113 / 125
4章 渡界人の慧眼
4-1 我はウォルター・ランドステイ⑨ 対決
しおりを挟む「ああ・・・・」
息子の恐るべき変貌の真相に母親である大伴ひかり氏は失神して、使用人たちに抱えられながら忌むべき部屋を出て行った。
「フム。まだ凡人がいるようだがまあいいだろう。ワタリとか言ったな。確かに我は元の世界では在野の研究者に過ぎなかった。だがそれは世界の大半を構成する凡人共や知識を机の上だけでこねくり回すだけの学者共には我の行う、実地での学問と知識の追求が理解出来なかったのだ。連中はこの世の真理ではなく、その表面の現象だけで満足している、いわば動物が人間の声を出しているに過ぎない。そんな連中に我の崇高な理念など理解できるはずもなく、我は学会を追放されたのだ」
恐るべき傲慢さでウォルターなる男は続ける。
「では君の言う真理とは一体何を指している?」
「無論、生命だよ!!生命の源とは何か?なぜ生き物は死ぬのか?あらゆる魔法や治療でもなぜ死んだ生物は蘇らぬのか?これを覆すことが出来れば世の中のあらゆる苦悩や下らん争いは無くなると思わんか?なぜならいずれ死ぬと分かっているから人は無気力になったり恐怖心から下らん虚栄の為の散財や権力にしがみ付く。だがそんな物は死の特効薬にはならん」
「確かに。だが君は一つ忘れている」
渡は無表情に言った。
「死の概念があるから人は後の世に何かを残そうともするのだ。それは子孫を作る事もそうだし、君の様に何かの研究に一生を捧げる者もいる。仮に自分がダメでも後の者が自分の後を継いでくれると信じているからだ。その意味では君は『命あるものは死ぬ』と言う真理から外れているし、何よりも」
そこでウォルターは顔を真っ赤にして怒りだした。
「ふざけるな!!凡人の下らん営みが我の大事と同等だというのか!!あり得ん、あってはならぬことだ!?」
「『嫌な人間ほど長生きをする』という研究結果がこの世界では出ているのだよ。つまり君が学会を追われたのはその研究の危険性に加えてその性格や考え方によるところが大きいと見るがね。そしてその性格は変わっていない。それではいくら生きる世界を変えようが前世と全く同じ結果になるだろう。人間の精神構造はどの世界でも変わらない。これも真理の1つだ」
「それは違う!!ここの大人が我をどう言っているか、知っているだろう?神童だと!この言葉はこの世界では嘲りの言葉なのかね?」
「いや。だが言葉の意味通り、それは小さな子供の時にだけ通用するだけさ。僕が君に伝えるもう一つの真理とはね、この社会は、世界は好むと好まざるに関わらず人と繋がらなければ生きていけないという事だ。大人になるという事はそういう事を意味する。君は君の世界に帰りたまえ。そして未来ある幼子の魂を元の体に返すのだ。僕の言った真理を理解していない君は転生する資格も、長生きをする資格すらない!!」
ウォルター・ランドステイは怒りと屈辱で全身真っ赤になったままロウ人形の様に立ち尽くしていた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく
竹桜
ファンタジー
神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。
巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。
千年間も。
それなのに主人公は鍛錬をする。
1つのことだけを。
やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。
これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。
そして、主人公は至った力を存分に振るう。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる