お飾り王妃だって幸せを望んでも構わないでしょう?

基本二度寝

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「白い結婚での離縁を望んでいるようだな!サリーシア!甘いわ!貴様のような使える駒を手放すと思っているのか!
白い結婚?上等だ!できぬ身体にしてやろう!」

結婚から三年。
ひたすら公務と政務に明け暮れていた王妃が、白い結婚を理由に離縁を目論んでいると知った国王は、憤怒の顔で王妃の執務室に乗り込み、いきなり妻である王妃の手首を掴んで引き倒した。

「まぁ乱暴ですのね」
「ふん、愛する人リリィ以外の女などどのように扱っても構わぬだろう?王の寵愛だ。喜んで受け入れろ」

醜悪な顔で王妃を上から見下ろす王は、妃のドレスを裂いていく。

近衛騎士や使用人達の静止の声などまるで意味がなく、サリーシアは夫の蛮行をじっと見上げていた。

愛妾リリィにはない、手に収まりきれるほどのサリーシアの柔らかい胸を掴んで揉みしだき、王は高揚した。

今からこの身体を好きにできるのだと。

愛するリリィとは違う体型。
肌の質も髪質もなにもかも違う妃の身体をまじまじと直視し、怒りの興奮がそのまま性的な興奮にすり替わっていく。
夢中になってサリーシアの身体を弄った。

どれほどの時間そうしていたのか。
しばらく経って自身の身体の異変に、王は気づいた。

女を組み敷き気分は上向いているのに、肝心の場所に反応がない。

「…」

そっと己の其処に手を当ててみる。
刺激を与えても変化はない。

戸惑う王の下から這い出たサリーシアに、侍女は急いで寝室から持ってきたシーツを身体に巻いた。
サリーシアは泣きそうな顔の侍女を慰め、未だ床に膝をつく王に目を向けた。

「…どうして、反応しないんだ」
「それはそうでしょう?」

呆然とつぶやいた言葉に応えがあり、王は王妃に目を向けた。

「どういう意味だ」
「だって貴方はリリネーゼ様のものですから。初夜でそうおっしゃっていたではないですか。
『リリィしか抱かぬ。貴様を抱くと考えただけで虫唾が走る』でしたか?」

サリーシアは愛妾に初夜のその事を教えてやれば、彼女は喜んでいた。
そして、サリーシアに感謝したのだ。

「大好きな国王ベアディスを取らないでありがとう。彼の為にお仕事してくれてありがとう」だと。

サリーシアは苦笑した。
国母の責任を果たしていたのは、王の為なのではない。
国民の為だというのに。


「身体がリリネーゼ様以外には反応しない。それだけのことでしょう?」
「それは言葉の綾だろう!他の女でも反応くらいする!そうか、それ程魅力のないお前だから勃たぬのだ!」

サリーシアを貶めるつもりで王は吐き捨てた。
本音は違う。サリーシアの柔らかい胸の感触に昂った。
素直に抱きたいと思ったのだ。

にもかかわらず、大事な場所は静まり返っていた。

王は自身が不能ではない事を知っている。
昨夜だって愛妾と盛り上がったのだから。


「そうですね。では私が魅力が無い王妃ですから、離縁をしましょう」

サリーシアは首を傾けてニコリと笑った。

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