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Δ-ハスラパル戦域編(前編)
160-即売会
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直売会は恙なく行われた。
兵士たちには予め集会用ホールで飲料の直売会が行われることが通達されており、秘書からは指定した価格で了承された。
かなり割高だが......
「凄い人数だね」
「戦場でお金は使えませんからね」
要塞側から何故かあった決済装置を借りているので、売るのは楽だ。
予想通り、兵士たちの視線が俺に集中している。
今は午前11時58分で、販売開始は12時にしている。
「ええと、売り子は私でいいんですよねっ?」
「うん、任せる」
レジに立つのはペルソナで、商品を取り出して包装するのは俺だ。
12時を迎え、兵士たちが一斉に殺到...はしない。
一列にしっかりと並び、商品を注文していく。
俺は酒の瓶とジュースを抱えて、ペルソナに渡した。
「お嬢ちゃん、アンドロイドかい?」
「はい、何か?」
「別嬪さん二人で、こんな所に来て大丈夫かい」
早速兵士の一人と会話しているペルソナ。
俺は袋に瓶とボトルを詰めてペルソナに渡した。
「お嬢さん、すぐ帰りなよ。俺たちは死にに来てるが、まだ若いんだからさ」
「ええ、お買い上げありがとうございます」
ここにいる兵士たちは事情を知らない。
だから、俺たちが行商人か、その仲間にしか見えていない。
心配してくれるのはいいが、お節介だとは思う。
「ネーちゃんパイオツでっかいなー」
「っ.....セクハラですよ」
「気にすんなって、なあ?」
次の客は懸念してるタイプだった。
精神的には同性でこれだ。
女性からしたら吐き気を催すレベルの気色の悪さだろう。
そういう”冗談”を向けられる側にならなければ、理解も出来ない概念だろうがな。
「そういう営業はしておりませんので、お引き取りを」
「チッ、木偶人形が出しゃばんなよな!」
半ばひったくるような形で商品を受け取った客は去っていく。
彼が完全に見えなくなってから、次の客に同情された。
なんでも、男爵の四男らしい。
一応は貴族なので、ああいう形で幅を利かせるそうだ。
「ああいう軍人ばかりだよ、ここは。なんたって辺境の国境だからね。あ、これも買うよ」
やはり、兵の質は低いらしい。
その次の客から得た情報では、ああいうタイプは初期の襲撃時点で軒並み死んだらしいが、運よく生き残ったのが迷惑をかけたな、と謝られる。
「ここに来る途中で戦いを見ました、皆さんよくやっていられると思いますけどね」
「最前線の連中に比べたら雑魚さ、敵さんも本気じゃあないようだしな」
それがどうも引っかかる。
本気ではないとはどういう事なんだろうか?
だが、あまり長話も出来ない。
それに、俺は司令官でもないしな。
情報収集は必要ない、あれこれ探りたいのならともかく。
「ふう、終わったね」
「酒類が完売しましたね」
「やっぱり人気かあ」
「お疲れ様でした、お二方」
遠目からこっちをずっと見ていた秘書が話しかけてきた。
販売の監視を兼ねていたのだろう。
「問題行動を起こした方は記録済みですので、あとで軍法会議にかけて処罰いたします。ありがとうございました」
「はい、こちらも手持ちの商品を捌けたのでよかったです」
ソフトドリンク類は殆ど値段を変えていないが、酒は凄まじい暴利だ。
サービスエリア価格とか、山頂価格とかそういうものだと思ってもらっていい。
今頃は全員で酒盛りなんだろうな.....
「では、撤収させていただきますね」
「はい、お疲れ様でした」
あとはペルソナに任せ、俺は秘書と共にオリオンへと戻った。
秘書は護衛だ。
彼女が襲われたという事実そのものが、魔女裁判へのトリガーになるからだ。
「正直に言わせてもらいますと、助かりました。物資の中に酒はなかったので、兵士の不満の管理にハウマ様は躍起になっておられました」
「そうですか」
「私も一本買わせていただきました、気付きましたか? あの中に私の恋人がいたんですよ」
「なるほど」
ちょっとした雑談に花を咲かせつつ、俺たちはドックへと戻った。
兵士たちには予め集会用ホールで飲料の直売会が行われることが通達されており、秘書からは指定した価格で了承された。
かなり割高だが......
