丈夫だよ。君を大事に想っている君の従者も引き受けるから。今まで通り君の身の回りの世話をしてもらおうね。それに、僕達が愛し合う所も見てもらおうか。きっと喜んでくれると思うよ」
殿下は知っていた。
いつも側に置いている従者と恋仲だということを。
にもかかわらず、オデッサを伴侶に求めた。
…この人、怖い
愛する彼に他の男と愛し合う所など見せたくはない。
助けて。お姉様。
姉に目を向ければ、諦めたように左右に頭を振られた。
いやっ、いやだっ、
抵抗を試みて踏み留まったのだが、無駄だった。
「ん~?退出しないつもり?なら今この場で愛し合う?皆を証人にして君を僕のものにする所を見てもらうのも良いよね…ふふふ」
顔を上げれば、殿下は淀んだ瞳でオデッサを見つめていた。
「愛しいオデッサ。一生愛してるよ」
ああ。
こんな男に関わるんじゃなかった。
余計なことをしなければ、幸せになれたのに。
愛しい彼を想うと、涙が止まらない。
地獄の始まりだった。
自分に比べ大したことない女なのに、王太子の婚約者に選ばれた。
オデッサには愛する恋人が居たが、それはそれとして姉を憎々しく思っていた。
だが、今回ばかりはしくじった。
王太子殿下に耳障りの良い言葉ばかりを浴びせると、簡単にオデッサに堕ちた。
「オデッサと結婚するよ」
殿下のその言葉を聞いて、悔しがる姉の顔を思い浮かべ微笑んだ。
姉との婚約破棄を宣言してほしいと願えば、実行してくれた。
しかし、殿下は姉と婚約していなかった。
姉が射止められなかった殿下に選ばれた。
その事実に気持ちを持ち直したのだが、まさか殿下は立場を捨ててまでオデッサを選ぶとは思わず、言葉がなかった。
このままではまずい。
オデッサには愛する彼がいる。
殿下はオデッサを抱きしめ、囁いた。
「大丈夫だよ。君を大事に想っている君の従者も引き受けるから。今まで通り君の身の回りの世話をしてもらおうね。それに、僕達が愛し合う所も見てもらおうか。きっと喜んでくれると思うよ」
殿下は知っていた。
いつも側に置いている従者と恋仲だということを。
にもかかわらず、オデッサを伴侶に求めた。
…この人、怖い
愛する彼に他の男と愛し合う所など見せたくはない。
助けて。お姉様。
姉に目を向ければ、諦めたように左右に頭を振られた。
いやっ、いやだっ、
抵抗を試みて踏み留まったのだが、無駄だった。
「ん~?退出しないつもり?なら今この場で愛し合う?皆を証人にして君を僕のものにする所を見てもらうのも良いよね…ふふふ」
顔を上げれば、殿下は淀んだ瞳でオデッサを見つめていた。
「愛しいオデッサ。一生愛してるよ」
ああ。
こんな男に関わるんじゃなかった。
余計なことをしなければ、幸せになれたのに。
愛しい彼を想うと、涙が止まらない。
地獄の始まりだった。
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