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八
エンフィアには特技があった。
妃教育のため、上がった王城には魔法封じを施してある。
外敵からの魔法を封じる為。
なので、エンフィアは王城で魔法を使ったことはない。
最愛であった夫にも伝えたことはない。
彼に魔法の心得はない。魔法に対して良い感情を見せていなかったので、彼に話したことはなかった。
復元魔法。
現状の状態から時間を戻すかのごとく、対象を復元する魔法。
割れた花瓶や、劣化した形見の装飾など、割れる前や劣化前まで復元させることができた。
それが、エンフィアの地味な特技であった。
しなければよかったという後悔と、ああやはりという納得が混在する。
エンフィアは、入浴の為、部屋にはいないジルグレイアの目を盗んで暖炉の煤から書簡を復元した。
王国の紋章の透かしの入った便箋は、エンフィアの身体と心を気遣う王太子から届けられた手紙と同一のもの。
王太子を疑う事もなかった頃ならば、手紙も、同封されていた首飾りも喜んだに違いなかった。
冷静な目で調べれば、贈られた首飾りは、盗聴目的に使われる魔道具だった。
エンフィアには、王太子の行動が全て不審に思える。
その魔道具は、ジルグレイアに報告し渡してあった。
王太子妃として争いの火種を潰した。
その時、一瞬だがジルグレイアの手に王国の紋章が入った書簡を見た。
エンフィアが化粧室に入り、席を外した間に読んだのだろう。
化粧室から出たタイミングでジルグレイアが紙を暖炉に放り込む姿が見えた。
エンフィアは、ジルグレイアの目がない隙に、煤から書簡を復元した。
持って回った言い回しで書いてあったが、要約すれば、エンフィアを帝国側の好きにしてかまわない、というような内容だった。
エンフィアは王国としても貴重な人材だが、そんな女を良いように扱っても王国は訴えない。
器用な女なので、娼婦としても才能があるかもしれない、など、吐き気がする内容だった。
書簡に署名はなかった。
しかし、王太子からの表面上、エンフィアを気遣う手紙を受け取り、読み終えていた。
書簡の筆跡が誰のものかは、手紙を並べてみてみれば子供でもわかる。
復元した書簡は再び暖炉に投げ入れた。
僅かばかり残っていた祖国への想いも一緒に。
夫を信じたいという気持ちは、もう残ってはいなかった。
妃教育のため、上がった王城には魔法封じを施してある。
外敵からの魔法を封じる為。
なので、エンフィアは王城で魔法を使ったことはない。
最愛であった夫にも伝えたことはない。
彼に魔法の心得はない。魔法に対して良い感情を見せていなかったので、彼に話したことはなかった。
復元魔法。
現状の状態から時間を戻すかのごとく、対象を復元する魔法。
割れた花瓶や、劣化した形見の装飾など、割れる前や劣化前まで復元させることができた。
それが、エンフィアの地味な特技であった。
しなければよかったという後悔と、ああやはりという納得が混在する。
エンフィアは、入浴の為、部屋にはいないジルグレイアの目を盗んで暖炉の煤から書簡を復元した。
王国の紋章の透かしの入った便箋は、エンフィアの身体と心を気遣う王太子から届けられた手紙と同一のもの。
王太子を疑う事もなかった頃ならば、手紙も、同封されていた首飾りも喜んだに違いなかった。
冷静な目で調べれば、贈られた首飾りは、盗聴目的に使われる魔道具だった。
エンフィアには、王太子の行動が全て不審に思える。
その魔道具は、ジルグレイアに報告し渡してあった。
王太子妃として争いの火種を潰した。
その時、一瞬だがジルグレイアの手に王国の紋章が入った書簡を見た。
エンフィアが化粧室に入り、席を外した間に読んだのだろう。
化粧室から出たタイミングでジルグレイアが紙を暖炉に放り込む姿が見えた。
エンフィアは、ジルグレイアの目がない隙に、煤から書簡を復元した。
持って回った言い回しで書いてあったが、要約すれば、エンフィアを帝国側の好きにしてかまわない、というような内容だった。
エンフィアは王国としても貴重な人材だが、そんな女を良いように扱っても王国は訴えない。
器用な女なので、娼婦としても才能があるかもしれない、など、吐き気がする内容だった。
書簡に署名はなかった。
しかし、王太子からの表面上、エンフィアを気遣う手紙を受け取り、読み終えていた。
書簡の筆跡が誰のものかは、手紙を並べてみてみれば子供でもわかる。
復元した書簡は再び暖炉に投げ入れた。
僅かばかり残っていた祖国への想いも一緒に。
夫を信じたいという気持ちは、もう残ってはいなかった。
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