「凄い人数だね」
「戦場でお金は使えませんからね」
要塞側から何故かあった決済装置を借りているので、売るのは楽だ。
予想通り、兵士たちの視線が俺に集中している。
今は午前11時58分で、販売開始は12時にしている。
「ええと、売り子は私でいいんですよねっ?」
「うん、任せる」
レジに立つのはペルソナで、商品を取り出して包装するのは俺だ。
12時を迎え、兵士たちが一斉に殺到...はしない。
一列にしっかりと並び、商品を注文していく。
俺は酒の瓶とジュースを抱えて、ペルソナに渡した。
「お嬢ちゃん、アンドロイドかい?」
「はい、何か?」
「別嬪さん二人で、こんな所に来て大丈夫かい」
早速兵士の一人と会話しているペルソナ。
俺は袋に瓶とボトルを詰めてペルソナに渡した。
「お嬢さん、すぐ帰りなよ。俺たちは死にに来てるが、まだ若いんだからさ」
「ええ、お買い上げありがとうございます」
ここにいる兵士たちは事情を知らない。
だから、俺たちが行商人か、その仲間にしか見えていない。
心配してくれるのはいいが、お節介だとは思う。
「ネーちゃんパイオツでっかいなー」
「っ.....セクハラですよ」
「気にすんなって、なあ?」
次の客は懸念してるタイプだった。
精神的には同性でこれだ。
女性からしたら吐き気を催すレベルの気色の悪さだろう。
そういう”冗談”を向けられる側にならなければ、理解も出来ない概念だろうがな。
「そういう営業はしておりませんので、お引き取りを」
「チッ、木偶人形が出しゃばんなよな!」
半ばひったくるような形で商品を受け取った客は去っていく。
彼が完全に見えなくなってから、次の客に同情された。
なんでも、男爵の四男らしい。
一応は貴族なので、ああいう形で幅を利かせるそうだ。
「ああいう軍人ばかりだよ、ここは。なんたって辺境の国境だからね。あ、これも買うよ」
やはり、兵の質は低いらしい。
その次の客から得た情報では、ああいうタイプは初期の襲撃時点で軒並み死んだらしいが、運よく生き残ったのが迷惑をかけたな、と謝られる。
「ここに来る途中で戦いを見ました、皆さんよくやっていられると思いますけどね」
「最前線の連中に比べたら雑魚さ、敵さんも本気じゃあないようだしな」
それがどうも引っかかる。
本気ではないとはどういう事なんだろうか?
だが、あまり長話も出来ない。
それに、俺は司令官でもないしな。
情報収集は必要ない、あれこれ探りたいのならともかく。
「ふう、終わったね」
「酒類が完売しましたね」
「やっぱり人気かあ」
「お疲れ様でした、お二方」
遠目からこっちをずっと見ていた秘書が話しかけてきた。
販売の監視を兼ねていたのだろう。
「問題行動を起こした方は記録済みですので、あとで軍法会議にかけて処罰いたします。ありがとうございました」
「はい、こちらも手持ちの商品を捌けたのでよかったです」
ソフトドリンク類は殆ど値段を変えていないが、酒は凄まじい暴利だ。
サービスエリア価格とか、山頂価格とかそういうものだと思ってもらっていい。
今頃は全員で酒盛りなんだろうな.....
「では、撤収させていただきますね」
「はい、お疲れ様でした」
あとはペルソナに任せ、俺は秘書と共にオリオンへと戻った。
秘書は護衛だ。
彼女が襲われたという事実そのものが、魔女裁判へのトリガーになるからだ。
「正直に言わせてもらいますと、助かりました。物資の中に酒はなかったので、兵士の不満の管理にハウマ様は躍起になっておられました」
「そうですか」
「私も一本買わせていただきました、気付きましたか? あの中に私の恋人がいたんですよ」
「なるほど」
ちょっとした雑談に花を咲かせつつ、俺たちはドックへと戻った。
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