異世界転生請負人・渡界人~知られざる異世界転生の裏側公開します

紀之

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4章 渡界人の慧眼

4-1 我はウォルター・ランドステイ⑨ 対決

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 「ああ・・・・」

息子の恐るべき変貌の真相に母親である大伴ひかり氏は失神して、使用人たちに抱えられながら忌むべき部屋を出て行った。

「フム。まだ凡人がいるようだがまあいいだろう。ワタリとか言ったな。確かに我は元の世界では在野の研究者に過ぎなかった。だがそれは世界の大半を構成する凡人共や知識を机の上だけでこねくり回すだけの学者共には我の行う、実地での学問と知識の追求が理解出来なかったのだ。連中はこの世の真理ではなく、その表面の現象だけで満足している、いわば動物が人間の声を出しているに過ぎない。そんな連中に我の崇高な理念など理解できるはずもなく、我は学会を追放されたのだ」

恐るべき傲慢さでウォルターなる男は続ける。

「では君の言う真理とは一体何を指している?」

「無論、生命だよ!!生命の源とは何か?なぜ生き物は死ぬのか?あらゆる魔法や治療でもなぜ死んだ生物は蘇らぬのか?これを覆すことが出来れば世の中のあらゆる苦悩や下らん争いは無くなると思わんか?なぜならいずれ死ぬと分かっているから人は無気力になったり恐怖心から下らん虚栄の為の散財や権力にしがみ付く。だがそんな物は死の特効薬にはならん」

「確かに。だが君は一つ忘れている」

渡は無表情に言った。

「死の概念があるから人は後の世に何かを残そうともするのだ。それは子孫を作る事もそうだし、君の様に何かの研究に一生を捧げる者もいる。仮に自分がダメでも後の者が自分の後を継いでくれると信じているからだ。その意味では君は『命あるものは死ぬ』と言う真理から外れているし、何よりも」

そこでウォルターは顔を真っ赤にして怒りだした。

「ふざけるな!!凡人の下らん営みが我の大事と同等だというのか!!あり得ん、あってはならぬことだ!?」

「『嫌な人間ほど長生きをする』という研究結果がこの世界では出ているのだよ。つまり君が学会を追われたのはその研究の危険性に加えてその性格や考え方によるところが大きいと見るがね。そしてその性格は変わっていない。それではいくら生きる世界を変えようが前世と全く同じ結果になるだろう。人間の精神構造はどの世界でも変わらない。これも真理の1つだ」

「それは違う!!ここの大人が我をどう言っているか、知っているだろう?神童だと!この言葉はこの世界では嘲りの言葉なのかね?」

「いや。だが言葉の意味通り、それは小さな子供の時にだけ通用するだけさ。僕が君に伝えるもう一つの真理とはね、この社会は、世界は好むと好まざるに関わらず人と繋がらなければ生きていけないという事だ。大人になるという事はそういう事を意味する。君は君の世界に帰りたまえ。そして未来ある幼子の魂を元の体に返すのだ。僕の言った真理を理解していない君は転生する資格も、長生きをする資格すらない!!」

ウォルター・ランドステイは怒りと屈辱で全身真っ赤になったままロウ人形の様に立ち尽くしていた。
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