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1章無色透明な習作
22 勇者の伝記11 ガムシャラット創生神話
しおりを挟む「勇者様がお帰りになられたぞ!」
「勇者様万歳!我らの救世主万歳!!」
王都へ戻った私達はこの街を出た時には想像もできない住民からの熱狂的な歓迎を受けた。
おかげで城へ行くまでに抱えきれない程の贈り物をもらってしまった。
城へと続く坂道を振り返ってみてみれば、住民に活気が戻った事は勿論、ガムシャラットの景色も美しい田園風景へと戻っていた事は喜ばしい限りだった。
城でも勿論私達は街同様の歓待を受けた。
「勇者殿、よくぞやってくださった。まさしく貴方は英雄です」
「つきましては陛下、最後の四天王と悪神退治の為の船を用意して下さい」
私の申し出に王はウウム、と唸る。
「そうしてやりたいのはやまやまなのじゃが、あの嵐に耐えられる船を造るのに何か月かかかるやら」
(そう言えばこの世界の技術力は低いのだった)
「では陛下、あの島に渡る秘密の洞窟等はご存じではありませんか?」
「すまんな、儂は知らぬのじゃ。神官長はどうか?」
王は傍らに立つ神官長を見やる。
「恐れながら陛下、そして勇者殿。悪神バーンゾックを倒すには聖剣オーバーザレインボウが必要です。それはガムシャラット創生の神話にても明らかです。そして今現在それは失われている」
「その神話とは?」
一応私のスキルで偽物を本物に変える荒業がある。
後は情報が欲しい。最後の四天王は誰も見たことが無いのだ。
だから私はどんな情報でも欲しかった。
「いいでしょう、女神シールトはガムシャラットを作った時悪神バーンゾックはこんな世界3日で滅ぼせる、そう言い放ったそうです。そこで女神は使用者の強い思いを現実化させる剣を作り、それを我らの王の先祖に渡したのです」
「そう、そして10年前何者かによってオーバーザレインボウは破壊され、数ある模造品の最上位の1振りを持って我が息子エドマンドはドゥトゥーと戦い散っていった。」
「そうでしたか。私は今は亡き王子にも助けられた訳ですね」
そう言うと私は腰の剣を恭しく王へ手渡す。
「おお、これぞエドマンドの持っていた剣その物じゃ。改めて礼を言うぞ、勇者殿。他の要件ならば何でも好きするがよい。そうじゃ功績に見合った地位を与えねば」
「そうですな。さしずめ冥界の騎士というのは?」
神官長の雰囲気と声が変わった。
まるで地獄から響く唸り声だ。
同時にその姿も血の様な鎖状の羽と極彩色のきらびやかな羽の2つを持った鳥の様な姿へ変わる。
「ば、馬鹿な神官長。お主は一体・・?」
「陛下、この姿では初めてでしたね。我が名はアルバフィーラ。最強最後の四天王にして悪神バーンゾックの側近なり!」
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